犬との暮らし

ゴールデン・レトリーバーがかかりやすい病気は?平均寿命は?

飼い主に忠実で人に良くなつく犬種として人気の高い大型犬のゴールデン・レトリーバー。盲導犬や介助犬、警察犬、災害救助犬などとしても活躍しているとても賢い犬です。そんな、ゴールデン・レトリーバーを飼うのであれば、できるだけ健康で長生きしてほしいものですよね。そのためにもゴールデン・レトリーバーがかかりやすい病気を知っておきたいものです。一体どのような病気にかかりやすいのでしょうか。

ゴールデン・レトリーバーがかかりやすい病気

ゴールデン・レトリーバーの体格と平均寿命

ゴールデン・レトリーバーはイギリス原産の大型犬で泳ぐのが得意です。ハンターが撃ち落とした水鳥を泳いで回収するといった狩猟犬として活躍していた歴史があります。躾もよく覚え、フレンドリーで他の犬や動物とも友好的な関係を築くことができる犬です。ウェーブかかった長毛の毛並みでアンダーコートは密集して防水性が高くなっています。垂れ耳で均整の取れた筋力がたくましい体型をしています。運動能力が高く活発な犬ですが、寿命は、犬の平均寿命よりも短く10歳~14歳くらいです。
犬の平均寿命:14.65歳(一般社団法人 ペットフード協会が発表する「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」より)

ゴールデン・レトリーバーの体格

体高体重
オス約56㎝~61㎝約30㎏~36㎏
メス約51㎝~57㎝約24㎏~33㎏

平均寿命

ゴールデン・レトリーバーの平均寿命は10歳~14歳くらい

ゴールデン・レトリーバーのかかりやすい5つの病気

1.股関節形成不全

股関節形成不全は、太ももの骨と骨盤をつなぐ股関節の形が異常な状態になってしまう病気です。股関節形成不全を患う犬は遺伝的な要因で先天性の場合がほとんどです。稀に後天的に発症することがあるようですが、遺伝的なものであれば生後6ヶ月目ごろから徐々に症状が見られるようになり、動物病院で早めに適切な処置を行わなければ歩行不全となってしまう場合もある病気です。

ゴールデン・レトリーバーも遺伝的な要因で若年での股関節形成不全の症状がみられることが多くあります。後天的な要因でも生後間もなく急激に体重が増えて股関節に負担がかかるようになってしまったり、成長期の活発な時期に滑りやすい床の生活で後天的に発症するケースもあります。

股関節形成不全の治療方法

治療法には、内科的な治療(保存的治療)と外科的治療(手術)があります。年齢や犬種、また関節炎など二次変性を起こしているか等によって変わってきますが、治療方針は獣医師と相談し決めていきます。

内科的な治療(保存的治療)の場合

中高齢の犬が発症した場合は内科的な治療で保存治療を選択する場合があります。この場合は、疼痛緩和が主な目的になります。抗炎症剤や鎮痛剤、軟骨保存剤などの薬剤投与で悪化を防止し関節負担が軽減されるように体重管理やサプリメントなどで患部への負担を軽減していくようにします。

外科的治療(手術)の場合

構造矯正と機能温存、変形性関節症の予防を目的とした予防的治療法となる手術と疼痛からの解放と人工的に股関節を再建を目的とした救済的治療法となる手術の2通りあります。CT検査などで詳細な状態確認を行い手術の方針を決めていくことになります。

若年齢で発症が認められた場合、機能回復を目的とし手術が選択される場合があります。

ココが重要

股関節形成不全は、適切な治療を行えば正常に近いレベルまで回復することができます。関節の支持組織である軟骨は一度損傷を受けると元通り復元することがないため、早期発見・早期治療が重要です。

2.胃拡張と胃捻転

胃捻転の正式名称は胃拡張胃捻転症候群といいます。

犬の胃捻転とは、胃が捻転しまうことです。胃が捻転してしまうと周りの臓器が圧迫されたり、他の臓器や血管などが胃とともに捻転してしまい血液の循環を妨げることになってしまいます。胃や周辺の血流の循環が妨げられてしまうことで急激にショック状態に陥り、発症後数時間で死に至ってしまうような緊急性の高い恐ろしい病気です。

胃捻転は、内容物が胃の中で発酵、ガスを発生させ胃に充満することで胃が拡張してしまい胃がねじれてしまうことで起こります。大型犬で胸が深い犬種が発症するリスクが高くゴールデン・レトリーバーも胃捻転になりやすい犬種とされているので注意が必要です。

胃捻転の予防

  • 食後の運動は避ける
  • 1回にたくさんの量の食事を与えない
  • 1度に大量の水を摂取させないようにする
  • 胃捻転を起させないようにする手術もある
胃捻転の治療方法

胃捻転を起こしていると吐きたそうにしていても吐けなかったり、辛そうにウロウロしている状態が見られます。胃捻転は発症後数時間で死に至ってしまうような危険性の高い病気のため、食後に吐きたくても吐けない辛そうな状態をしていたらすぐに動物病院へ連れていきましょう。

胃捻転の治療方法は、胃にチューブを挿入したり、太めの注射器などで胃の内容物の除去、内部のガスの排出を行います。また、ステロイド投薬などでショック状態の緩和を行います。その後、胃をもとの位置に戻す開腹手術を行います。

ココが重要

胃捻転は健康な犬であっても突然発症してしまう怖い病気です。普段から意識して食事のタイミングや与え方には注意してあげましょう。

3.アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、人が患うアトピー性皮膚炎と同様に基礎疾患になります。愛犬にアトピー性皮膚炎の症状があると分かれば長期的なケアが必要になるでしょう。アレルギーを引き起こす原因物質である「アレルゲン(ハウスダスト/花粉/ダニ/カビ/食物など)」を摂取したり接触したりすることでアレルギー症状が出てしまう疾病です。本来ならば体に害のないものに対して過剰に免疫が働くことで体に「アレルギー反応」として症状が出てしまいます。

とにかく体を痒がり、自分の後ろ足で掻いたり、体を床にこすり付けたり、家具の角にこすりつけて掻くようなしぐさをしていることがあります。指の間をしきりになめたりしている場合、掻き傷や舐めてベトベトになった指の間からバイ菌や細菌、カビが繁殖し症状が悪化することも多いです。

アトピー性皮膚炎の治療方法

アトピー性皮膚炎は愛犬の体質が影響することも多く、痒みのコントロールが主になります。犬は人のように痒みがあっても掻くことを我慢したり、搔かないように努力したりすることがありません。掻くことで症状が悪化しないように治療薬の投与を行い症状の緩和と治療を行います。症状の状態からかかりつけの動物病院で治療について相談し治療方針について決めていきます。薬の投与など家でのケアが必要になる事もあるでしょう。

ココが重要

アトピー性皮膚炎は症状の原因になっている物質が特定できているのであればその物質を避けることが重要です。

4.外耳炎

ゴールデン・レトリーバーは大きな垂れ耳をしています。犬の耳は耳道の構造から耳垢が溜まりやすく通気性が悪いため耳のトラブルを抱える犬は多くいますが、さらに垂れ耳の犬は蒸れやすく外耳炎になりやすいという特徴があります。

ゴールデン・レトリーバーは、アトピー性皮膚炎を発症しやすい犬種でもありますが、外耳炎の症状もアレルギーやアトピーによる場合があります。また、マラセチアが原因で外耳炎を発症していることもあります。耳を振ったり、後ろ足で搔いていたり、耳の皮膚が赤く腫れているような様子があれば外耳炎の疑いがあるため、動物病院で診察を受け適切な判断に沿った治療を選択しましょう。

外耳炎の治療方法

アトピーやアレルギー性皮膚炎が原因の場合は、アレルギーに対する治療を行います。外耳炎の症状に合わせて点耳薬の投与を行い、耳を清潔に保っていくことが大切になります。

ココが重要

外耳炎予防のためには、定期的な耳掃除を行ってあげましょう。耳掃除のタイミングで垂れ耳のゴールデン・レトリーバーでも耳が赤くなっていないかなど状態を確認することができます。耳の毛のカットを行い、清潔に保つことが大切です。耳掃除用のクリーナーなどを使用することもよいでしょう。

5.悪性腫瘍(がん)

ゴールデン・レトリーバーは悪性腫瘍(がん)の発症が高く、がんによる死亡率が他の犬種と比較し多いとされています。高齢期以降に発症することが多いですが、犬の場合、人のような腫瘍マーカーなどはないため腫瘍を発見し辛いという点があります。通常の血液検査や画像診断などで判断していくことになりますが、愛犬とのスキンシップの中で体にしこりができていたり、痩せてきたり、元気がない時には、病院へ連れていき健康状態に問題がないかチェックしてもらうとよいでしょう。また、高齢期の犬は定期的な健康診断で早期発見・早期治療が可能になります。一般にシニアと言われる年齢になると犬は年に2回の健康診断が望ましいとされています。愛犬の状態に合わせてかかりつけの動物病院に相談するとよいでしょう。

悪性腫瘍(がん)も様々ありますが、ゴールデン・レトリーバーは様々な腫瘍の発症例があります。その中でも悪性リンパ腫や肥満細胞腫などは悪性の腫瘍で発見が多いとされています。

悪性腫瘍(がん)の予防方法

発症に関する明確な理由は分かっていませんが、遺伝的な要因も大きいと考えられています。予防方法としては健康的な食事と運動、ストレスの少ない生活環境を整えてあげるといった基本的なことになります。早期発見・早期治療で長生きの可能性も高くなりますので、異変に気づいたらはやめに動物病院で確認してもらいと良いでしょう。

ココが重要

高齢期(7歳頃)を迎えたら年に2回程度の健康診断で病気の早期発見・早期治療に努めましょう。

犬の治療費は全額飼い主負担

犬には人間のような公的医療保険はないので、治療費は全額飼い主負担となってしまいます。そのため、長期間の通院が必要になったり入院や手術が必要になったりすると、治療費として数万円、数十万円とかかってしまうこともあります。十分な収入・貯蓄があるので問題なく払えるという場合はよいのですが、そうでないのであればペット保険の加入を検討しましょう。

ペット保険に加入していれば、補償の対象となる診療についてその費用を限度額や一定割合の範囲内で補償する保険です。限度額は通院1日あたりいくら、年間いくらまで、手術1回あたりいくらまでというような形で決められていて、補償割合は50%や70%を選択肢として選べることが多いですが、中には80~100%の補償割合を選択することができるものもあります。例えば、補償割合が70%のペット保険に契約していて、治療費として10,000円かかった場合、保険金を請求することで7,000円受け取れるというような形です(免責金額の設定がある場合はこれより少なくなる場合があります)。

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ペット保険は基本的に加入できる年齢に上限があり、多くは8歳~12歳で設定されています。また、人間の保険と同じように、病気になったらペット保険には加入しづらくなったりその部位の補償を受けられなくなったりしてしまいます。選択肢が多くなる若くて健康なうちにペット保険の検討をすすめましょう。

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ゴールデン・レトリーバーのかかりやすい病気をカバーできるかチェック

ペット保険は保険会社によって補償対象となる病気・ケガの範囲が異なります。保険料だけで飛びつかずに、その保険がゴールデン・レトリーバーがかかりやすい病気をカバーしているのか確認が必要です。また、ペット保険の多くは通院・入院・手術を対象としていますが、多くの費用がかかる入院・手術のみを対象として保険料を安くしているペット保険もあります。ゴールデン・レトリーバーがかかりやすい病気には、手術を伴う病気が多いです。緊急性の高い胃捻転などは医療費のために動物病院への受診が遅れてしまうと後悔してしまうようなことになりかねません。また、ゴールデン・レトリーバーがなりやすい外耳炎などでは多くの通院が必要となることもあります。ゴールデン・レトリーバーがケガや病気などで動物病院の受診が必要になったときにその負担に耐えられるのかということも考えてペット保険の加入について検討しておきましょう。

大型犬の治療費について

日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用は、大型犬の場合平均9,281円、中型犬の場合平均8,183円、小型犬の場合平均8,217円、超小型犬の場合平均7,435円となっています。大型犬は身体が大きいために薬品が多く必要となり、治療費も高くかかる傾向にあるようです。

ゴールデン・レトリーバーは大型犬のため医療費が小型犬などより高くかかってしまう傾向にあるということを知っておきましょう。

犬の大きさ別家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用の平均額
大型犬中型犬小型犬超小型犬
9,281円8,183円8,217円7,435円

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

また、1つの病気の治療費の最大額については、大型犬の平均が74,893円、中型犬の平均が59,386円、小型犬の平均が66,533円、超小型犬の平均が58,046円です。治療費の最大額の分布は以下のようになっています。

大きさ別犬の1つの病気にかかった時の治療費の最大額
1万円未満1~2万円未満2~3万円未満3~5万円未満5~10万円未満10~20万円未満20~30万円未満30~40万円未満病気にかかったことはない
大型犬11.3%9.4%12.5%17.5%16.3%11.9%5.6%3.1%12.5%
中型犬19.6%16.3%9.9%10.5%11.3%7.7%1.8%4.6%18.3%
小型犬16.5%16.6%11.2%12.2%13.7%8.0%3.3%5.4%13.1%
超小型犬21.2%15.0%10.5%12.7%10.8%9.2%2.0%3.9%14.7%

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

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まとめ

犬は犬種によってかかりやすい病気が異なります。大型犬は小型犬よりも寿命が短い傾向にあります。ゴールデン・レトリーバーは、大型犬であり、かかりやすい病気も命に係わる病気が多いです。病気の早期発見・早期治療には定期的な健康診断や異変に気づいたら早期に動物病院へ受診するということが欠かせません。病気の早期発見で対処が早ければ少しでも長く過ごすことも可能になるでしょう。ただし、犬には公的医療保険がないので治療費は全額飼い主の負担となってしまいます。何度も通院が必要になったり、入院・手術が必要になったりした場合には数万円、数十万円といった額がかかることもあります。こうした負担に耐えられそうにないのであれば、ペット保険に加入して自己負担額を抑えることを検討しましょう。

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