室内で犬を飼育することが一般的な現代において犬が適切に暮らしやすい室内温度に気を配っているという飼い主も多いのではないでしょうか。愛犬と一緒に過ごしているときは、愛犬が寒くて凍えているようであればすぐに対処できますが、愛犬をお留守番させて出かけるときの防寒対策はどうしたらよいのか?留守番中の愛犬の様子が心配だという人もいるでしょう。また、冬は乾燥のシーズンでもあります。犬の防寒・乾燥対策と注意点について解説します。
目次
室内温度は23~26度程度、湿度の目安は40~60%
犬は比較的寒さに強い動物と言われていますが、子犬や老犬、短毛種など寒さに弱い犬種も多くいます。現代ではその土地(原産)の気候風土に合った特徴を持った犬が様々な場所で飼育されているので、寒い冬を迎える日本で暮らす犬はその犬にあった適切な温度設定で対策してあげることが必要です。また、室内で飼育されることの多い現代の犬は人間との暮らしの中で人の暮す環境に慣れるように変化しています。そのため、それぞれ自身の愛犬の特徴をよく理解し快適な環境作りを心掛けてあげるとよいでしょう。
冬の寒い時期に犬が快適に過ごせる室内温度は大体23~26度くらいと言われています。また、冬は大気が乾燥していることにより皮膚の水分が奪われる季節です。人も冬になると乾燥による皮膚のトラブルで悩まされることがありますが、犬も皮膚の乾燥で肉球のひび割れをおこすなど人と同じように皮膚のトラブルに注意が必要になります。室内温度の設定と同じように乾燥対策のため湿度も40~60%程度になるようにしてあげると快適に暮らせるでしょう。
■温度:23~26度程度
■湿度:40~60%
乾燥によって鼻や喉が渇いてしまうと細菌やウイルスに対する抵抗力を弱めていきます。病気にもなりやすくなってしまうので加湿器を活用し風邪の予防を行うことは犬にも人にも効果的でしょう。
被毛に覆われている犬は、人がちょっと寒いと感じるくらいの温度が犬にとっては適温だったりします。冷え込む日などはエアコンの温度設定を上手に活用しましょう。冬場は犬も乾燥するので加湿器を活用するとよいでしょう。
愛犬が寒がっている時のサイン
犬は比較的寒さに強い動物と言われることもあり、雪の中を駆け回って遊んでいる犬の姿をイメージする人も多いと思います。実際に雪の中を楽しそうに駆け回る犬の姿を見たりします。しかし、近頃では子犬の頃から室内飼育で寒さに強いとされている犬種でも冬の寒さが苦手な犬もいます。愛犬が寒がっているようであれば防寒対策を考えてあげましょう。
- 体を丸めて動かない
- 体を小刻みに震わせている
- 飼い主に身を寄せてくる
- 耳の先や手足の先が冷たくなっている
- 外に出ること(散歩)を嫌がる
お留守番の時の注意点
暖房器具の使用は、火を使わないものにする
ストーブやヒーターは人がいる場所で使用する時には注意ができますが、犬のお留守番で使用するのは危険です。冬のシーズンはストーブやヒーターから周囲にある衣類など燃えやすいものに火が移り出火したという火災が増えます。じんわり暖かく便利なストーブで犬も暖かいストーブの前を陣取っていたりする姿がかわいかったりしますが、留守番中は室内で犬がどういった行動をとるか分からないため危険です。少しでも愛犬から目を離すときにはストーブやヒーターは使用しないようにしましょう。
愛犬だけのお留守番で外出する時にはエアコンを使うことをおすすめします。エアコンは温度設定も可能ですし、イタズラをされることもありません。エアコンは、朝から飼い主の帰宅が遅く長時間の留守番があるという家ではタイマーを活用することもできます。気温が下がる夕方ごろからタイマーをオンにする設定にしておくと安心ですし、電気代もさほど心配にならないでしょう。飼い主の帰宅時には暖かい部屋が迎えてくれるというメリットもあります。日中はエアコンがついていなくても、陽当たりがよければ冬でも窓からあたたかい日差しで適度に暖かく愛犬の好む毛布などの準備で犬は快適に室内で過ごすことができるでしょう。
また、留守番が比較的上手にできる犬であれば、イタズラ防止対策がされている犬用のホットヒーターなどを活用してあげてもよいかもしれません。犬用のヒーターを使用する際には、熱すぎると逃げ場がなくなってしまうのでヒーターが敷いてある場所と冷たい場所を用意しておく必要があります。
愛犬の防寒対策のために暖かい毛布やベッドなどを用意してあげるようにしましょう。
寒さに強い犬種と弱い犬種
寒さに弱い犬種
下記のような犬は寒さに弱い犬と言えます。小型犬であったり、シングルコートであったりして、寒さに弱いと言われている犬種も紹介します。飼育環境によって、寒さに強いと言われている犬でも子犬の頃から室内で飼育されていたりすると寒さが苦手に育つ犬も増えてきています。
寒さに弱い犬
下記のような犬は寒さが原因で体調を悪くしてしまうリスクが高いので適度な温度に注意してあげましょう。
- 子犬
- 老犬
- 温暖な地域が原産の犬
- シングルコートの犬
- 短毛種の犬
- 小型犬
- 闘病中の犬
- 病み上がりの犬
寒さに弱い犬種
- ウィペット
- イタリアン・グレートハウンド
- チワワ
- トイ・プードル
- パグ
- パピヨン
- フレンチ・ブルドッグ
- ブル・テリア
- ボストン・テリア
- ポメラニアン
- ミニチュア・ピンシャー
- ヨークシャ・テリア など
寒さに強い犬種
寒い地域が原産の犬の多くは寒さに強く、雪が積もる中でも活発に走り回っている姿を見る事ができます。これらの犬はダブルコートの被毛なため寒さに強いです。そのため冬でも活発に活動するため運動不足にならないよう散歩に連れていくなど適度な運動が必要です。
- 秋田犬
- 柴犬
- 北海道犬
- グレート・ピレニーズ
- サモエド
- シベリアン・ハスキー
- バーニーズ・マウンテンドッグ など
寒さ対策と注意点
動物は寒い冬にあたかかくぽかぽかした場所が好きです。人との共存に適応している現代の犬も人が使う防寒グッズを上手に使っていたりします。しかし、犬は人が見ていないとイタズラをしたりし、加減が分からず危険なことも多いです。人がしっかり管理するように注意しなければいけません。
長時間のこたつに注意
冬の寒い時期はこたつに入って出てこなくなる愛犬の姿はとても愛くるしいですが、長時間こたつの中にもぐったまま過ごさせるのは危険です。下記のような様々な症状の発症リスクがあるため注意しましょう。
- 熱中症の危険
- 脱水症状の危険
- 低温やけどの危険
- 酸欠になるリスク
- 乾燥による皮膚疾患の心配
使い捨てカイロ
人が使う使い捨てカイロは寒い時に温めてくれる便利なアイテムですが、犬の寒さ対策に活用するのはリスクが大きいためおすすめできないアイテムです。使い捨てカイロを愛犬の着る洋服などに貼って散歩に出かけたり、室内での活用に使用するといった行為は低温やけどの心配があります。人も使い捨てカイロで低温やけどをしてしまう人もいるという危険性について注意喚起されていることもありますが、それは犬にとっても同様です。
また、犬がカイロの袋を破って中身を誤食してしまうリスクもあります。カイロの中身を食べてしまったことですぐに重篤な症状となる心配は大きくありませんが、食べた量によっては激しい下痢や嘔吐を起したり、病院での処置が必要になったりするため愛犬への使用は避けた方がよいでしょう。
- 誤食のリスク
- 低温やけどの危険
電気コードのついた暖房グッズ
電気毛布、ホットカーペットなどの電気コードのついた暖房器具は、犬がコードを噛んで感電してしまったり、コードから出火してしまったりする危険性があります。子犬や噛み癖のある犬は、飼い主が室内で一緒に過ごしている時であっても危険性があるため使用を控えた方がよいでしょう。ペットヒーターなどで、噛んでも感電しないようにペットが使用するように丈夫に作られているものは安全ですが、それ以外を使用する時には注意するようにしましょう。
冬場に心配な犬の病気
冬の乾燥による病気予防には犬が届かない場所で加湿器の活用もおすすめです。乾燥によるトラブルから飼い主も愛犬と両方が対策できるでしょう。
1.皮膚疾患
乾燥による皮膚のトラブルも気にかけておく必要があります。犬の肉球割れ予防に肉球クリームなど乾燥対策グッズなども販売されているので上手に活用してみるとよいでしょう。
- 肉球のひび割れ
乾燥によって肉球がひび割れ、愛犬が舐めることにより指と指の間の皮膚に炎症が起きる指間炎などの二次被害の心配もあります。 - 乾燥による皮膚病
状態が悪いとフケが出たり、乾燥で痒くなることで掻いたりすると掻き傷ができたりトラブルが悪化していきます。
2.ドライアイ
冬は目も乾燥します。犬種によっては目がとても大きい犬もいます。乾燥により角膜や結膜が炎症を起こしドライアイを発症するケースがあるなど乾燥による目のトラブルにも注意が必要です。特に冬場の愛犬の目のケアにはうるおいを逃さないように適切なスキンケアを行ってあげましょう。
3.呼吸器
乾燥した冷たい空気が口や鼻に入ると軌道の粘膜が刺激され副鼻腔炎や咽頭気管支炎などの呼吸器系の病気を引き起こしてしまうことがあります。副鼻腔炎や咽頭気管支炎などの呼吸器系の病気は悪化すると肺炎を引き起こしてしまうことがあり、子犬や老犬など免疫力の低い犬は特に気を付ける必要があります。気管がつぶれて呼吸がしづらい気管虚脱や心臓の弁が機能せず、血液が逆流してしまう僧帽弁閉鎖不全症を患っている犬は喉が乾燥し咳が増えると病気の症状がさらに悪化してしまう心配がため乾燥予防対策には十分注意してあげましょう。
- 副鼻腔炎の心配
- 咽頭気管支炎の心配
- 肺炎の心配
4.循環器疾患
寒さに弱い犬は特に寒さからあまり動かなくなり、飲水量や活動量が減ってしまいます。水の摂取量が減り、体をあまり動かさずトイレに行く回数が減ると膀胱炎の心配もあります。
また、暖かい室内から寒い外に出ると急激な温度変化による血圧の急変があったり、寒い場所に長くいると全身の血液を体内に循環させために心臓への負担も大きくなります。心臓への負担を少なくするためには血圧を急上昇させないことが重要なため、寒暖差をできるだけ少なくした対策をとるようにしましょう。暖かい室内から寒い外に散歩に出かける際には犬服を着せる、玄関で数分冷たい空気に慣れさせてから外に出る、散歩は暖かい日中にでかけるなど愛犬の体温調節にも気を配ってあげましょう。
ペットの病気にはペット保険で備えよう
犬も生き物ですから健康に気を使っていてもケガや病気をしてしまうことがあります。冬は夏よりも犬にとって過ごしやすい季節ですが、ケガや病気と無縁なわけではありません。空気が冷たくなると冬場に起こりやすい病気もあります。いつ、愛犬を動物病院に連れて行かなければいけないことになっても費用の心配をせず動物病院の受診ができるようにペット保険の加入があると安心です。
ペットの医療費は人にあるような健康保険制度がないため全額飼い主の自己負担です。そのため、愛犬に少し異変を感じてもはっきりとした体調の悪化が見られないと動物病院への受診をためらってしまう飼い主もいるでしょう。しかし、病気は早期発見・早期治療が辛いはずの闘病生活を軽減する事ができたり、病気後のQOLを高めてあげる事ができます。
ペット保険は、ペットが病気やケガで治療を受けた場合にかかった費用を限度額や一定割合の範囲で補償する保険です。一定の限度額以内であれば保険対象の治療費の100%を補償するというプランもありますが、多くのペット保険では治療の70%や50%を補償するという形になっています。さらに、ペット保険は基本補償である「通院補償」「入院補償」「手術補償」の組み合わせで選択し加入します。愛犬に病気やケガの疑いがあった時に早期に医療費を心配することなく早期に動物病院で診察に向かえるようにペット保険があると心強いでしょう。