犬などの動物は見た目では年齢が分かりづらいものです。多くの人は犬の年齢を聞いて人の年齢に換算し一緒に過ごす時間のライフプランや老後の過ごし方、寿命をより身近に考えたりします。同じ犬でも犬種や体の大きさ、犬の飼育環境によって違いがありますが、犬の年齢を人に換算すると何歳なのか紹介します。愛犬の参考にしてみましょう。
目次
犬の年齢換算表
犬の年齢を換算する方法はいくつかありますが、これまで一般的に用いられてきた犬の年齢に7を掛けて考える方法や1歳で一気に大人になる方法となどがありました。しかし、2019年に発表された米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究チームが老朽化に伴い変化する「DNAのメチル化」を元に導き出した新しい算出方法が発表され話題にもなりました。今後、犬の年齢の計算の仕方の主流が変わっていくかもしれません。犬の年齢の考え方が変わると人とのかかわり方にも影響するかもしれませんね。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)が発表した犬の年齢の換算方法は下記になります。
■人間に相当する年齢 = 16 × ln(犬の年齢)+31
それでは、このUCSDが発表した換算方法とこれまで考えられていた計算方法で犬の年齢を人間の年齢に換算してみます。
犬の年齢を7倍する
犬を飼っていない人でも、犬の年齢を7倍すると人間の年齢になると聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。「犬は人間の7倍のスピードで歳をとる」と言われていた頃もありました。犬の大まかな年齢を把握し、加齢による健康状態を把握したいときには便利です。
この計算方法では、愛犬が8歳になると人間の56歳です。8歳くらいになるとシニア犬用のフードに変えたり、愛犬の高齢準備について考えておきましょう。
■人間に相当する年齢 = (犬の年齢)× 7
犬の実年齢 | 人間の年齢に換算 |
---|---|
3歳 | 21歳 |
5歳 | 35歳 |
8歳 | 56歳 |
10歳 | 70歳 |
12歳 | 84歳 |
15歳 | 105歳 |
犬は1歳で人間の成人年齢になる
現在、犬の年齢を人間に換算する方法として最も一般的な方法となっている計算です。小型犬・中型犬は1歳で人間に換算すると20歳程度になりその後1年ごとに人間の4年分成長するとされています。大型犬は2歳で人間に換算すると20歳程度、その後は小型犬・中型犬より成長スピードが速く犬の1年は人間の7年として考えます。
※犬が1歳で人間の成人年齢になるという計算方法も諸説あります。犬種や飼育環境によっても異なりますので参考に考えておきましょう。
■小型犬・中型犬:人間に相当する年齢 = 20 + (犬の年齢 - 1)×4
■大型犬:人間に相当する年齢 = 20 + (犬の年齢 - 2)×7
【人間の年齢に換算/目安】
犬の実年齢 | 人間の年齢に換算 | |
---|---|---|
小型犬・中型犬 | 大型犬 | |
1ヶ月 | 1歳 | 1歳 |
3ヶ月 | 5歳 | 2歳 |
6ヶ月 | 9歳 | 6歳 |
1歳 | 20歳 | 12歳 |
2歳 | 24歳 | 20歳 |
3歳 | 28歳 | 27歳 |
4歳 | 32歳 | 34歳 |
5歳 | 36歳 | 41歳 |
6歳 | 40歳 | 48歳 |
7歳 | 44歳 | 55歳 |
8歳 | 48歳 | 62歳 |
9歳 | 52歳 | 69歳 |
10歳 | 56歳 | 76歳 |
11歳 | 60歳 | 83歳 |
12歳 | 64歳 | 90歳 |
13歳 | 68歳 | 97歳 |
14歳 | 72歳 | 104歳 |
15歳 | 76歳 | 111歳 |
20歳 | 96歳 | 146歳 |
一般的に体が大きい犬の方が小型犬よりも寿命が短いという特徴があります。遺伝子や体の仕組みが違うため特に大型犬は小型犬よりも成長スピードが速く、大きな体を維持するために体への負担が大きく病気になりやすい傾向があります。大型犬は『3歳までが幼犬、3歳~6歳までが良犬(成犬)、6歳~9歳までが老犬、10歳を超えたら「神様からのおくりもの」』と言われることがよくあります。大型犬は凛々しい出で立ちで強そうな印象が強いですが、小型犬よりも短命であるという事が言えます。
<最新研究>犬と人のDNAメチル化による計算式
犬と人のDNAメチル化(DNAの塩基の一つにメチル基が付加する化学反応)パターンの加齢に伴う変化に基づく新たな計算式は、1ヶ月~16歳のラブラドールレトリーバー104頭のDNDメチル化パターンを調べ、人のDNAメチル化パターンと比較し導き出されたものです。そのため、現在のところ大型犬の特定の犬種のみのデータになり、小型犬や中型犬には当てはまらないと考えられます。しかし、科学的な根拠を元に導き出された計算式の為、この手法で小型犬や中型犬の人間に換算した時の年齢も求める事ができそうです。
■人間に相当する年齢 = 16 × ln(犬の年齢)+31
DNAのメチル化
DNAのメチル化とは、遺伝子(DNA)のCpGという配列の部分でCに-CH3という分子(メチル基)がつくことです。私たちの体は様々な組織からできており、これらは別々の細胞で構成されています。どの細胞も同じ遺伝子情報を持っているのに別々の細胞になれるのは、使う遺伝子と使わない遺伝子に目印を付けているからです。DNAメチル化は、複雑な生物の体を正確に形づくるために必要な仕組みです。
参考:国立がん研究センター研究所「エピジエネティクスとは?」より
■人間に相当する年齢 = 16 × ln(犬の年齢)+31
犬の実年齢 | 人間の年齢に換算 |
---|---|
1歳 | 31歳 |
2歳 | 42歳 |
3歳 | 49歳 |
4歳 | 53歳 |
5歳 | 57歳 |
6歳 | 60歳 |
7歳 | 62歳 |
8歳 | 64歳 |
9歳 | 66歳 |
10歳 | 68歳 |
11歳 | 69歳 |
12歳 | 71歳 |
13歳 | 72歳 |
14歳 | 73歳 |
15歳 | 74歳 |
16歳 | 75歳 |
愛犬の老後(シニア)時期を見極めて健康管理を!
いくつか犬の年齢を人間に換算して考える計算式の方法を紹介しましたが、どの方法で計算するにしても犬は人よりも速いスピードで歳を重ねていくことが分かります。犬にも犬種によって成長スピードは異なりますし、飼育環境によっても変わってきます。しかし、人が犬の年齢を人間に換算して考えるのは、愛犬の年齢を踏まえたうえで健康状態を把握するのに人間の年齢に例えると「分かりやすいから」という点も大きいでしょう。
犬が何歳から老犬(シニア)犬と呼ばれるようになるのかという明確な定義はありません。しかし、老化の兆候は見た目や行動に現れてきます。一般的に犬が老齢期に入ったと言われるのは、小型犬・中型犬で10歳くらい、大型犬では7歳くらいからです。犬の人間に換算した年齢を参考に愛犬が今どのような状態なのか理解して年齢に合ったケアをしてあげる事が大切です。年齢に合った愛犬の健康管理を行い老齢の年齢に差し掛かったころには元気なうちに老化の予防を行ったり、老化の兆候が見え始めたら早い内に高齢準備を行っておくとよいでしょう。
老化の予防方法
愛犬の年齢に合わせてケアをしてあげましょう。
- お散歩の工夫:体力に合わせた散歩のコース選びで楽しいお散歩時間を習慣づけましょう
- マッサージやストレッチ:血流を良くし、筋肉の柔軟性を保ちましょう
- 犬の脳トレ:飼育おもちゃなどを使ったボケ防止を工夫しましょう
老化のサイン
- 外見の変化:白髪が増えたり、毛ツヤがなくなるなど外見の変化に注意しましょう
- 行動の変化:運動機能の低下や食欲の低下など行動の変化に注目しましょう
何歳からシニア犬?犬の老化を予防する方法は?
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ペット保険で愛犬の医療費に備える
犬も年齢を重ねていくと病気やけがをしてしまうリスクは高くなります。また、犬種によっても平均寿命やかかりやすい病気のリスクは異なります。愛犬の健康維持について気を配れるのは飼い主だけです。元気で長生きできるように愛犬それぞれの健康状態に合わせたケアを行ってあげましょう。それでも犬も人間と同様に病気やケガをしてしまうものです。現代の社会では、愛犬に体調不良の兆候があると動物病院に連れていく飼い主の方が多いと思いますが、犬は人間のような医療保険制度はありません。そのため、医療費は全額飼い主の負担となってしまいます。そのような愛犬の医療費に備えるため「ペット保険」に加入する人が増えています。
ペット保険は、ペットが病気やケガで治療を受けた場合にかかった費用を限度額や一定割合の範囲内で補償する保険です。ペット保険に加入していれば、一定の費用については保険から補償が受けられるため急なペットの体調不良でも医療費負担を軽減することができます。ペット保険は民間の保険会社が販売しているものなので、加入に条件が設けられています。そのため、病気やケガのリスクが高いペットに関しては加入が制限されています。特に加入条件に年齢制限が設けられていることが多く新規加入の条件を8歳~12歳で設定されていることが多いです。ペットが高齢になり動物病院に通う事が多くなってからペット保険に加入したいと考えても遅い場合があります。現在元気な愛犬もいつかは高齢期を迎え動物病院の通院が必要になるかもしれないという事を考えペット保険についても考えておきましょう。
ペット保険に加入条件はある?
ペットには人間のような公的医療保険がないので、病気やケガになった時に備えてペット保険に入っておくと安心です。人間が民間の保険に入るとなると健康状態などによって加 ...
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ペット保険のメリット
ペットの医療費の負担が軽くなる
ペット保険に入ることでペットの治療費の負担を軽くすることができます。ペットには人間のような公的医療保険はないので治療費は全額飼い主の負担となります。また、治療内容によっては数十万円や百万円もの費用が掛かるケースもあります。ペット保険に入っていれば治療費として急に高額な負担が発生したとしてもそのうちのいくらかは保険金でカバーすることができます。
早期発見・早期治療につながる
ペット保険に入っていれば治療費に関する不安が軽減されるので、ペットを病院に連れていきやすくなります。これはペットの病気の早期発見・早期治療にもつながるので、ペットの健康を守ることができ、また、病気になった場合の最終的な医療費負担を抑えることができます。
病院の窓口で精算できるものもある
一部のペット保険では提携している病院で治療を受けた場合に、「保険証」を提示することで病院の窓口で保険金の精算をすることができます。これによって窓口で支払わなければならない金額を減らすことが可能です。急な病気やケガの時はなるべく早く病院に連れていきたいものですが、窓口で精算できるペット保険であれば用意しなければならない金額も減り、早く病院に連れていきやすくなります。
まとめ
犬の年齢を人間の年齢に換算して考える人は多いと思います。動物の年齢をあえて人間の年齢に換算する必要はないという考えもありますが、家族の一員である愛犬の年齢的な健康状態の変化を分かりやすく理解するために人が編み出した方法のように思います。計算方法は諸説ありますが、参考にするとよいでしょう。
犬を飼い始めたら生涯面倒をみるという覚悟と責任を持って愛犬の老後のことや病気やケガをしてしまったときの対処をどうするかということを考えておかなければいけません。愛犬を家族に迎えると家計の出費に確実に犬の飼育費用が追加されます。愛犬が病気やケガをしてしまった時には飼い主がケアをしてあげなければいけません。動物病院で診療を受ける事になれば医療費の負担もかかります。そのような時のためにペット保険の必要性についても考えておきましょう。