犬猫以外の動物でハムスターやうさぎなどを飼育している人も多くいます。大型のペットショップでは犬や猫、うさぎやハムスターのような比較的なじみのあるペット以外の動物が販売されていたりもします。エキゾチックアニマル専門店のようなペットショップも存在しますが、エキゾチックアニマルとは一体どのような動物か、飼育する時の注意点などを紹介します。
目次
エキゾチックアニマルとは?
エキゾチックアニマルとは、エキゾチックペットといわれることもあり、犬や猫以外で飼育されているペットを総称して使う言葉です。ただし、明確な定義はなく、外国から輸入されてきた珍しい動物と思っている人も多いようです。現代では、ペットとして飼われていることも多いハムスターやうさぎなどもエキゾチックアニマルとされているため、犬猫以外のペットとして飼育している動物は、エキゾチックアニマルであると認識するとよいでしょう。
エキゾチックアニマルという言葉は、1980年代後半ごろから家畜や食用目的ではなく「ペット」というスタイルで動物を飼育する家庭が増えていきペットブームと言われた時代に生まれた言葉だとされています。主に、獣医師やペット業界関係者が使う事の多い表現のようですが、一般の人でも聞いたことがあるという人もいるでしょう。エキゾチックアニマルという言葉を聞くと飼育が難しそうだという印象もあります。エキゾチックアニマルといえども生き物ですから飼う場合はその動物に適した飼育環境を整備し、ペットの健康維持、体調管理に努める必要があります。エキゾチックアニマルと呼ばれる動物の種類は無数にあり、ペットとして人気の高い動物は飼育用品なども充実していますが、飼う前には飼育していくことが可能かどうかしっかり検討してから家族に迎い入れましょう。生き物は、ケガをすることもあれば病気になる可能性もあります。もし、ペットとして飼育している珍しい動物が病気になったら動物病院で診てもらえるのか、病気になった時の対応はどうすればよいのかという事は飼う前に確認しておきましょう。
代表的なエキゾチックアニマルと特徴
ハムスター
ハムスターにもゴールデンハムスターやジャンガリアンハムスターのような代表的な種類から珍しい種類のハムスターまでペットとして飼育できるハムスターの種類は豊富なようです。ペットショップでは一般的な種類のハムスターで1匹1,000円~3,000円程度で販売されており、寿命は2~3年程度と言われています。寿命はどの種類のハムスターもあまり変わらないようです。
ハムスターは夜行性で1日に数十キロ動き回る動物です。自宅でペットとして飼う場合は、飼育するハムスターに合わせたケージの用意と運動できるように回し車は必須のアイテムとなります。ハムスターが日本にやってきた当初は珍しい動物でしたが現在ではペットとしても一般的な動物となり、ペットショップでもハムスター用のグッズが多く販売されています。ハムスターは飼育のスペースもさほど必要とせず、鳴き声なども気になることがないことから飼いやすいペットです。
ペットとして飼育する場合は、ハムスター用のエサがペットショップなどで販売されているので飼っているハムスターの好みに合ったものを選んであげましょう。ハムスターは、野菜も好んで食べます。ただし、水分が多い野菜は下痢になってしまうため与えないようにします。ネギや玉ねぎニラなどの中毒性がある危険な野菜にも注意が必要です。与えてもよい野菜を確認しておきましょう。ハムスターはひまわりの種やアーモンド、カボチャの種なども大好物です。しかし、これらは脂質が多いのでおやつという位置づけで、あくまでも主食はペレットや乾燥野菜となります。ペットショップなどにハムスター用のおやつも多く販売されています。これらも与える量には気を付けてあげましょう。
特徴
- 種類:げっ歯類(一生歯が伸び続ける生き物)
- 価格:1,000円~3,000円程度
- 寿命:2~3年程度
- 食事:雑食(植物の葉・木の実・種・昆虫)
ハムスターはげっ歯類と言われる生涯を通して歯が伸び続ける生き物です。堅い木の実や殻が固いものを食べるために歯が発達しているのですが、ペットとして飼育しているハムスターは野生のハムスターに比べ固い食べ物をあまり食べる習慣がありません。そのため、かじるための木などを飼育しているケージに設置してあげることが必要です。
ハムスターに多い病気
ハムスターの寿命は2~3年程度です。身体が小さく飼育環境が適していればあまり病気になる事はありませんが、一度、病気になってしまうと致命傷となってしまうことも多くあります。迅速な対応が必要になりますので日々の健康管理に気を付けてあげましょう。
病気 | 症状 | |
---|---|---|
皮膚の病気 | ニキビダニ症 | 皮膚についていたニキビダニが免疫力の低下とともに増殖し毛量が徐々に少なくなり痒がるようになる。 |
真菌性皮膚炎 | ケージの湿度が高くなり皮膚にカビが増殖することが原因で脱毛や白色のフケが出る。 | |
アレルギー性皮膚炎 | 木材や食べ物のアレルギーが原因で脱毛や皮膚が赤くなったり、くしゃみをしたりするようになる。 | |
口の病気 | 不正咬合 | 歯が伸びすぎたために上顎と下顎のかみ合わせが悪くなりエサを食べることができなくなる。ケージの金網部分を噛む癖がある場合にも起こる事がある。 |
耳の病気 | 外耳炎・中耳炎 | 耳に溜まった汚れから細菌が繁殖し耳の内側が炎症を起こして膿が出る。耳を痒がる。 |
目の病気 | 結膜炎 | 目をかいた時に傷つけてしまい、細菌が侵入してまぶたに炎症を起こす。目を痒がるようになりかくことで眼球から出血することもある。 |
白内障 | 老化による発症する病気で目が白くなり視力が低下する。 | |
お腹の病気 | ウェットテイル | 寄生虫やストレス、細菌などの様々な理由で下痢を起こす。しっぽやおしりが下痢で濡れたようになり脱水症状を引き起こすと危険な状態となる。 |
膀胱炎 | 体内で細菌が繁殖して起こる病気で血が混ざっているような赤色の血尿が出る。 |
モモンガ(フクロモモンガ)
モモンガはリス科の動物でペットとしての人気も上がっている小型哺乳類です。ペットとして飼育されているモモンガの多くは、フクロモモンガという種類でくりくりの大きな目と伸びる被膜(木から木へ飛び移るための足の間の膜)が特徴です。有袋類のためカンガルーのようにお腹に子供を育てる袋を持っています。ふわふわの毛がなでると気持ちよく手先が器用なため人の指をぎゅっと握ってくれたりします。ごはんやおやつを手でしっかり握って食べる姿もとてもかわいい動物です。フクロモモンガはペットショップなどでは、10,000円~30,000円程度で販売されており、平均的な寿命は8年前後と言われています。
フクロモモンガはペットの飼育初心者に向いているとされています。人懐っこく飼いやすい動物ですが、オスは生後半年も過ぎるとマーキングで分泌液を出すため脇腹と頭頂部に臭腺を持っています。モノに自分の臭いをつけようとする習性があるため臭い対策を考えておかなければいけません。また、トイレでおしっこをするという習性がないためこまめに掃除をする必要があります。
特徴
- 種類:有袋類(リス科)
- 価格:10,000円~30,000円程度
- 寿命:8年程度
- 食事:雑食(野菜・果物・木の実・種・昆虫)
一般的に、フクロモモンガは犬のようにしつけを行うことは難しいとされています。散歩のような外出は寄生虫や感染症などのさまざまなリスクがあるため必要ありません。活発なフクロモモンガの運動不足の解消は、部屋を自由に動き回れる時間帯を作ってあげるとよいでしょう。出来れば野生のモモンガが活動している時間帯(夕方から明け方)がよいでしょう。
フクロモモンガに多い病気
フクロモモンガは比較的病気になりづらい動物です。しかし、もともとオーストラリアなどに生息していた動物の為、日本の環境下で飼育する時にはフクロモモンガに適した飼育環境をつくってあげる必要があります。フクロモモンガは通常、25℃位が生活しやすい温度と言われています。日本の四季による気温の変化に気を付けてあげましょう。
病気 | 症状 | |
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栄養性疾患 | 肥満 | 食事中の脂質やたんぱく質含量、食事量が多く運動不足が原因で起こる。肥満は心疾患や肝疾患の原因となるため食事の内容や量の変更、運動を行う事で調節。 |
白内障 | 若齢時に発症する場合があり、原因としては母親が糖分の多い食事を不適切に与えられていたが影響が大きいと考えられている。ビタミンAの欠乏、遺伝、育児嚢内での感染なども原因に関与している可能性があるとされている。 | |
代謝性骨疾患 | 食事中のカルシウム、リンやビタミンDの不適切な含量が原因で後ろ足や四肢の不全麻痺や麻痺がみられ、重篤な場合には筋肉の痙攣などが起こる事もある。 | |
低タンパク質血症 | ||
貧血 | 不適切な食事内容によるタンパク質不足から起こる。 | |
ペニス脱 | オスのフクロモモンガは、ペニスを出したり引っ込めたりすることがよくあり、この時、何らかの理由でペニスが元に戻らなくなるとフクロモモンガが自分で舐めたりかじったりすることがある。舐めたりかじったりすることでペニスが真っ赤にはれ上がったり、真っ黒く壊死してしまう事がある症状 |
ハリネズミ(ヨツユビハリネズミ)
ハリネズミもペットとして人気の高い小型の動物です。ペットとして飼育されているハリネズミの多くは、ヨツユビハリネズミとなり名前の通り、他のハリネズミは指が5本ある事が一般的ですが、指が4本のハリネズミです。その名前からネズミの仲間と思われがちですが、モグラ科の動物です。外敵から身を守るために身体をまるめて背面の針を立てた状態になるのが特徴で基本的には臆病な動物ですが、針が立っていない状態であれば素手で触る事ができます。お腹の周りにはふかふかの毛が生えており、飼い主に慣れてくると撫でさせてくれます。時間はかかりますが、徐々に慣らしていくことができます。
ヨツユビハリネズミは、ノーマル(ソルトアンドペッパー)やシナモン、アルビノなどカラーの種類がいくつかあり、価格もまちまちで15,000円~40,000円くらいです。寿命は2年~5年程度で平均すると3年位とされています。ただし、ケガや病気に気を付け飼育環境が快適であれば6~8年生きる場合もあるようです。その他のハリネズミもヨツユビハリネズミ同様に特徴があり、かわいらしいですが、日本では特定外来種に指定されている種類も多くそういったハリネズミは飼育が禁止されています。ハリネズミの飼育を考えている人はペットショップなど正規の販売店で購入について相談しましょう。
特徴
- 種類:モグラ科
- 価格:15,000円~40,000円程度
- 寿命:2~5年程度(平均3年)
- 食事:主に昆虫類、土の中に生息しているミミズやカタツムリ、小さい哺乳類など、果物、木の実など
ペットとして飼育しているハリネズミに野生で生活しているハリネズミのような食事を与えるのは難しいです。ペットショップなどにハリネズミ用の営業バランスが整えられた専用のフードが販売されています。ハリネズミ用のフードや食虫動物用のフードなどを選択して与えてあげましょう。
ヨツユビハリネズミに多い病気
ハリネズミは臆病な正確なためストレスを与えないような環境を作ってあげることが大切です。食欲や排泄物、行動の変化や皮膚の状態、針や爪、体重の変化などちょっとした異常に素早く気付けるように日々のチェックを心掛けましょう。
ハリネズミは、下記病気のリスクが高いとされています。異変を感じたらすぐにハリネズミを診てくれる動物病院を受診しましょう。
- ダニ症
- 腫瘍
- 歯周病
- 肥満
その他のエキゾチックアニマル
エキゾチックアニマルには、これまで紹介してきた動物以外でメジャーな動物にうさぎやフェレットモルモットなども該当します。インコやオウム、フクロウなどの鳥類は長生きなもので50年程生きるような鳥もいます。カメやイグワナのような爬虫類やイモリやウーパールーパーなどの両生類が好きという人もいます。どのような生き物でもペットとして飼育する時には、生涯面倒をみる覚悟と責任を持って購入しましょう。
珍しい動物が好きでペットとして飼育したくても許可が必要だったり、ペットとしての飼育が認められていない生き物もいます。人気のある動物がかわいさのあまり違法に輸入されてきているケースもあります。実際、ワシントン条約で国際取引が規制されているカワウソやスローロリスなどの動物が密輸されたという事件もありました。霊長類やコウモリなど感染症法により輸入が禁止されている種類の動物の密輸も発見されています。現在、カワウソやスローロリスなどの国際取引が規制されている動物は、国内で繁殖され正規で販売する専門店で購入することができるものもいます。人気のある珍しい動物はTVやSNSなどで話題となり飼育を望む人も増えていたりしますが、飼育が難しいという点をわきまえ、生態や特徴を理解したうえで覚悟を持って飼育の決断することが重要です。
エキゾチックアニマルを飼育するメリット
エキゾチックアニマルは賃貸でも飼いやすい
ペット不可の物件であっても小動物であれば可能という賃貸物件もあったり、両生類の飼育などで常に水槽で飼育するような生き物は、大家さんに相談してみることで飼育が可能となる場合もあります。また、エキゾチックアニマルは、犬のように鳴かない動物が多いことも賃貸の人でも飼いやすいという特徴があります。比較的小さなケージで飼育ができることもメリットです。
忙しい1人暮らしの人でも飼育ができる
爬虫類などは哺乳類に比べるとエサやりの頻度も少なく、ケージの中だけでストレスなくすごす生き物を選べば1人ぐらしで忙しい人でも無理なくペットと共に暮らしていけるでしょう。ケージ内の掃除や水やり、エサやりなどは必要ですが、犬猫のケアよりも気を遣わなくてよいという点があります。種類にもよりますので、忙しく同じ頻度でペットの面倒をみる事が難しい人はペットショップなどの専門の人に相談してから飼育する動物を選択するとよいでしょう。
犬や猫より飼育費がかからないケースが多い
犬や猫より飼育費用が安く済ませられることが多いです。動物の種類などにもよりますが、犬や猫よりもエキゾチックアニマルの購入費用は低めなことが多いです。エキゾチックアニマル専門店で販売されているような非常にめずらしい動物は100万円以上するような動物もいます。そのような動物はエサ代や飼育環境の整備にも費用が掛かるケースが多くあり、1人暮らしの人や賃貸の人、初心者には不向きなことが多いです。ただし、犬猫以外のうさぎやハムスターといった小動物やインコなどの鳥類、小型の爬虫類などは小さめのケージで飼育できますし初期費用も少なくて済みます。
エキゾチックアニマルのペット保険
犬や猫以外の動物をペットとして飼育する場合は、まず、飼育する動物の生態を理解し自分で飼育が可能かどうかという事を考えましょう。生涯面倒をみるという覚悟で飼育を決断したのであれば、トラブルや飼育方法について困ったことがあれば相談できるような購入した販売店などとは連絡が取れるようにしておくとよいでしょう。また、エキゾチックアニマルも生き物ですから健康状態が悪くなってしまう事もあり得ます。ケガをしてしまったり病気になってしまう可能性がありますので、飼っているペットの健康状態を相談できるような動物病院を探しておくことも大切です。
ペットが病気やケガをしてしまった時にかかる医療費は全額飼い主の自己負担になります。その備えとして民間のペット保険に加入する人も増えてきてますが、犬猫以外のペットでも加入できるペット保険があります。条件に品種や1歳未満や2歳未満など加入条件が決められている場合がほとんどですが、エキゾチックアニマルを飼育している人がペット保険に加入するケースも増えてきています。犬猫のような一般的なペットであってもそれ以外であっても飼い主にとって愛情に大小はないでしょうからエキゾチックアニマルが加入できるペット保険があるのはうれしいことです。
しかし、エキゾチックアニマルを診察してくれる病院が無ければ、診察をしてもらいたいときに困ってしまいます。動物病院の中には犬猫の診療専門でその他の動物の診察は難しいといった病院もあります。近頃では、エキゾチックアニマルでも診察可能だと記載がある病院も増えてきました。珍しい動物の飼育を考えているのであればその動物を診察してくれる病院を探しておきましょう。ただし、診察可能な種類が決められていることもあるため、診察が可能か連絡してみるなど確認をしておくとよいでしょう。