犬に薬を与えるのに苦労したという飼い主も多いと思います。吐き出したり、工夫して与えても残してしまったりする犬もいるようです。しかし、犬の健康管理のためにも処方された量は必要な量をしっかりと飲みきることが大切です。愛犬に合わせた上手な与え方を見つけてあげましょう。
目次
犬の薬の種類
犬の薬にも種類が豊富にあります。薬の形状ごとに犬に上手に薬を飲ませるコツがありますので、どのような薬を動物病院で処方されても困らないように確認しておきましょう。
錠剤・カプセル
錠剤は、薬剤を圧縮して固めたものです。
カプセルは、粉材や液剤をカプセルに入れたものです。溶け出す時間の調整が必要な薬に多く用いられています。
錠剤・カプセルの与え方
錠剤やカプセル状の薬を抵抗なく嫌がらずに飲んでくれる犬もいますが、違和感を感じて吐き出してしまう子や口に入れても上手に薬だけ吐き出す子などさまざまです。
錠剤は小さく砕いて与えても大丈夫です。粒が大きくて飲みきれない子などの場合は小さくしてあげましょう。
パターン1:毎日の食事(ドッグフード)と一緒に与える方法
普段食べている食事に混ぜて与える方法があります。この、毎日の食事と一緒に与える方法でも薬を食事に混ぜているところは見せないようにします。最初から目にしてしまうと何かいつもと違うものが混ざっているという事を察知します。薬が混ざっていることに違和感を感じることなく平気で完食してくれる犬であれば問題ありませんが、薬が入っていることに気が付いて普段の食事を食べなくなってしまうこともあるため愛犬のタイプで普段の食事に混ぜて大丈夫か飼い主が判断して行いましょう。薬が入っていたという嫌な記憶で普段の食事を食べなくなるような場合は食事に混ぜる事はあきらめて違う方法を選択しましょう。また、薬だけ吐き出したり、上手に薬を避けてご飯だけ食べる犬もいますので愛犬が食事をしている時には薬をしっかり飲み込んだか見届ける事が重要です。
パターン2:野菜やおやつ、投薬補助おやつなどと一緒に与える方法
じゃがいも、人参、さつまいも、かぼちゃなどの蒸し野菜やおやつに薬を挟んで薬と分からないようにして与える方法があります。蒸した野菜は犬に与えても大丈夫な野菜を選びます。じゃがいもや人参、さつまいもなどの野菜は犬が好む場合が多いです。犬が食べても大丈夫な野菜でも食物アレルギーのある犬もいますので飼い主さんが愛犬が食べても大丈夫な野菜を選んで与えてあげましょう。また、おやつも普段の好物おやつを選びます。おやつは普段の食事とは違い特別な時にもらえるものなので喜んで食いつく犬が多いです。
与え方は、最初にじゃがいもなどの蒸し野菜やおやつだけを与えます。薬が混ざっているというような疑念を抱くことがなく、特別な時にもらえる食べ物に犬は目を輝かせて喜ぶことが多いです。最初に野菜やおやつだけを与えてもっと欲しがる顔つきを見せたところで薬を挟んだ野菜やおやつを与えます。愛犬が気付かないうちに薬を飲んでしまっているようにすることがポイントです。最後に薬を挟んでいない野菜やおやつを与えてしっかり薬をのみ込んでいることを確認しましょう。
また、最近では犬用の投薬補助のおやつや服薬セリーなども販売されています。薬を投薬補助のおやつと一緒に食べさせるというものです。嗜好性にこだわった投薬補助のおやつは犬が薬の臭いに気づきにくくなるため普段のおやつと勘違いして薬を飲んでくれる可能性が高いです。薬を飲ませることに苦労しているという飼い主は確認してみるとよいでしょう。
じゃがいもやさつまいもなどの蒸し野菜はマッシュした後に薬を包んで団子状にして与えるという方法もあります。団子状にして与える方法では、与えた時に愛犬が咬んで薬に気づいて吐き出さないように小さめにすることがポイントです。
パターン3:飼い主が直接飲ませる方法
犬は嗅覚が優れているため、薬がある事に気が付いてどうしても普段の食事やおやつと一緒に飲み込んでくれないという場合は、飼い主が直接薬を飲ませます。飼い主が直接飲ませる方法は確実に愛犬に薬を飲ませる事ができます。愛犬と信頼関係ができている飼い主であれば問題なくスムーズに薬を与えることができるでしょう。
<薬の飲ませ方>
- 両手で愛犬の上下のあごを掴んで口を開く
- 錠剤やカプセルを喉の奥に置き、口を閉じる
- 口が開かないように固定し、喉元をなでて飲み込ませる
※口や食道に薬やカプセルが張り付いてしまわないように投薬後は必ず水を飲ませるようにしましょう。飲んだと思ってもこっそり吐き出してしまう犬もいるのでしっかり薬が飲めているか最後まで確認しましょう。また、投薬で愛犬の口を開くときに咬まれないように気を付けましょう。
粉剤
薬剤を粉状や粒状にしたものです。量の調整がしやすいため体重の軽い犬に処方されることが多いです。すぐに吸収されるため薬の効果が表れるのが早いです。
粉剤の与え方
粉剤も錠剤やカプセルと同様に毎日の食事に混ぜて嫌がらずに食べてくれるようであれば問題ありません。普段の食事がドライフードだけであれば、粉剤を混ぜたウェットフードを追加して与えたり、市販の投薬ゼリーなどに混ぜて与えるという方法もあります。しかし、味の変化に神経質な犬は薬を混ぜた食事を食べてくれない場合があります。その場合は飼い主が直接飲ませてあげましょう。
飼い主が直接飲ませる方法
少量の水やはちみつ、ガムシロップに薬を溶かし犬の口の中に直接塗り付けるという方法があります。
<薬の飲ませ方>
- 犬の口の端の緩みがある部分を広げます
- 指に溶かした薬をつけて口の中の横の粘膜に塗り付けます
- 犬の頬を揉むようにして飲み込ませます
他に粉剤を混ぜたペースト状の液体を鼻の下などに塗り付けるという方法もあります。そうすると犬が勝手になめとってくれるため、薬を飲ませる事ができます。
液剤(シロップ)
液剤は、精製水やシロップなどの液体に薬剤の成分を溶かして作られた薬です。甘味がついていることが多いので、薬と思わずにそのまま飲んでくれる犬も多く比較的飲ませやすい薬です。液剤は比較的に犬が抵抗なく飲んでくれることの多い薬ですが、敏感な犬であれば飲んでくれない場合もあります。そういった時は錠剤やカプセルで紹介した食事やおやつと混ぜて与える方法を試してみましょう。それでも難しい場合は飼い主が直接飲ませることになります。シロップはスポイドやシリンジなどを利用して飼い主が飲ませてあげましょう。スポイドやシリンジを利用する方法は粉剤を液体に溶かして飲ませる場合にも活用できます。
<薬の飲ませ方>
- スポイドやシリンジに液体を入れる
- 犬の口をやや上向きにし、口を開かせる
- くちびるの端にスポイドやシリンジを差し込み少しずつ飲ませる
- しっかり飲み込むように上向きのまま少し固定する
愛犬に薬を飲ませた時にはたくさん褒めてあげましょう。愛犬は飲みたくない薬を頑張って飲んでいます。信頼関係が崩れてしまわないようにごほうびなどをあげたりとフォローを行う事も忘れずに行うとよいでしょう。続けていると覚えて薬も抵抗なく飲んでくれるようになっていくこともあります。
よくある犬に薬を飲ませる時の疑問
吐き出してしまった薬は再度与えても大丈夫?
飲んですぐに薬を吐き出してしまうようなケースにおいて、錠剤などの薬の形が残っているものは再度与えても問題ありません。しかし、時間が経過してから吐き出し、薬の形状が残っていないような場合は薬の処方を受けた獣医師に相談しましょう。
シロップタイプは水に混ぜても大丈夫?
少量の水で薄める程度であれば問題ありません。ただし、飲み水に入れてしまうと処方された量をしっかり飲んでいるか、分からなくなってしまうため行わない方がよいでしょう。
薬を飲んだ後に吐いてしまい、下痢もしているけど大丈夫?
薬を飲んで嘔吐や下痢をしている場合は、投薬を中止し薬の処方を受けた獣医師に相談しましょう。薬が愛犬に合っていないという場合もあります。そういった時は別の種類の薬を処方してもらうことができますので状況を獣医師に相談しましょう。
愛犬の医療費はペット保険で備えよう
現代では、犬に限らずペットは家族の一員として飼育されていることが多いです。家族の一員である動物も人と同じくケガをしてしまったり、病気になってしまう事があります。人と同じように動物病院で診察を受け、薬が処方されるたりもします。しかし、動物は人のような健康保険制度がないためケガや病気になってしまった時の医療費は飼い主の全額自己負担です。長期で通院が必要になったり薬の服用が必要になった時、または手術や入院で高額な医療費を負担しなければいけないようなこともあります。そのような時のペットの医療費負担を軽減することができるのがペット保険です。
ペット保険は、ペットが病気やケガで治療を受けた場合にかかった費用を限度額や一定割合の範囲で補償する保険です。ペット保険に加入していれば、一定の費用については保険から補償が受けられるため急なペットの体調不良でも医療費負担を軽減することができます。ペット保険は民間の保険会社が販売しているものなので、加入に条件が設けられています。ペット保険の年齢条件では、病気やケガのリスクが高くなる高齢のペットは加入できない場合が多いです。ですから、ペットが若く元気なうちに将来の医療費に備えたペット保険の加入を検討しておくとよいでしょう。
ペット保険は薬代も補償対象になる?
犬が病気やケガで長期の治療で投薬が必要になった場合、薬代も高額になってしまう事があります。ペット保険では、処方された薬がペット保険の補償の対象となるかどうかは処方された「薬の目的」で決まります。基本的には、治療目的の場合はペット保険の対象となり、フィラリア予防やノミ・ダニ駆除薬などの予防のために処方された薬はペット保険の補償対象外となります。
■治療が目的の場合:ペット保険の補償対象
■予防が目的の場合:ペット保険の補償対象外
まとめ
人も薬が好きだという人はあまりいないと思います。しかし、人は薬を飲む理由を理解しているため苦い薬でも我慢して飲む事ができます。犬に限らず動物が薬を嫌がるのは当たり前ですし、治療薬だと理解することはできません。犬でもその犬ごとに性格は異なります。警戒心が強い犬や臆病な犬、食いしん坊で食欲旺盛なため薬でも食事にまぜてあればペロッと何事もなかったように食べてしまう犬など様々です。愛犬に合わせてできるだけストレスにならないように薬の与え方を工夫してあげましょう。また、薬を与える時にも飼い主との信頼関係が厚い程、薬の投与もスムーズにいくでしょう。病気になってしまった時の治療をスムーズにするためにも普段からのコミュニケーションが大切です。
また、病気やケガになってしまう前にペットの医療費が心配だという人はペット保険で備える事も考えておくとよいでしょう。ペット保険は治療が目的の薬代は補償対象となっています。大きな病気やケガだけでなく、通院や薬の投与で治療費がかさむ場合もあります。そのような時にもペット保険の補償があると安心です。