愛犬が室内で過ごす時に気を付けたいのがフローリングの床です。和室に比べ掃除もしやすく、ダニの発生も抑えられメリットも多いのですが、愛犬にとってはけがの原因になってしまうこともあります。フローリング対策はどうすればいいのでしょうか?
目次
フローリングの危険性
犬は地面を歩くときには手足の爪を引っかけて歩いていますが、フローリングはツルツルしているため爪が引っかからず滑りやすくなってしまいます。家の中を走る時には爪のブレーキがきかずに滑って転倒することや、段差から飛び降りたときに踏ん張りがきかずに着地を失敗することもあります。また、余計な力が入ることで筋肉や関節を痛めてしまう危険性もあります。室内で犬を飼う場合にはフローリング対策が必須といえます。
フローリングで注意したい病気
犬がフローリングで滑って転んだ時には骨折等のケガをする可能性があります。そこで、犬種によって起こりやすい病気がありますので、あらかじめ知っておきましょう。
膝蓋骨脱臼
特に小型犬に多いのが膝蓋骨脱臼(パテラ)で、膝蓋骨(いわゆる膝の皿)が正常な位置から外れてしまう病気です。スキップのような歩行や足を浮かせて歩く等、異常な歩行が見られることがあり、重度になると膝の関節を伸ばすことができなくなります。
症状が軽度の場合は痛み止めの処方や運動管理で対応し、歩行の異常がある場合は外科手術をおこなうこともあります。
かかりやすい犬種
どの犬種でも発症する可能性がありますが、小型犬等は生まれつき骨の形に異常がある場合もあるため、特に注意しましょう。
トイ・プードル、チワワ、ヨークシャーテリア、ポメラニアンなど
股関節形成不全
大型犬によくみられるのが股関節形成不全です。股関節の形が変形してかみ合わせが悪く、後肢に痛みが出て足を引きずったり、歩きたがらなくなったりします。腰を振って歩く、うさぎ跳びのように後ろ足を同時に出して走る等の様子が見られることもあります。遺伝的要因が7割と言われていますが、子犬から成長する中で肥満や激しい運動、関節に負担がかかる環境で股関節に緩みが出るケースもあります。
かかりやすい犬種
短期間で身体が大きく成長する大型犬は、股関節の形成に影響が出やすいといわれています。
ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、バーニーズ・マウンテン・ドッグなど
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアは胴長短足の犬種がかかりやすい病気です。椎間板は脊椎の間でクッションの役割をしていますが、この椎間板が飛び出し脊髄の神経を圧迫してしまうのが椎間板ヘルニアです。痛みで背中を触られることや歩くことを嫌がる等の様子がみられます。症状が悪化すると四肢の麻痺や排せつの困難がみられることもあります。麻痺により飼い主の介護が必要な状態となってしまうこともあるため、早めの対処が必要です。
かかりやすい犬種
ミニチュアダックスフンドのような胴が長い犬種や、軟骨異栄養犬種といわれる特定の犬種は椎間板ヘルニアを起こしやすいといわれています。
コーギー、ビーグル、パグ、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズーなど
関節炎
関節に大きな負担がかかると、関節を支える軟骨等がすり減り関節炎を引き起こすことがあります。特に肥満の犬は関節にかかる負担が大きく、関節炎になりやすいと言われています。また、滑りやすいフローリングでケガをするなどの外傷がきっかけで関節の中に細菌が入り込んで炎症を起こしてしまうこともあります。
治療としては鎮痛剤を利用して痛みを緩和する方法や、関節の機能が低下している場合は外科手術をおこなうこともあります。
かかりやすい犬種
体格の大きい大型犬は小型犬より関節への負担が大きいため関節炎になりやすいですが、犬種に関係なくすべての犬で発症する可能性があります。
レッグ・ペルテス病
レッグ・ペルテス病は、太ももにある大腿骨の付け根に血液が供給されなくなり壊死してしまう病気です。後肢をかばうように歩いたり、足をひきずったりする様子が見られることがあります。症状が進行すると筋肉が減ってしまうこともあるので、早めに受診することが重要です。
病気の原因はよく分かっていませんが、足腰に負担がかかると症状が悪化してしまうため、滑りやすい床には気を付ける必要があります。
かかりやすい犬種
1歳未満の小型犬にみられることが多いです。
トイ・プードル、ポメラニアン、マルチーズなど
フローリング対策は?
愛犬が家の中でも安全に生活するためにはフローリング対策をおこないましょう。滑りにくい床にする対策を紹介します。
爪切りと毛のカットをする
爪が伸びていると肉球が地面に着かないため、さらに滑りやすくなってしまいます。肉球は滑り止めにもなっているため、爪が伸びすぎないように月1回程度爪切りをしましょう。足の裏を横から見て、肉球からはみ出ている部分の爪を切るようにします。もし足を触るのを嫌がる場合は動物病院に相談して爪を切ってもらいましょう。
また、肉球の周りが毛で覆われていると滑ってしまいます。これも月に1回は肉球の間から出た分の毛をカットしましょう。暴れたり嫌がったりした時は無理におこなわず、定期的にトリミングをしている場合はトリマーさんにお願いするのもよいでしょう。
犬用の靴下を履く
滑り止めが付いている靴下を履かせることで滑りにくくなります。犬用の靴下を選ぶ際は、伸縮性があって足にフィットするものを選ぶとよいでしょう。犬の肉球からは汗が出るため、長時間履くと足裏が蒸れてしまいます。夏の暑い時期には通気性の良い素材を選び、靴下を脱いだ後は洗濯や肉球ケアを忘れずにおこないましょう。犬によっては靴下を嫌がる事もあるので、前肢を短時間だけ履くなど少しずつ慣らしていきましょう。
マットやカーペットを敷く
フローリングの上にマットやカーペットを敷くことで滑りにくくします。クッション性もあるものだとジャンプした時等の衝撃を吸収してくれ、足腰の負担を軽減されるでしょう。また、冬になると冷たい空気が下の方に溜まりやすいため床が冷えてしまいます。滑り止めだけでなく、寒さ対策にもなるのもメリットです。
また、敷物の形によってそれぞれ利点があるため生活スペースに合ったものを選ぶのがおすすめです。カーペットは簡単に敷けますが、食べこぼしやおしっこ等の汚れがつく場合に備えて丸洗いできるものが良いでしょう。ジョイントマットのように、汚れた部分だけ取り換えられると便利です。
また、爪が引っかからないように、毛足が輪っかのように繋がっていないカットパイルや毛足の短いものを選ぶようにしましょう。
床をコーティングする
フローリングに滑り止めのコーティングをすることで、床が滑りにくくなりひっかきキズの防止にもなります。見た目も変わらないため、部屋の印象を変えたくない人に向いています。愛犬が直に触れるものになりますので、ペット専用のコーティング剤を選びましょう。
また、市販の滑り止めワックスを使う場合は数か月~半年程度で上塗りをし、5年に1度は古いワックスを剥離して塗り直しが必要になります。手間が気になる場合は業者に持続期間が長いフロアコーティングを依頼するのもよいでしょう。
まとめ
滑りやすいフローリングは骨折等のケガや膝蓋骨脱臼等の病気になる危険性があります。愛犬がフローリングで安全に過ごすために、必ず滑り止め対策をおこないましょう。
フローリングでケガをしてしまった場合、軽症であれば痛み止めの処方や、肥満であれば体重管理などをおこないますが、重度の場合は外科手術をすることもあります。愛犬の手術代は飼い主の自己負担となります。費用としては10万円以上、手術の種類によっては数十万円ほどかかることもあります。このようにまとまった金額を用意するのが大変な場合もありますよね。愛犬に万が一のことが起きた時でも、お金の心配をすることなく動物病院を受診できるようにペット保険に加入しておくと安心です。
ペット保険とは
ペット保険は、ペットが病気やケガで治療を受けた場合にかかった費用を限度額や一定割合の範囲で補償する保険です。一定の限度額以内であれば保険対象の治療費の100%を補償するというプランもありますが、多くのペット保険では治療の70%や50%を補償するという形になっています。さらに、ペット保険は基本補償である「通院補償」「入院補償」「手術補償」の組み合わせで選択し加入します。