猫との暮らし

【高齢猫の介護】老化の予防、エサや排泄はどうする?

2022年9月21日

「猫は自分の死期を予感すると飼い主の前からいなくなる」と言われますが、完全室内飼育で飼い主が見守る中亡くなることや室内と外と自由に行き来できる中で飼育されている猫も安心できる家庭の中で亡くなるケースも多く迷信という考えも広がってきています。一般社団法人 ペットフード協会が発表する「令和3年 全国犬猫飼育実態調査」によると猫の平均寿命は15.66歳と年々伸びていますが、元気で活発だった猫も最期の時は必ずやってきます。寝たきりになり介護が必要になる場合もあります。老化の予防や高齢猫の介護について紹介します。

老化の症状が見られたら準備しておこう

猫の老化の症状は急に現れるものではありません。ゆっくり日々の生活の中でいままでとは違う変化を感じることが増えてきます。老化の兆候を見逃さず老化の兆候が見られたら前もって準備しておきましょう。高齢の猫は動物病院に通う頻度も高くなります。愛猫の介護のお手伝いを専門施設でプロに行ってもらう事も飼い主の負担軽減となり猫にとっても飼い主にとってもメリットになる事が多いです。

猫の老化のサイン

猫は7歳を超えたくらいから老化の兆候がみえはじめると言われています。7歳ごろから老化の兆候が見え始め15歳頃まで生きるとなると猫も約8年高齢期をすごすことになります。出来るだけ長く健康で元気に過ごせるように老化の兆候には早く気づき症状に合ったケアを行ってあげましょう。

【老化のサイン】

  • 以前のように遊ばなくなり、じっとして寝ている時間が長くなった
  • ジャンプをしなくなった、以前登っていた場所に登れなくなった
  • グルーミングをあまりしなくなり、毛ヅヤがなくパサついている
  • トイレの回数が増え、失敗するようになる
  • 顔の周りに白髪が増え、色の濃い猫は白髪が目立つようになる
  • 筋肉が衰え、太ももが細く見えるなど痩せてきた
  • 爪とぎをあまりしない、爪がよく伸びている
  • 歯に黄ばみが増えている、茶色くなってきた
  • 口臭がでてきた
  • 目ヤニが増えた

上記のような症状が見え始め猫の老化が進むとさまざまな疾患リスクも高くなります。シニア期になると体力や機能の低下が現れ始めるのは人間も同じですが老化を遅らせ猫もアンチエイジングしてあげる事で活発で元気でいる期間を長くすることが可能になるでしょう。

猫の老化を予防

猫のアンチエイジングには飼い主のケアが重要です。高齢の猫に無理な運動をさせたりといったことはよくありませんが、年齢にあったケアで老化を防ぎましょう。

1.食生活の見直し

猫は高齢になってくると運動量が落ち、基礎代謝も下がります。そのため消費できるカロリーも下がるので、若い時と同じ食事量では太ってしまう猫がいます。可愛いからと欲しがるままにおやつをあげたり置き餌などは肥満の原因になるなど餌の与え方も見直しましょう。高齢期の猫の肥満は肥満だけでなく関節や筋肉、心臓や呼吸器への負担など肥満が原因による病気のリスクも高くなります。糖尿病も心配です。猫の老化予防には年齢に応じたカロリー摂取と餌の選別で適度な体重を保つことが重要です。

2.適度な運動

猫は、成猫になるとあまり身体を動かさず、ゴロゴロしていることが増えます。猫も動かずじっとしているだけでは、体力や筋力が低下していきます。子猫の時よりも遊ばなくなることも猫の成長の上で仕方がないことですが、本来、猫は動くものに反応し獲物を捕まえようとする狩猟本能があります。もともと持っている狩猟本能を呼び起こさせて、おもちゃで遊びに誘ったり、高い所に上る本能と好奇心を持ち続けさせる事が大切です。老化の兆候が見え始める年齢からではなく、若い内から1日の中で飼い主とおもちゃで遊んだり活発に動く時間を設けておくとよいでしょう。

3.マッサージやブラッシングで血行促進

高齢になると一日に多くの時間を使って行っていたグルーミングの回数が減ってくるなど毛ヅヤが以前より悪くなったと感じる場合があります。柔軟性の高い猫ですが、高齢になり、あまり動かなくなると筋肉の凝りなども現れ始めます。飼い主がマッサージで筋肉の凝りをほぐしてあげると血行促進によいです。さらにマッサージによるスキンシップで皮膚に異常やしこりなどができていないか、痛がる箇所がないかなど確認することができます。また、こまめなブラッシングで皮膚に刺激を与えてあげる事も血行促進になり、きれいな毛ヅヤの維持とグルーミングのサポートになります。汚れているようであれば温かいタオルで拭いてあげたり、市販のシャンプータオルなどで綺麗にしてあげましょう。

4.デンタルケアの重要性

犬や猫は、歯周病になりやすい動物です。3歳以上の犬猫の約80%が歯に歯周病をはじめとする何らかの歯の病気を患っているとされているほどです(アニコム損害保険株式会社_アニコムクラブ「どうぶつ健康保障共済制度」給付金請求データより)。

猫のデンタルケアは老化防止に重要で若いうちから歯磨きなどでケアを行っておかないと激しい痛みを伴う歯周病を患ってしまったり、歯周病菌が血液に流れ込んで内臓機能にも影響を及ぼし重い病気となってしまうような心配もあります。愛猫の餌を主にウェットフードや柔らかい餌で与えている飼い主も多いのではないでしょうか。ウェットフードや柔らかい餌は歯の間に残りやすかったりするため歯周病を発症しやすいです。子猫の内から歯磨きに馴れておく事で高齢になった猫のデンタルケアもしやすいです。高齢になると歯が抜けたり噛む力が弱くなったりします。口の中のチェックや歯茎や歯の健康を守るためにもデンタルケアに馴れておく事は重要です。

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高齢猫のケアと介護

猫が高齢になり寝たきりのような介護が必要になったり、寝たきりでなくても食事や排せつの補助が必要な状態となってしまう場合があります。猫の介護は状況を見ながら飼い主も負担を軽減できるような形で取り組めたらいいですよね。

猫はとてもきれい好きな動物です。体をきれいに保つために自分でグルーミングを行う動物です。寝たきりになったり排泄が上手にできなくなると綺麗好きな猫も汚れている自分にストレスを感じます。体を上手く動かせなくなってもいつも清潔でいられるようにこまめなお手入れをしてあげましょう。

食事

フードは年齢や体調にあったものをあげましょう。シニアになり、体力が低下してくると食欲がなくなり、餌を食べなくなったりいつもの量を食べられなくなったりします。食べづらいという事もありますので大きい餌は細かくしたり、硬い餌はやわらかくふやかしたり、少し暖かくしたりして工夫して与えましょう。

餌を入れている皿を床に置いているような場合で食べにくそうにしているようであれば、適度な高さの高い台を用意し食べやすくしてあげましょう。自分で餌を食べようとしないときには、飼い主の手から与えてあげると食べてくれる場合もあります。食事は栄養の源です。栄養を食事で補えるうちは口から餌を食べてくれるように工夫して与えましょう。

【高齢猫への餌の与え方ポイント】

  1. 大きい餌は細かくする
  2. 硬い餌は柔らかくする
  3. 餌を少し温めて与える
  4. 食べやすい高さの台を用意する
  5. 飼い主の手から与える

シリンジの活用

自分でエサを食べられないような猫にはシリンジ(大きな注射器の形をしたもの)に流動食を入れ、餌を口に入れて食べさせる方法もあります。動物病院などで販売していますのでシリンジの活用や方法について獣医師や動物看護士に相談してみましょう。

食事で口周りや被毛が汚れてしまったような場合にはきれいにタオルなどで拭き取り清潔にしてあげましょう。

こまめなブラッシング

猫の老化予防の紹介でも説明しましたが、高齢になり体力の低下が目立つようになると一日に何度も行っていたグルーミングも面倒になりあまりやらなくなったり、届かない場所があったりと自分でのお手入れができなくなくなってきます。寝たきりのような状態になると全くグルーミングができない状態であったりすることもあり、飼い主がこまめにブラッシングを行い綺麗な毛並みを保ってあげるようにしましょう。ブラッシングの際に身体の位置を動かしたり、体制を変えてあげて苦痛でない範囲で全身をやさしくきれいにしてあげましょう。

ブラッシングに加え、優しくマッサージを行ってあげるのもよいでしょう。体が汚れているようであればブラッシングに加えてほんのり温かいホットタオルで拭いてあげたり体を温めて癒してあげるとリラックスできます。

デンタルケア

猫の老化予防の紹介でお話していますが、猫は歯周病になりやすく、高齢猫用のフードは柔らかい事が多く食べかすが残りやすくなっています。歯周病のリスクは高くなりますので高齢猫ほど気を付けてケアをしてあげましょう。

爪切り

爪とぎは猫のマーキング行動のひとつでもあり、爪とぎは獲物を捕らえたり、自分の身を守ったりする大切な鋭い爪を守るためのケアでもあります。そんな爪とぎも高齢になると体力の衰えと共にあまりしなくなります。爪は伸びすぎると丸まって伸びていき放っておくと肉球に刺さっていきます。また、長い爪は何かに引っ掛けたりとケガの原因にもなりますので飼い主が小まめに切ってあげましょう。

動物病院でのケア

爪切りは動物病院に受診した際にカットもお願いできるようであれば爪切りも診察と同時にやってもらえると介護が少し楽になります。飼い主の負担軽減のためにもお願いしてみましょう。

トイレ

高齢になるとトイレに行く回数が増えたり今まではなかったトイレの失敗も増えてくるようになります。トイレを愛猫がいつも休んでいる場所の側に移動させたり、トイレの数を増やしたりとトイレの設置環境を変えてみましょう。入口が低いトイレが出入りがしやすいです。入口のフチが超えられないなど不便なようであれば入りやすいようトイレに交換することも考えてあげるとよいでしょう。

まだトイレに自分から行く意思がある状態でも難しそうであればトイレまで連れて行ってあげたり、足腰が衰えていたりうまくトイレが出来ないようであれば足腰を支えてあげるなどトイレの補助をしてあげましょう。うまくトイレができたら「上手にできたね」と撫でてほめてあげるとよいでしょう。

筋肉の衰えなどによりうまく力めず排泄が困難な猫はおしりをマッサージして排泄を促してあげるとよいでしょう。トイレが終わった後には市販のおしりふきシートや濡れたタオルなどを利用し拭き取りきれいにましょう。高齢の猫は抵抗力が弱く感染リスクも高いです。トイレは細菌増殖防止のためにも排泄が終わったら早めに片付けるとよいでしょう。

【高齢猫のトイレ設置ポイント】

  1. トイレの場所を変更する
  2. トイレの数を増やす
  3. 入口が低いトイレに交換する

おむつの活用も考えよう

寝たきりである場合はおむつを使用します。排泄が困難な猫や失敗が増えてきたような場合にはおむつの使用をおすすめします。トイレが困難で漏らしてしまっても後処理が大変ですし臭いも気になります。おむつを上手に活用するとよいでしょう。

寝床

高齢で高い所にジャンプをあまりしなくなったような猫のお気に入りのベットが高い所にあったり、テレビの音が響くようなうるさい場所にあるようなときにはベットを猫が落ち着く低い位置の場所に移してあげましょう。また、高齢のシニア猫は抜け毛が多かったり、被毛の量が若いころに比べ少なくなっていたり、筋力の衰えと共に体温調節が上手にできなくなっていたりします。猫はいつも好んでいる寝床に毛布を入れたり、寒くないように快適にしてあげましょう。猫はもともと狭い静かな場所を好む動物です。家族の気配が感じられる落ち着いた場所に新たな落ち着ける場所を作ってあげるといいでしょう。

自分で体を動かせないような状態であれば飼い主が定期的に位置を変えてあげましょう。動けない猫が同じ状態のままでいると床ずれを起して皮膚が赤くなったり、薄くなったり圧迫された状態が続くと皮膚が破れてしまう場合もあります。寝たきりの猫は一定の状態のままにせず、飼い主さんの手で寝返りを打たせてあげましょう。寝たきりになってしまった猫の寝返りは2~3時間に1回が目安です。

寝たきり猫用の床ずれマット

寝たきりの猫の床ずれ防止マットなどの活用は猫の床ずれに有効です。ペット専用の床ずれマットが用意できない場合は人間用の低反発枕やマットなども活用できます。寝返りの手助けが必要になると飼い主も毎日大変です。ペット用の便利なグッズも販売されていますので活用しましょう。

高齢猫の通院とペット保険

高齢の猫は体力の低下と共に病気やケガの心配が増えてきます。猫にとって腎臓病は最もポピュラーな病気で注意したい病気になりますが、高齢の猫の大半が腎臓病を患うと言われているほどです。猫が腎臓病になると進行を遅らせるための治療がスタートしますが、腎臓病の治療は動物病院への通院が増える病気でもあります。また、腎臓病でなくても高齢となり自分で栄養を摂取できず、点滴を行っている場合なども定期的な通院が必要になります。食事指導や水分摂取などの通院で医療費が嵩んでしまう事が多いのが高齢のペットで心しておきたいことになります。

そのような医療費に備えるためにペット保険に加入するという人が増えています。しかし、ペット保険は新規加入できるペットの年齢に上限が設けられており、おおむね8歳~12歳で設定されています。また、ペット保険は基本補償である「通院補償」「入院補償」「手術補償」の組み合わせで選択し加入します。高齢となった猫の動物病院への通院費が増えてきたためにペット保険の加入を検討しても既に年齢オーバーで加入できない場合やペット保険に加入していても通院補償がなかったために嵩んでいく通院費用は全額自費で支払わなければならないということになる場合もあります。

ペットの寿命も延びており、このような事を考えるとペットが元気で若いうちに将来の医療費のことを考慮しペット保険の加入と補償の選択を行う事が大切となってきます。ペット保険の補償がなくても医療費が負担にならないか、ペット保険で備えておく必要はないか考えておきましょう。

ペット保険は基本的に1年更新です。加入時に年齢制限がありますが、一度申し込みを行うと自動で終身継続となる事がほとんどです。ただし、ペット保険の種類によっては、保険料や補償内容が変更になったり、条件がつく場合があります。ペット保険に加入する時に、補償の内容をしっかり確認し理解した上で加入することが大切です。

シニア向けのペット保険も登場!

最近では、シニア向けのペット保険も登場しています。ペットの高齢化に対応したペット保険として8歳以上のペットが加入対象などとなっています。通院補償はなく、入院や手術の補償で保険料は月々1000円程度で加入することができます。ペットの獣医療も高度化しており、高齢となったペットの医療費負担が家計に与える影響も大きくなる可能性があります。ペット保険の加入が難しい年齢の高齢ペットは、シニア向けのペット保険がある事も知っておくとよいでしょう。

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