病気やケガでかかった治療費の補償を受けられるペット保険ですが、保険料はできるだけ抑えたい、高額な治療費にだけ備えられれば良いという人もいるのではないでしょうか。そうした方に検討してもらいたいのが入院・手術に特化したペット保険です。普通のペット保険とはどのように違うのでしょうか。
フルカバータイプと入院・手術特化タイプ
ペット保険では病気やケガでの通院・入院・手術にかかった費用を補償するフルカバータイプが一般的ですが、中には通院に対する補償をなくして保険料を安くした入院・手術特化タイプのペット保険もあります。そして、入院・手術特化タイプの中でもさらに手術に特化した、手術のみ補償されるタイプや手術と手術を伴う入院のみ補償されるタイプもあります。
フルカバータイプのペット保険では高額な費用がかかる手術だけでなく通院だけでも保険金を受け取れます。そのため、保険金を受け取れる機会が多い、気軽に病院に通えるようになるというメリットがありますが、保険料が高めとなる傾向にあります。一方で、入院・手術に特化したペット保険では、通院に対する補償はないので保険金請求の機会が少なくなりますが、その分保険料が安くなり、また、手術時に受け取れる保険金の上限額がフルカバータイプのものよりも高い傾向にあります。
入院・手術に特化したペット保険のメリット・デメリット
入院・手術に特化したペット保険にはメリットとなる部分もデメリットとなる部分もあります。どのようなメリット・デメリットがあるのか整理します。
メリット
保険料が安い
保険金請求の機会が多い通院に対する補償を削っているので保険料が安く抑えられています。通院の場合はよほど回数を重ねないと全額負担しても家計を脅かすほどの費用は掛からないことも多いので、治療費が高額となる入院・手術にのみ備えられれば良いという場合には入院・手術特化タイプのペット保険がおすすめです。
手術に対する補償が手厚い
入院・手術特化タイプのペット保険ではフルカバータイプのペット保険よりも手術を受けたときに受け取れる保険金の上限が高いものが多いです。手術費用が高額になってしまった場合、受け取れる保険金の上限額が低いと自己負担しなければならない額が大きくなってしまいます。
高齢になっても続けやすい保険料
多くのペット保険は1年更新で年齢が上がるほどに保険料が高くなっていきます。入院・手術に特化したペット保険でも保険料が高くなっていくのには変わりないですが、フルカバータイプのペット保険と比べて保険料の上昇が緩やかで高齢となっても続けやすい保険料となっています。入院・手術のリスクが高くなりペット保険の補償が欲しくなる高齢のときに保険料を理由に加入をやめてしまいづらくなります。
デメリット
通院治療がメインの病気やケガの負担が増える
通院に対する補償がないので、入院や手術に至らずに通院で治る病気やケガの治療費は全額自己負担となってしまいます。また、外耳炎や皮膚炎になりやすい犬種を飼っている場合など通院治療が多くなりそうな場合にはあまり向いていないといえるでしょう。
気軽に病院に行きづらい
ペット保険に加入する利点の一つとして、治療費を補償されるので気軽に動物病院に連れていきやすくなり、結果として大きな病気を早期発見できるというものがあります。しかし、入院・手術特化型のペット保険では通院はペット保険に入っていないとき同様に全額自己負担となるので、気軽に動物病院に連れていくということがしづらくなってしまいます。
窓口精算が非対応の場合も
動物病院の窓口で「保険証」を提示することで治療費から保険金の額を引いた額のみを支払う形で済む窓口精算ですが、フルカバータイプの商品では窓口精算に対応していても入院・手術に特化した商品では窓口精算が使えない場合もあります。窓口精算が使えないと高額な治療費を一旦自己負担しなければなりません。
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入院・手術特化型のペット保険を比較するポイント
複数の保険会社のペット保険を比較する場合、ついつい保険料に目が行きがちですが補償内容に対してもきちんと目を通さないと保険金を請求する段階になって「思っていたのと違う」ということにもなりかねません。入院・手術特化型のペット保険を比較するうえで保険料以外に大切となるポイントについて紹介します。
支払限度額
手術1回あたりの支払限度額や年間での支払限度額は保険商品によって異なります。1回あたりの支払限度額が小さいと手術で限度額を超える高額な治療費がかかった時に自己負担額が大きくなってしまいます。また、年間の支払限度額が小さいと1年間に手術が複数回必要となった時に十分な補償を得られません。
支払限度回数
1年間の保険金の支払限度回数に定めがあるペット保険も1年間の支払限度額の範囲内であれば回数無制限であるというペット保険もあります。支払限度回数が多いほど安心して保険金を請求できます。かなり極端な例ですが、支払限度回数が年間2回までで2回10万円請求した後に50万円の費用がかかる手術をした場合、この50万円は自己負担となってしまいます。年に何回も手術するというのは少ないかもしれませんが、この例の場合では2回目の保険金の請求は少し慎重にならざるを得ません。
補償対象
手術なしの入院が補償対象となる、手術のための入院のみ補償対象となる、入院は全く補償されないなどのように補償対象が異なるペット保険が一様に比較されている場合があります。当然ながら補償対象が狭いほど保険料が安い傾向にあるので、こうした場合に保険料のみで選んでしまうと自分が欲しい補償が含まれていないペット保険を契約してしまうことにもつながりかねません。また、補償対象とならない症例が異なる場合もあります。どのような場合に補償を受けられてどのような場合に補償対象外となるのかは必ず確認するようにしましょう。
まとめ
入院・手術に特化したペット保険は通院が補償されない分保険料が安くなっています。また、手術での1回の支払限度額がフルカバータイプのものと比べて大きいことがあります。高額な治療費がかかる手術に備えられれば良いという場合にはピッタリのペット保険だといえるでしょう。