ペットの治療費は全額飼い主負担となり、薬代も高額になってしまうことがあります。また、1回処方してもらえば終わりではなく、通院のたびに処方してもらわなければならないこともあります。こうした薬代がペット保険で補償を受けられれば助かるのですが、実際のところ補償対象となるのでしょうか?
治療目的の薬代は補償される
病気やケガの治療目的で処方された薬代はペット保険の補償対象になります。下痢になった時の下痢止めや皮膚炎治療のための抗生剤や塗り薬、結膜炎や角膜炎治療の点眼薬なども基本的に補償されます。
症状によっては何度も通院が必要になり、薬代が高額になるケースもあります。特に体が大きい大型犬などは、小型犬に比べて薬の量が多く必要になることもあり薬代が嵩むケースもあるでしょう。そんな時でも薬代が補償されるペット保険に入っていれば金銭的な負担を減らすことができます。
予防目的の薬は補償されない
薬といっても病気を治療するためのものと病気を予防するためのものがありますが、予防目的の場合は補償の対象とはなりません。
ペット保険は病気やケガの治療を受けた場合の費用について補償を受けることができます。そのため、ワクチン接種やフィラリア予防薬、ダニ・ノミの駆虫薬、酔い止めの薬など健康なペットが予防のために行うものの費用は補償対象とならないのです。なお、駆虫薬を傷病の治療として使う場合は対象となる場合があります。
飼い主だけ通院した場合は?
継続的に治療をしていると、飼い主だけが動物病院に行って薬をもらうということもあります。ペットが動物病院に通っていない場合は通院に当たらないため、治療目的の薬であっても補償対象とならないペット保険が多いです。
なお、一部のペット保険では飼い主のみが来院した場合も補償の対象となる場合もあります。どのような対応となるのかは保険会社によりますので、確認してみるのがよいでしょう。
薬浴も対象になる?
皮膚炎などの治療で薬浴をすることもあります。一見ただのシャンプーにも見えますが、治療の一環として動物病院で薬浴をおこなう場合はペット保険の補償対象になることが多いです。ただし、病院で薬浴シャンプーを購入して自宅で薬浴をした場合や、美容や予防目的で薬浴をした場合は補償対象にはなりません。病院で薬浴をすると4,000円程度かかるため、治療で継続的におこなう際はそれなりの金額が必要になります。
ペット保険の補償対象にならないものは?
ペット保険では治療目的の薬代は補償されますが、保険に加入する前にかかっていた病気やケガ、先天性の病気に関する薬は補償対象外となるため注意しましょう。他にも補償の対象外になるものがありますので、主な内容を紹介します。なお、契約するペット保険によって異なる部分もありますので、詳細については保険会社に確認しましょう。
既往症・先天性異常等 | 保険期間が始まる前からかかっていた病気やケガ、保険期間が始まる前にすでに獣医師の診断により発見されていた先天性異常 |
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ワクチン等の予防接種により予防できる病気 | 犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパーウイルス感染症、犬パラインフルエンザ感染症、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス2型感染症、狂犬病、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ感染症、フィラリア感染症、猫汎白血球減少症、猫カリシウイルス感染症、猫ウイルス性鼻気管炎、猫白血病ウイルス感染症 ※病気の発症日が予防措置の有効期間内である場合や獣医師の判断により予防措置を講じることができなかったと認められる場合は除く |
病気・ケガに当たらないもの | 妊娠・出産にかかわる費用、去勢・避妊手術等、乳歯遺残、臍ヘルニア、そけいヘルニア、歯石取り、歯切り、爪切り、耳掃除、肛門腺しぼり、断耳、断尾など ※ほかの傷病の治療の手段としてこれらの処置、これらに対する処置を行った場合は除く |
予防に関する費用 | 予防目的の際の初診料、再診料、予防のためのワクチン接種費用、フィラリア・ノミ・ダニ等の駆虫薬および薬剤投与等の処置に要する費用など |
検査費用 | 健康診断費用等、健康体に施す検査費用など |
健康食品・医薬部外品 | 動物病院で処方される療法食、獣医師が処方する医薬品以外のもの |
代替医療 | 中国医学(鍼灸は除く)、インド医学、ハーブ療法、アロマセラピー、ホメオパシー、温泉療法、酸素療法など |
治療費以外の費用 | シャンプー剤・イヤークリーナー等(治療の一環として動物病院で使用されるものは除く)、時間外診療費および往診加算料、ペットホテルおよび預かり料、散歩料、入浴費用、文書料、安楽死、遺体処置、マイクロチップの埋め込み費用など |
自然災害によるもの | 自身または噴火、これらによる津波、風水害等の自然災害によって被った傷病 |
保険契約者・被保険者の行為によるもの | 保険契約者または被保険者の故意または重大な過失によって被った傷病など |
薬代や治療費は動物病院次第
動物が治療を受ける時は自由診療となるため、薬代や治療費は動物病院が自由に料金を設定することができます。同じ薬でも動物病院Aでは1錠100円、動物病院Bでは1錠150円というように動物病院によって価格が異なることもあるのです。
また、動物用の医薬品は開発費用がかかるため原価が高く、薬代が高額になるケースもあります。治療の際には動物用だけでなく人間用の薬を処方されることがあります。人間に使う場合は保険対象の薬の価格は公的に決められていますが、動物に対して使う場合は価格の決めはありません。薬代や治療費は動物病院によって変わるのです。
薬代以外にも費用がかかることも
動物病院によっては、病院で薬を投与する際にも料金がかかる場合があります。日本獣医師会の「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」によると、経口投与の場合は、費用が無料の病院が29.7%、500円未満は39.1%、500円~1,000円未満は24.5%となっていました。3割近くの病院は病院で経口投与をしても費用がかかりませんが、約7割の病院では薬代とは別に費用が必要になります。高額になることは少ないですが、病院で薬の処置をする際の中央値を紹介します。
中央値とは
項目 | 中央値 |
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経口投与 | 250円 |
点眼 | 250円 |
点耳 | 250円 |
点鼻 | 250円 |
外用塗布 | 250円 |
薬浴 | 4,000円 |
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(令和3年度)」
治療費の相場は?
また、動物病院によっては病院のサイトに予防接種のワクチン等の費用を載せていることがあります。予防接種はペット保険の対象にはならないものの、自分が通っている動物病院の診療費が高いのか安いのかを知りたい時にはある程度の目安になります。
項目 | 中央値 |
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狂犬病予防接種 | 4,000円 |
犬混合ワクチン(5種・6 種) | 6,250円 |
犬混合ワクチン(8 種・9 種・10 種) | 8,750円 |
猫混合ワクチン(FeLV を含まないもの) | 4,000円 |
猫混合ワクチン(FeLV を含むもの) | 6,250円 |
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(令和3年度)」
ただし、最新の医療設備がある病院や、獣医師やスタッフの人数が多い病院、立地が良く通うのに便利な病院などは、その分コストがかかるため診療費が高くなっていることがあります。高額な治療費や薬代に備えたい場合にはペット保険への加入を検討してみましょう。
まとめ
薬が治療目的のものであればペット保険の対象となりますが、予防目的の場合はペット保険の対象にはなりません。また、予防目的のもの以外でも既往症や治療費以外の費用、保険制度上病気・ケガに当たらないものなどではペット保険の補償対象となりません。どのような場合に補償対象となるのか、あるいはならないのかは保険会社によって異なる部分もありますので、詳しくは保険会社に確認してみましょう。