愛犬や愛猫の具合が悪い時や気になる様子が見られる時には動物病院を受診しますよね。獣医さんに診てもらった後の会計で「医療費が高い!」や「何でこんなにかかるの?」などと思ったことはありませんか?人が医療を受ける時は健康保険があるため3割程度の負担で済みますが、ペットにはそういった制度はありません。治療にかかった費用は全て飼い主の自己負担になってしまうのです。ペットの医療費を安くする方法はあるのでしょうか?
動物病院での医療費が高い理由
愛犬や愛猫のために獣医さんに診てもらおうと思っても、医療費が高額になってしまうかと思うと受診をためらってしまう方もいるかもしれません。なぜ動物病院の医療費が高くなってしまうのでしょうか。その理由を紹介します。
自由診療だから
動物が治療を受ける時には自由診療となり、医療費が全額自己負担となります。ペットの初診料や手術料などの診療費は、動物病院によって自由に料金を設定できるようになっています。そのため、動物病院によって医療費に差が出てくるのです。
人が病院にかかっても公的医療保険制度があるため医療費や薬代は1~3割程度の負担で済みます。ペットにも任意で加入できるペット保険がありますが、飼い主が保険料を支払う必要があります。
検査項目が多い
動物は人間のように言葉を話せないため、具合の悪いところがあっても上手く伝えられないことがあります。特に猫は体調が悪い時や痛みがある時でも不調を隠すといわれています。敵に体調不良を悟られないように隠す本能があるからです。
そのため、診断を出して治療をするために尿検査や血液検査、便検査、症状によってはレントゲンやエコーなどで調べる必要があります。一つ一つはそれほど高額な検査ではありませんが、項目が増えると検査代だけで1万円以上もかかるケースもあります。
医薬品が高い
治療の際に人間用の薬を処方されることがありますが、動物用の医薬品が使われることもあります。特に動物用の医薬品は原価が高いため、治療で使用した場合は医療費も高額になってしまうのです。
ペットの医療費はいくらかかる?
動物病院の医療費は高額になるとはいえ、治療内容によってかかる金額は異なります。手術をして10万円を超えることもあれば、軽い症状の下痢や皮膚炎は数千円で収まることもあります。もちろん動物病院によって医療費は異なりますが、参考までに全国の動物病院の診療費の中央値を紹介します。
中央値とは
中央値とはデータを小さい順に並べたときに中央に位置する値のことです。例えば、「1、2、3、4、105」という5つの数字の場合、小さい方から3番目の3が中央値です。なお、この5つの数字の平均値は23です。105という極端な数値に引っ張られて直感的な「真ん中」からずれてしまいます。
項目 | 中央値 |
---|---|
初診料 | 1,500円 |
再診料 | 750円 |
狂犬病予防接種 | 4,000円 |
犬混合ワクチン(8 種・9 種・10 種) | 8,750円 |
猫混合ワクチン(FeLV を含むもの) | 6,250円 |
エックス線検査(単純撮影) | 4,000円 |
腹部エコー | 4,000円 |
全身麻酔 | 11,250円 |
猫去勢 | 12,500円 |
犬去勢 | 17,500円 |
大腿骨骨折 | 62,500円 |
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(令和3年度)」
特に犬の場合、体重によって入院料や麻酔代の料金が変わることがあります。フィラリアやノミ・ダニ予防薬も体重によって価格が変わり、一般的に大型犬や体重が重い犬ほど料金もかかる傾向です。
医療費を安くするためには?
動物病院では診療料金を自由に設定できるため、検査や処方された薬が同じでも病院によって医療費が異なることがあります。場合によってはペットの医療費が思わぬ出費となることもあるでしょう。それでは、医療費を安くするためにできることはあるのでしょうか?
事前に料金を調べる
病気になってから受診できる病院を探すとなると、時間がなく事前に確認ができないため医療費が高額になってしまった…ということも起こりやすいです。そのため、愛犬や愛猫が健康なうちにかかりつけの動物病院を決めておくとよいでしょう。
動物病院によっては、サイトに予防接種のワクチンや避妊手術の費用などを載せていることもあります。特に健康な時に受ける予防接種代はある程度の目安になります。そして、診察の時の対応で信頼できる獣医師かどうかもみておくこともおすすめします。医療費が安いからといって、十分な説明もなく治療方針の相談をおこなわずに手術になってしまったとなってはペットにとっても飼い主にとっても不安が残ってしまいます。
また、最新の設備がある場合や獣医師やスタッフの人数が多い病院、立地によってはコストがかかる事から医療費を高額に設定していることもあるでしょう。医療費が高い分、最先端の治療や治療時間や待ち時間の短縮、利便性が高い等のメリットがある可能性も考えられます。事前に料金を調べるのは大切ですが、医療費だけで動物病院を選ぶのは避けた方がよいでしょう。
定期的に健康診断を受ける
動物によっては多少体調が悪くても表に出さずに隠そうとします。何かしらの症状が出てから動物病院を受診すると、実は病気がかなり進行していたというケースも珍しくありません。
そんな事態を防ぐために、年に1回、シニア期は年に2回ほど健康診断を受けさせましょう。健康診断の費用もすべて自己負担で支払う必要がありますが、早い段階で病気を発見して治療を開始できれば医療費の負担も大きく軽減できます。
多くの場合事前の予約が必要となり、検査の内容によっては絶食することもあるため動物病院にあらかじめ確認しましょう。犬や猫の寿命は人間より短く、元気だと思っていても老化のスピードが早いものです。元気で健康に長生きしてもらうために定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
ペット保険に加入する
ペット保険に加入することも医療費の負担を軽くする方法の一つです。
ペット保険は支払った医療費に対して補償割合に応じた金額を受け取れます。商品やプランによって補償割合が50%・70%・100%と様々で、補償割合70%だと自己負担となる金額は30%です。例として医療費が5万円かかった場合、70%の3万5000円が保険金として受け取れ、自己負担分は30%の1万5000円で済みます。補償割合が高いほど自己負担の金額は少なくなりますが、月々の保険料も高くなることが多いのでバランスを考えましょう。
掛け捨ての保険のため、病気にならずに一生を過ごせば、これまで支払った保険料は無駄になってしまうと感じる人もいるかもしれません。愛犬や愛猫が病気になった時のために数十万円など高額な医療費がかかっても問題ない貯金があれば必要ないといえるでしょう。しかし、愛犬や愛猫の様子が何かおかしいと思った時に、医療費を気にするあまりに動物病院への受診をためらってしまう場合は検討した方がよいかもしれません。
なお、去勢・避妊手術やワクチン接種、健康診断はペット保険の補償対象外となります。どのような場合に補償対象となるのか加入前にしっかりと確認するようにしましょう。
ペット保険にも種類がたくさんあり、入院や手術に特化したものもあれば、商品によって支払い回数や上限金額等が異なります。加入の前には様々な商品を比べておきたいですね。
まとめ
動物病院での治療は自由診療となるため、医療費が高いと感じるかもしれません。また、人間のように言葉を使って体調不良を伝えることができないため、病気を診断するために多くの検査をすることもあります。
動物病院を選ぶ際には事前に診療費を確認することもできますが、あくまで参考程度にし、それだけで決めるのは避けた方がよいでしょう。愛犬や愛猫が元気な時に予防接種や健康診断を受けながら、信頼できるかかりつけの獣医を探しましょう。
また、ペット保険に加入も健康なうちに検討していきましょう。一度病気になった場合や高齢になった場合はペット保険に加入しづらくなります。ペットが病気になり高額な医療費が必要となった時に、ペット保険に入っておけばよかったと後悔しないようにしたいですね。