子猫は親猫に世話をしてもらうために甘えて良く鳴きますが、猫は本来大人になるとあまり鳴くことのない動物です。猫は自然界では単独行動をする動物で周りとコミュニケーションをとることがあまりなく敵に自分の居場所を知られないように無駄に声を発しない動物だったのです。しかし室内で飼育されている猫は成猫であってもさまざまな鳴き声で飼い主に呼びかけてくることがあります。それは、猫が人との共存の中で敵に遭遇するような危険があまりなく声を発して鳴くことでメリットがあるということを覚えていったからでしょう。猫が人に対して鳴く時は相手に要求や気持ちを伝えたい時です。猫の鳴き声や鳴き方で分かる猫の気持ちと注意したい鳴き声について紹介します。
猫が鳴く3つの理由
猫が鳴く理由は3つに分類することができます。飼い猫でもよく鳴く猫とあまり鳴かない猫がいたりと個体差もありますが、オスメスの違いで言えばメスよりもオス猫の方が鳴きやすいと言われています。特に去勢されたオス猫は人間に甘えるようになることが去勢前よりも強い傾向があります。
猫が鳴く理由
1.甘え・要求
飼い主に要求している- にゃーにゃー
- にゃーーーーーん
お腹が空いたため餌を要求している、トイレをきれいにしてほしい、遊んで欲しい時に飼い主の側で「にゃーにゃー」と鳴くことがあります。また、長く「にゃーーーーーん」と鳴いている時も甘えた様子で何かを訴えている時に鳴く鳴き方です。鳴き方が強い場合は強く訴えていると考えられ少し機嫌が悪いのかもしれません。
ココに注意
猫が鳴いているからとすぐに要求に応えていると要求鳴きはエスカレートしていくことがあります。猫が鳴いていてもすぐには要求に応えずに飼い主のタイミングで対応するようにしましょう。
- にゃっ
- うにゃっ
猫が短く「にゃっ」と鳴くことがあります。短く「にゃっ」と鳴いている時はあいさつのようなものだと考えられています。名前を呼ばれて「にゃっ」と返事を返すような場面もあります。また、食事中などに「うにゃっ」という声を出すことがあります。これはごはんがおいしく喜んでいるときに聞けることがある鳴き声であることが多いです。ごはんがおいしいため喜んでいると受け取っておけばよいでしょう。
甘えている- ぐるぐる
- ごろごろ
- みゃお
- あおーん
猫が「ぐるぐる」「ごろごろ」と口を閉じたまま喉を鳴らしている時は甘えている時です。子猫が親猫に対して甘えているときに出す音ですが、成猫であっても飼い主に甘えているときに出します。
- サイレント「にゃー」
子猫が口を動かしてかすれた鳴き声で「にゃー」と鳴くときがあります。俗に「サイレントニャー」と言われますが、甘えている時に出す鳴き声です。
2.不安・恐怖
嫌な気持ちを感じている- ニャオォーニャオォー
- ニャゴニャゴニャゴニャゴ
何かに対して拒否をしており、猫が嫌な気持ちの時にこのような鳴き方をするときがあります。例えば、動物病院で診察をされている時や知らない相手が家に遊びに来ているときなどに嫌な気持ちを表す鳴き声として聞くことがあります。
驚きと叫び- ギャー
急に大きな声で「ギャー」と叫ぶように鳴いて飛びあがり走り出してしまうようなときがあります。そうした鳴き声を出すときは体に強い痛みを感じた時の反応と捉えましょう。例えば尻尾を踏まれた、ドアに挟んだ、などの時に出す声です。痛みによって出た鳴き声であることが考えられるため愛猫に何かしらのケガなどの異常がないか確認しましょう。
3.威嚇・発情
威嚇している- シャー
- ンー
- フー
- ウー
猫が強い口調で「シャー」「ンー」「フー」「ウー」という声を発しているときは相手に威嚇や拒絶の態度を表している時です。自分のテリトリーに見知らぬ動物が近づいてきた時などによく聞かれる声です。攻撃態勢に入っている時の鳴き声で、この状態の時に刺激すると引っ掻かれるなど傷を負ってしまうこともあるので気を付けましょう。猫自身も強いストレスを感じている時のため構わないようにしましょう。
クラッキング行為- カカカッ
- ケケケッ
猫の「カカカッ」や「ケケケッ」といった鳴き声は、狩猟本能からくる興奮した時に出す鳴き声とされています。クラッキングと呼ばれる鳴き声で獲物を狙っている時に出る鳴き声で獲物を捕まえられないストレスや不満が鳴き声になって出るようです。家庭で飼育されている猫は獲物を捕まえるということがない環境にいる事が多いですが、家の中に虫が入り込んできた時や窓から見える鳥などに対して捕まえたいという本能からクラッキング行為による愛猫の鳴き声を聞いてしまう飼い主がいるかもしれません。
発情している- アオーン
- ミャーオ
猫の「アオーン」「ミャーオ」といった鳴き声は、発情期に発する鳴き声です。発情期のうめき声のような鳴き声や甲高い鳴き声はうるさく不快に感じる人は多いです。発情期の行動は鳴き声だけではなく人にとって困ってしまう問題行動となる行動もあり飼い主のストレスになったりします。
発情期の対策
猫の発情期行動の対策として最も有効なのは避妊・去勢手術を行うことです。飼い主が愛猫の交配を希望しないのであれば避妊・去勢手術を行うことが最も効果的な解決方法と言えるでしょう。避妊・去勢手術は発情対策とともに病気の予防対策にもなります。発情期に欲求がかなわないと猫自身もストレスを抱えてしまいます。愛猫の発情期行動に悩まされている飼い主は避妊・去勢手術を考えてみてもよいかもしれません。
なぜ、うちの猫はあまり鳴かないの?
飼い猫の中には飼い主に自分の要求や気持ちを伝えるためによく鳴くタイプがいたり、あまり鳴かないといった猫もいます。あまり鳴かない猫がいる理由は何でしょうか?飼い主であれば、懐いていないのか、などと不安になってしまいます。しかし、猫は本来あまり鳴かない動物ですから自分の家の猫の性格だと理解して変わらず愛情を注いであげましょう。
理由1-控えめな性格である
猫がよく鳴いて飼い主に甘えて要求をアピールする猫かそうでないかは猫それぞれの性格や飼育の環境にもよるでしょう。子猫の頃からスキンシップが多く遊びの要求に応えていたり甘やかして育てた場合は成猫になってもよく鳴く猫に育つことがある一方で、もともと独立心が強い猫であったり、子猫の頃から飼い主とのスキンシップが少なければあまり鳴かない控えめな性格の成猫に育ったということであまり鳴かない控えめな猫ということがあります。
理由2-あまり鳴かない猫種である
猫の中には「ボイスレスキャット」と呼ばれている猫種もいます。猫は本来あまり鳴かない動物のため野生の猫に近いと言われている猫種はあまり鳴かないことが多いです。
あまり鳴かない猫種
- アビシニアン
- エキゾチックショートヘア
- シャルトリュー
- ペルシャ
- ヒマラヤン
- ロシアンブルー
理由3-生猫になって落ち着いた
若く活発な頃は活動量も多く高いところに上ったりおもちゃでよく遊んだりと鳴いて飼い主に何かをアピールすることが多いですが、大人になり落ち着いたことであまり鳴かなくなる猫がいます。成長とともに鳴かなくなったというのはあまり心配する事ではないでしょう。
注意して観察したい猫の鳴き声
あまり鳴かない猫が年齢を重ねてよく鳴くようになったり、いつもと違う鳴き声を発している時はケガや病気などの異常を抱えているのかもしれません。猫は憶病な動物で病気を隠す習性がありますが、愛猫の異常にいち早く気付きケガや病気は早期発見・早期治療が重要になります。
おしっこをするときに痛そうに鳴く
おしっこをするときに唸るような痛そうな鳴き声を出している時は尿路結石ができている可能性が考えられます。尿路結石は、細菌感染が原因で起こる場合や栄養バランスの偏り、肥満や運動不足などにより水をあまり飲まずに排尿する回数が少ないことで起こります。頻繁にトイレに行くのにオシッコが出ていない、排尿時に痛がっている、尿が濁っている、血尿が出ているといった症状があります。
特にオスの猫は、尿道が細いために尿結石などが尿道が詰まり、おしっこが出にくくなると尿道閉塞という症状に至ってしまうことがあります。放っておくと急性腎不全や膀胱破裂など命に係わる病気に発展することもあります。
急に叫ぶように鳴く
ケガや病気からくる痛みによるもの
急に大きな声で「ギャー」と鳴くようなことがあると上記で紹介しましたが、突然自分の体に痛みが走ると興奮したような大きな声で叫ぶことがあります。そういった時は、ケガや病気による痛みを感じてた場合が考えられるため愛猫に異常がないか確認しましょう。
- 歯周病や口内炎からくる痛み
- 尻尾や体の一部を踏まれたり挟んだりしたことによる痛み
- ケガによる傷による痛み
- 病気を患っている痛み など
認知症や分離不安からくるもの
猫も平均寿命が長くなっており、高齢の猫が増えてきました。猫も認知症になることが分かっています。高齢の猫が認知症になると大きな声で鳴いたり、夜鳴きをするようになることがあります。トイレの場所が分からなく失敗をしてしまったり、今までできていたことができなくなったような変化があれば認知症が疑われます。
猫の病気とペット保険
猫はあまり鳴くことがない動物ですが、家庭で飼育されている猫の中には飼い主に甘えてよく鳴く猫は多く存在します。愛猫の鳴き声の違いで愛猫の気持ちを知りたいといった飼い主も多いです。自分の家の猫はどんな特徴的な鳴き方をするのか飼い主は観察しておきましょう。いつもと鳴き方が違う場合、体のどこかに異変を抱えている場合があります。そういった場合は早めに動物病院を受診する事で病気の早期発見・早期治療が可能となります。
ペットを動物病院につれていくと医療費がかかります。ペットの医療費は人にあるような健康保険制度がないため全額飼い主の自己負担になります。そのため、愛猫に少し異変を感じてもはっきりとした体調の悪化が見られないと動物病院への受診をためらってしまう飼い主もいるでしょう。しかし、猫は体調不良を隠す動物で病気が分かった時には悪化しているということも多いため飼い主が早期発見・早期治療を意識してあげることが大切です。そんな時、ペット保険の加入があれば費用の心配なく動物病院を受診できるでしょう。
ペット保険は、ペットが病気やケガで治療を受けた場合にかかった費用を限度額や一定割合の範囲で補償する保険です。一定の限度額以内であれば保険対象の治療費の100%を補償するというプランもありますが、多くのペット保険では治療の70%や50%を補償するという形になっています。さらに、ペット保険は基本補償である「通院補償」「入院補償」「手術補償」の組み合わせで選択し加入します。愛猫に病気やケガの疑いがあった時に早期に医療費を心配することなく早期に動物病院で診察に向かえるようにペット保険があると心強いでしょう。