犬との暮らし

犬の噛みつきトラブルで賠償請求!?犬はなぜ噛むの?

犬は「噛む」動物です。人と一緒に暮らす動物である犬の「噛む」行動は飼い主が躾を行ったり他人や他人のものに危害を加えないように愛犬をコントロールしなければいけません。ものを噛んでしまう犬の攻撃行動はその原因や対象により理由が異なると考えられています。鋭い牙を持つ動物ですから、いつもは温厚な犬でも、突然、他人に噛みついてしまうことも考えられます。犬を飼っている人は、そのような時にどうしたらよいのか考えておきましょう。

犬の噛みつきトラブルで賠償命令!?

平成30年3月に東京都杉並区の公園で散歩中の小型犬が散歩中の中型犬に噛まれるという事件が起きました。この事件で小型犬の飼い主は中型犬の飼い主に損害賠償の支払いを求めて裁判となり、2021年5月の判決で中型犬の飼い主は小型犬の飼い主に慰謝料などの支払が命じられています。

犬の咬傷事件は令和元年で4,274件報告されています。犬の咬傷事件は過去10年間、毎年4,000件程度報告されています。その被害のほとんどは飼い主や家族以外の人とのトラブルです。令和元年のデータでは、犬の咬傷事件での被害者は4,410(人以外の211件も含む)人、被害者が飼い主や家族だと229人、被害者がそれ以外の他人が3,970人です。(環境省自然環境局_動物愛護管理行政事務提要(令和2年度版) 犬による咬傷事故状況(全国計:昭和49年~令和元年度)

毎年、犬が人に噛みついてしまうというトラブルが起きていることが分かります。そして、人に噛みついてしまった犬は、飼い犬であるケースがほとんどです。飼い犬が人や人のもの(飼い犬同士のトラブル含む)に噛みついてしまうような事がないように飼い主は自分の愛犬をコントロールしなければいけませんが、万が一、噛みついてしまうなどで他人や他人のものに危害を加えてしまった時には、飼い主が相手に誠意ある謝罪を行う必要があります。人に噛みついてしまいケガをさせてしまったのであれば、応急処置や病院の手配や付き添いなどの対応、治療費の負担についてなど誠意ある態度で対処しましょう。更に他人のもの(相手の飼い犬に噛みつくなど)に噛みついてしまい危害を加えてしまった時にも相手の飼い主に誠意ある態度で対応する必要があります。相手に損害を与えてしまうようなトラブルでは、相手から損害賠償を請求される場合があります。そのようなリスクに備えたいと考える人のためにペット保険には「ペット賠償責任特約」というものがあります。

ペット賠償責任特約とは

ペット賠償責任特約とは、被保険者が飼っているペットが他人にケガをさせたり他人のものに損害を与えて法的な損害賠償責任を負った際に保険金が支払われるペット保険の特約です。愛犬の病気やケガに備えてペット保険に加入しているという人はペット保険の特約で加入することができます。

飼い犬の散歩中に他人に噛みついてケガをさせてしまったという場合やペット同士がケンカして相手の犬にケガをさせてしまった場合、ペットを連れて他人の家に遊びに行ったときにペットがその人のモノを壊してしまった場合などの損害賠償費用を補償してもらえます。保険金額(保険金の上限額)は数百万円~1千万円ということが多いです。保険会社が代わりに示談交渉をしてくれるサービスがついていることもあります。

日常生活において他人にケガをさせてしまったり他人のものを壊してしまったりして賠償責任を負った場合に備える保険には個人賠償責任保険があります。個人賠償責任保険は被保険者とその家族が補償を受けられる保険で、自動車保険や火災保険などの特約で契約している場合があります。既に個人賠償責任保険の特約があれば、飼い犬が他人や他人のものに損害を与えてしまったことにより損害賠償責任を負った場合も対象となり、保険金額もペット賠償責任保険よりも大きいです。そのため、個人賠償責任保険の契約がある人は、ペットが他人にケガをさせたり他人のものに損害を与えてしまったことによる損害賠償請求に備えるためにペット保険のペット賠償責任特約に加入する必要はありません。

犬の「噛みつき」行動とその原因

犬の「噛みつき」行動には理由があります。犬の「噛む」行動の理由を知り、飼い主がトラブルを未然に防ぐため、しっかり愛犬のコントロールを行えるようになっておきましょう。「噛んでもよいもの」と「噛んではいけないもの」を教えること、他人や他人のものに危害を加えることがないように愛犬を制御できる飼い主でいることは大切なことです。

そして、犬の攻撃行動の多くは「不安」からくるものがほとんどです。犬が恐怖を感じているなど身を守る行動の一つとして「攻撃する」という行為に繋がっています。犬が人間社会で生活していけるよう愛犬の性格をよく理解し、コントロールや制御ができる飼い主でいなければいけません。また、時にはトレーニングや躾で改善を行った方が良い場合もあります。自分で躾を上手に行えず困っている場合はトレーナーに相談したり、躾を行ってくれる教室(犬の幼稚園)に通うなどプロに相談してもよいでしょう。

犬を家族に迎え入れた人は、最後までその犬の面倒をみる覚悟が必要です。子犬から飼育していても躾が上手にできておらず問題犬となってしまえば飼い主も犬も幸せに暮らしていけません。犬を飼う人には、その犬を最期まで面倒をみる覚悟と人間と共存できる犬に育てる責任、犬をコントロールできるようになる必要があります。

遊び攻撃行動(遊び噛み)

子犬は、さまざまなものを噛んで遊びます。子犬のうちは「噛んでよいもの」と「噛んではいけないもの」の区別がつきません。子犬は、いろいろなものを遊びで甘噛みし、犬同士でもじゃれてお互いを噛み合って遊んだりします。犬はもともとオオカミが祖先であるため狩猟本能があります。人と一緒に暮らし、人から食事を与えられて生活することが多い犬ですが、子犬は狩猟本能を満たすために遊び噛みを行っているとも考えられます。

子犬の時期の遊び噛みの中で行う躾は犬を危険のない賢い犬に育てるために重要です。犬は噛む動物ですから、何かを噛むのは仕方ありません。しかし、遊び噛みの中から「噛んでもよいもの」と「噛んではいけないもの」を学ばせることが犬が人間社会に馴染んで犬自身もトラブルなく幸せに暮らしていくために重要なこととなります。子犬の時期に噛んでもいい犬用のおもちゃなどを使っての遊びは問題ありませんが、子犬の内は甘噛みで痛くないからと飼い主さんの手を使って遊んでいる場合は注意が必要です。飼い主の手を甘噛みして遊んでいると「人は噛んでもよいもの」と覚えてしまい、問題犬に育ってしまいかねません。遊びの中で手を噛んでしまった時には大きな声で「イタイ!」などと叫び、噛んだら遊びをやめるという行動をとることで人は噛んではいけないという事を覚えていきます。遊び噛みは犬の本能です。この遊び噛みの中で人との共存が上手にできる賢い犬に育ててましょう。

恐怖性/防御性攻撃行動(不安)

動物は恐怖を感じた時に自分の身を守るために唸って威嚇したり、逃げたり、動けなくなったり、攻撃するといった行動をとります。恐怖から震えている、頭を低くする体制をとっている、上目づかいで目をそらすなどの行動は怯えている状態であるという事がわかります。臆病な犬であれば、急に撫でられたことに驚いて唸ってしまったり、時には噛みついてしまうようなこともあるようです。これは、反射的に身を守るための犬の攻撃行動と言えるでしょう。犬の咬傷事故の中でも飼い犬の恐怖性/防御性の攻撃行動によってトラブルになってしまうケースは多いです。そして、そのような恐怖体験は犬の記憶に残ってしまい、知らない人が近づいてくるだけで唸るようになってしまったりとトラウマとなり攻撃的になってしまう事もあります。

恐怖性/防御性攻撃行動は、飼い犬であれば、飼い主が愛犬の性格や性質を理解し、コントロールすることができます。他の犬より臆病であるといった風に愛犬の性格をよく理解していれば、他の犬との交流をさけたり、知らない人との接触を避けるなどの予防行動が可能です。人から撫でられることが苦手な犬であれば、「可愛いですね」と近づいてくる人に対したいしても「人が苦手で噛みついてしまう可能性があるから」と撫でることを断る事も可能です。恐怖性/防御性による攻撃行動(噛みつき)が見られる犬であれば、飼い主がトラブルにならないようにしっかり管理し、愛犬を制御できるように注意する必要があります。

縄張り性攻撃行動

犬は縄張り(テリトリー)意識が強い動物です。犬種の特徴や個体差の違いはありますが、縄張り意識の強い犬は自分のテリトリーに他の犬や動物が入ってきたときに唸って威嚇したり、攻撃をして自分のテリトリー内への侵入を防ごうとします。この時の行動を縄張り性攻撃行動といいます。自分の家の敷地内ですが、自宅や自宅の庭などの敷地内が愛犬の縄張りとなっている場合など、来客者が来た時に攻撃をしてしまったりとトラブルとならないように、自宅の門や玄関に犬がいることを知らせるステッカーなどを貼ったり、来客者には愛犬を自由にさせないなど飼い主が他人とトラブル防止のために予防を行う事も大切です。

所有性/食物関連性攻撃行動

犬が自分の所有物が奪われそうな時に守ろうと攻撃的になる行動がこれにあたります。おもちゃなどの場合は所有性攻撃行動、食べ物の場合は食物関連性攻撃行動と言います。おもちゃを取り上げようとすると唸る、噛むといったことや自分の食べているものへの脅威を感じた時に唸ったり攻撃してくるような行動は飼い犬の行動としてあまりよくありません。犬専用のおもちゃの場合なら問題ありませんが、咥えてはいけないものを咥えてしまっている時(人が大切にしているものなど)に、所有欲が強く所有性攻撃行動がある犬だと困ってしまいます。また、食物関連性攻撃行動がある犬では、拾い食いによるリスクも心配です。そのため、所有性攻撃行動や食物関連性攻撃行動が見られる犬はトレーニングを行って改善していけるように躾をしましょう。

母性攻撃行動

犬は妊娠、出産、想像妊娠など子犬を守ろうとする行動で唸って威嚇したり、噛みついたりといった攻撃行動をする時があります。これは体内のホルモンバランスの変化に伴い現れる子犬を守るための母性によるものです。母性からくる危険なものに対する攻撃行動のため出産後の犬などに接する時には犬の状態を理解してあげましょう。

稀に想像妊娠をしてしまう犬もいます。犬の偽妊娠も犬のホルモンの変化によるものと考えられています。妊娠していないのに乳房がはったり、乳汁がでたり、巣づくり行動を行なったりすることがあるようです。犬がいつもとは違う異常な行動をしており、急に攻撃的になったように感じることがあれば動物病院を受診し検査し、獣医に状態を相談しましょう。

疼痛性攻撃行動

病気を患っていたり、ケガをしていることで感じる痛みから人や物に対して攻撃的になっている場合があります。体を触って唸ったり、痛がるようなしぐさがある場合は動物病院で診てもらいましょう。持病で痛みに耐えているような様子が見られる場合は、痛み止めの処方をしてもらうなど愛犬の痛みを和らげてあげられるように努めてあげましょう。人も病気やケガで痛みを我慢している状態の時には言葉使いが乱暴になったりと痛みはストレスになり辛いものです。犬や動物も同じと考えてあげましょう。

トラブルを防ぐトレーニング

愛犬の性格をよく理解し、子犬の時に遊び攻撃行動(遊び噛み)から「噛んでもよいもの」と「噛んではいけないもの」を教えましょう。また、所有性攻撃行動や食物関連性攻撃行動のような場合は犬のわがままを改善するトレーニングで解決することができます。

「噛んでよいもの」「噛んではいけないもの」を学ぶ

「噛んでよいもの」と「噛んではいけないもの」を学ぶ事は人と犬が一緒にくらしていく上で大切なことであり、犬が噛んではいけないものを認識していることで賢い犬となり人も犬も幸せに暮らすことができます。

子犬の甘噛みは人や犬同士でじゃれるように加減して噛む行為です。子犬の時期に子犬同士で過ごした時間が長い犬はじゃれ合いの中でどのくらいの強さで噛んだら痛いのかという事も学んでいきます。月齢が若い子犬で犬同士のふれあいが少なく早い時期に迎え入れた場合などは飼い主の遊びの中から教えていきます。

「噛んでよいもの」と遊び方

噛んでよいものに犬の専用おもちゃなどを用意します。犬が自分の専用おもちゃを持ってきて飼い主と遊ぶときには十分な時間をとって遊んであげましょう。その中で「ちょうだい」を覚えさせます。十分な時間をとって遊んだ後には「ちょうだい」を行っておもちゃを飼い主が犬からもらいます。犬が口からおもちゃを放したタイミングでおやつをあげるということを繰り返して覚えさせます。「ちょうだい」の言葉でいいことがあると思えば「ちょうだい」が上手にできる犬に育ち所有性攻撃行動などもない犬に育っていくでしょう。

「噛んではいけないもの」の教え方

犬の専用おもちゃ以外のものを咥えて遊びの催促にやってきても相手にしないことです。咥えてはいけないものを持っていると飼い主が大きな声をあげたり怒ったりしがちですが冷静に相手にせず取り上げましょう。そして、遊んでよいおもちゃ以外は相手にしてもらえないという事を覚えさせます。

子犬の時の遊びで大切なことは人の匂いのするタオルや人の手などは遊び道具にしないことです。人の匂いのついたタオルなどを遊び道具にしていると衣類や靴など人のもので遊んでもいいと勘違いして育ってしまいます。また、人の手を遊び道具にしていて人を噛んでもよいと覚えてしまっては大変です。人の手を使って遊ぶ遊び方はやめましょう。

歯の生え変わり時期の破壊行動について

子犬の歯の生え変わり時期には歯がかゆくなったり不快感が増すことで家の中の家具などを噛んでボロボロにしてしまう事があります。そういった時は飼い主が様子を見て噛んでもいいおもちゃを与えて生え変わりのなんでも噛んでしまう時期を乗り越えましょう。

家族として正しく育てる

食物関連性攻撃行動はあまり満足に食事をとれなかった犬(保護犬)などにみられることが多い行動です。食事をとっている犬のエサをいじわるで急に下げたりといった行動をとっていると稀に食物関連性攻撃行動をとる犬になってしまう場合があります。食事中に急に食べているものを奪われるのは悪い記憶となって残り、それが攻撃行動となっていきます。犬にも安心して食事できる環境を用意してあげましょう。不安が少ない環境で育てることが攻撃性の少ない犬に育てる近道です。

まとめ

毎年、犬が人に噛みついてしまうという咬傷事故が起きており、人に噛みついてしまった犬の多くは飼い犬のようです。犬は噛む動物ですが、人間社会の中で人と共存して生きていくためには飼い主のコントロールが重要です。

どのような場合も犬の問題行動予防には、飼い主の意識が重要になってきます。飼い主は犬のコントロールをしっかりできているか、犬と飼い主との信頼関係ができており、躾はできているか。飼い主も犬も幸せに暮らしていくために大切なことです。

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