犬との暮らし

犬の治療費はいくらかかる?負担を軽くする方法は?

2020年6月10日

犬を飼っていると思わぬケガや病気で治療が必要となることがあります。そうした場合、どれくらいの治療費がかかるのでしょうか。また、高額な治療費がかかった場合、その負担を軽くすることはできるのでしょうか。

動物病院にかける平均費用

日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用は、大型犬の場合平均9,281円、中型犬の場合平均8,183円、小型犬の場合平均8,217円、超小型犬の場合平均7,435円となっています。大型犬は身体が大きいために薬品が多く必要となり、治療費も高くかかる傾向にあります。

犬の大きさ別家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用の平均額
大型犬中型犬小型犬超小型犬
9,281円8,183円8,217円7,435円

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

また、1年間にかかる診療費のデータを見てみると犬の年齢が高くなるにつれ診療費も高くなる傾向にあります。「アニコム家庭どうぶつ白書2024」によると0~4歳までの中央値は2~3万円とあまりかかりませんが、8歳では約6万円と倍増し11歳を超えると10万円以上かかっていることがわかります。
なお、中央値とはデータを小さい順に並べたときに中央に位置する値のことです。例えば、「1、2、3、4、105」という5つの数字の場合、小さい方から3番目の3が中央値です。なお、この5つの数字の平均値は23です。105という極端な数値に引っ張られて直感的な「真ん中」からずれてしまいます。

犬の年齢別の年間診療費
年齢中央値
0歳25,760円
1歳22,440円
2歳24,212円
3歳26,807円
4歳31,170円
5歳36,333円
6歳41,845円
7歳48,799円
8歳62,167円
9歳78,100円
10歳96,030円
11歳113,520円
12歳134,816円
13歳152,184円
14歳168,173円
15歳166,540円

出典:アニコム「家庭どうぶつ白書2024」

犬の治療費はなぜ高額になる?

なぜ犬の治療費は人間が病気にかかった時と比べて高額になってしまうのでしょうか?主な理由を紹介します。

全額自己負担になるから

犬の治療を受ける時には、人間のような公的医療保険がありません。人間は健康保険証を提示すれば3割負担で治療を受けることができますが、犬の場合は公的医療保険がないのでかかった治療費全額を飼い主が支払わなければなりません。

また、犬は人間のように言葉で具合の悪いところを伝えられません。病気を診断するために尿検査や血液検査、場合によってはレントゲンやエコーをする必要があります。一つ一つはそれほど高額ではありませんが、検査項目が増えるとその分費用がかかってしまいます。

動物病院によって治療費が異なるから

犬の治療費は、この治療であれば〇円と統一されているわけではありません。初診料や手術料などの診療費は動物病院によって自由に料金を設定できるようになっています。そのため動物病院によって治療費に差が出てきます。最新の設備がある場合や獣医師やスタッフの人数が多い病院の場合はコストがかかる事から、その費用の分が上乗せされ治療費が高額になることもあるでしょう。

平均寿命が延びているから

医療の進歩やワクチンの普及、栄養状態の向上により、犬の平均寿命が延びてきています。「アニコム家庭どうぶつ白書2024」によると、犬の平均寿命は2008年では13.2歳でしたが、2022年には14.2歳となっています。この14年で約1歳寿命が延びていることが分かります。たった1年と感じるかもしれませんが、成犬の小型犬・中型犬の1年は人間の4年分(大型犬は人間の7年分)とも考えられています。小型犬・中型犬の14歳は人間に換算すると約70歳です。人間と同じように、犬も年齢を重ねるとけがや病気にかかりやすくなるため、治療費の負担も増えてくるといえます。

治療費の目安は?

動物病院でかかる各種費用について、日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(令和3年度)」より中央値を紹介します。特に犬と指定していない場合は猫などほかの動物も含んだ数字なので注意してください。

項目中央値
入院料(犬・小型)2,500円
入院料(犬・中型)4,000円
入院料(犬・大型)4,000円
入院料(犬・特大)6,250円
狂犬病予防接種4,000円
犬混合ワクチン(5種・6種)6,250円
犬混合ワクチン(8種・9種・10種)8,750円
エックス線検査(単純撮影)4,000円
腹部エコー4,000円
歯石除去11,250円
全身麻酔11,250円
犬去勢17,500円
犬避妊(卵巣子宮切除)27,500円
椎間板ヘルニア(片側椎弓切除)87,500円

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(令和3年度)」

かかりやすい病気は?

愛犬が健康で過ごせるに越したことはありませんが、犬がかかりやすい病気やけがを知っておいて、いざという時の治療費の準備をしておくことも大切です。

異物誤飲

子犬の時期や好奇心が旺盛な犬は異物の誤飲・誤食に注意を払いましょう。食べた物によっては中毒症状を引き起こすことや、腸に詰まってしまい腸閉塞などの危険な病気を引き起こしてしまうことがあります。腸閉塞で手術・入院になると20万円程度の費用が必要になります。

歯周病

歯周病は、歯石や歯垢(プラーク)などが原因で口腔内に細菌が繁殖し、歯肉に炎症が起きる病気です。3歳以上の犬の8割が歯周病に罹患しているといわれているようです。歯石が溜まると口臭が強くなり、さらに進行すると歯が抜けることや、歯周病菌が血液に流れ込んで内臓機能にも影響を及ぼすこともあります。
そのため、歯磨きだけで取り除けない歯石は全身麻酔をかけて歯石除去となり、一般的に3万円程度の費用がかかります。重度の場合は抜歯や歯肉縫合などが必要になるため費用も高額になり、10万円以上になるケースもあります。

皮膚病

犬がかかりやすい病気の一つに皮膚病があります。原因はノミやダニ、カビ、ハウスダスト等のアレルギー、皮脂腺の分泌等様々です。特に垂れ耳の犬や耳毛が多い犬は耳に炎症が起きる外耳炎にかかりやすくなります。
軽度な皮膚病であれば1,000円~3,000円程度の費用で治療を受けられます。1回で治らず通院が必要な場合はその都度受診費用が必要になります。特に外耳炎は慢性化しやすく、定期的に通院することも少なくありません。

治療費に備えるには?

犬の治療費は全額飼い主負担となるので高額になりがちです。治療費の負担を軽くするためにできることはあるのでしょうか?

ペット保険に加入する

ペット保険は、病気やケガでの手術代や入院代などの治療費の一部が補償されます。例えば補償割合70%のペット保険に加入していれば、ペット保険の対象の治療費の70%の補償を受けられるので、人間の医療費と同じように実質3割負担で済みます。補償割合は50%や70%が多いですが、中には100%補償するというペット保険も存在します。ただし、その分保険料も高くなってしまうのでバランスも考える必要があるでしょう。
なお、去勢・避妊手術やワクチン接種などはペット保険の補償対象外となります。どのような場合に補償対象となるのか加入前にしっかりと確認するようにしましょう。

貯金する

ペット保険は掛け捨ての保険なので「病気やケガをしなければこれまで支払った保険料がもったいない」という気持ちが起こる人もいるでしょう。使わなかった場合のことを考えて、保険料の分を貯金するのではいけないのでしょうか。
これは、高額な治療費がすぐに発生したときにその負担に耐えることができるかで考えるとよいでしょう。愛犬がいつ病気になるのかはわかりません。貯金が十分に貯まる前に病気になってしまい、高額な治療費が必要となるケースもあり得ます。現時点でそうした急な出費に耐えられるのであればペット保険の代わりに貯金していくのでもよいですし、そうでなければ十分な貯金が貯まるまではペット保険の補償があると安心できるでしょう。

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まとめ

犬を飼う場合、1か月あたり平均で大型犬は9,281円、中型犬は8,183円、小型犬は8,217円、超小型犬は7,435円を動物病院にかけています。病気やケガをしなければそれほどの費用は掛かりませんが、逆に病気やケガをしてしまうと、犬の治療費は全額飼い主負担なので大きな費用がかかることになります。治療費として数十万円かかることもありますので、そうした費用が発生した場合に家計が苦しくなるという場合にはペット保険などで高額な治療費に備えておくとよいでしょう。

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