ペット保険の基礎知識

猫はペット保険に入った方がいい?猫の病気で注意することは?

最近では、完全室内飼いで猫を飼育している家庭も増えてきています。家の外に出る事のない猫でもペットが病気やケガをした時の治療費に備えるためにペット保険の加入は必要なのでしょうか。室内飼いの猫は外から病気をもらってきたり外で事故にあってケガをしてしまうような心配はありませんが、室内飼いの猫でも病気になったりケガをしてしまう事もあります。どのような人がペット保険に加入した方が良いのか、猫とはどういう動物で注意すべき病気は何なのか紹介します。

ペット保険とは

ペット保険とは、ペットが病気やケガで治療を受けた場合にかかった費用を限度額や一定割合の範囲内で補償する保険です。ペットには人間の公的医療保険のような制度はないため、治療にかかった費用は全額自己負担となってしまいます。治療内容によっては思わぬ高額な費用負担となってしまう可能性もあります。ペット保険に加入していれば、一定の費用については保険から補償を受けることができます。

ペット保険の補償内容は加入するプランによって違います。基本的な補償範囲となる「通院補償」「入院補償」「手術補償」を組み合わせて選択し、決められた補償割合(大体50%~80%)でかかった医療費の補償を受けます。

ペット保険の医療費補償

通院費用の補償病気やケガなどにより獣医師の診療を受けた場合の診療費
入院費用の補償病気やケガなどにより入院にかかった医療費
手術費用の補償病気やケガで手術をしたときにかかった医療費

ペット保険のメリット・デメリット

メリット

1.猫の医療費に備える

ペット保険に加入するメリットとして一番大きいのは、今は健康な猫でも、ケガや病気をしてしまうリスクがあり、高額な医療費が必要になった時にペット保険で医療費を軽減することができるという点です。

2.猫の病気の早期発見、早期治療

猫の具合が悪そうでも医療費が心配で動物病院での受診をためらってしまうということを避けられます。猫の医療費はペット保険の加入がなければ飼い主の完全自己負担になります。高額な医療費がかかってしまうのではないかと心配して受診をためらってしまったばかりに病気が進行していたというリスクを避ける事ができます。ペット保険は飼い主に費用負担を軽くなるという安心感を持たせてくれるでしょう。

3.損害賠償に備える(特約)

ペット保険はメインとなるペットの治療費の補償に加えて、ペット賠償責任特約を追加で契約することができる場合があります。ペット賠償責任特約とは、ペットが他人にケガをさせたり他人のモノに損害を与えて法的な損害賠償責任を負った際に保険金が支払われる保険です。完全室内飼いの猫の場合、他人に損害を与えてしまうような事はないかもしれませんが、遊びに来た友人にケガをさせてしまったような場合に備えられます。ただし、賠償責任保険は自動車保険や火災保険の特約で既に加入している場合は重複してしまうため注意しましょう。

デメリット

1.医療費の全額補償ではない

ペット保険は、医療費は加入時に決めた補償割合で治療費の何%を保険金として受け取るかが決まるため自己負担分も発生します。人の健康保険も現役世代は原則3割負担なので同じように考えればよいと思います。ペット保険は飼い主が自分の負担割合を設定し加入することになるという事です。加入時にしっかり確認しておく必要のあるポイントとなります。また、何の費用に対して加入するのかも選択します。「通院補償」「入院補償」「手術補償」の基本補償から必要な補償の組み合わせを選択するので、後々トラブルにならないようにしっかり確認しておきましょう。

2.猫の病気予防費用や避妊、去勢費用などは対象外

猫などのペットを飼育すると定期的に必要になる費用に予防費用があります。ペット保険は病気やケガの医療費に対して支払われるものなので、病気になっていない予防費用については対象外となります。ワクチンやフィラリアなどの病気予防費用です。また、まとまった費用が必要になる避妊や去勢の手術費用も対象外です。

3.猫の年齢制限と保険料

ペット保険は加入に年齢制限が設けられていることが多く1年更新で契約を更新していくことがほとんどです。更新は終身でできるという保険会社が多いですが、更新できる年齢に上限がある保険会社もあります。ペットが若い時に加入していれば、加入時の保険料で更新し続けられるかというと、そういうわけではなく、1年更新でペットの年齢が上がれば保険料も高くなることが多いです。では、飼い猫が高齢になり、ケガや病気をしてしまうリスクがたかくなってから加入しようと考える人もいますが、ペット保険は新規加入の年齢制限を7歳前後で設定されていることが多く、医療費がかさむ年齢になってからペット保険の加入を考えても加入が難しく加入できる保険会社の選択肢が限られるといった点があります。

猫の飼育でペット保険に加入した方がいい人とは?

日本においてはペット保険はまだあまりメジャーな存在とは言えません。猫を家族に迎え入れてペット保険に加入するかどうかのその判断のポイントとなるのは、猫の治療費で家計が苦しくならないだけの貯蓄があるかというところになるでしょう。ペットの治療費はペットの種類や病気やケガの内容によっても変わりますが、数万円~数十万円もかかることもあります。この治療費はペット保険がなければ全額自己負担となるので、その負担に耐えられないのであればペット保険に加入して備えておいた方が良いでしょう。

また、ペット保険は掛け捨ての保険なので、ペット保険に加入するのではなくその保険料の分を貯蓄しておけばよいのではないかと考える人もいると思います。しかし、「貯金は三角、保険は四角」という言葉が表す通り、十分な金額を貯められないうちに病気やケガをしてしまって治療費に不足してしまう可能性があります。寿命の差から人間の1年とペットの1年を同じように見ることはできません。アイペット損保での保険請求実績では、ペット保険に加入後、1年以内に請求を行うケースはおよそ60%※となっています。こうしてみると、ペット保険に加入して備えておくのは十分にメリットがあるでしょう。(※ 2018年1月1日~2018年12月31日保険請求実績 アイペット調べ 対象商品:「うちの子」)

更に、ペット保険には加入条件が設けられており、新規加入できる年齢に条件があります。多くのペット保険では新規加入できる年齢の上限を8歳~12歳としています(犬・猫の場合)。年齢が高いと病気のリスクが高くなるので引受を制限しているのです。室内で飼育している猫であっても年老いていきます。猫がかかりやすい慢性的な病気もあります。高年齢になって発症した長期療養が必要な病気になってしまった時の治療費についても考えておきましょう。

猫の治療費はどのくらい?

日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用は、猫の場合平均6,991円となっています。年齢別にみると、0歳~6歳は平均6,779円、7歳~12歳は平均6,467円、13歳以上は平均7,991円です。13歳以上ともなると病気になりやすくなるので、動物病院にかける平均費用も上がっています。

猫の家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用の平均額
0歳~6歳7歳~12歳13歳以上全年齢平均
6,779円6,467円7,991円6,991円

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

また、1つの病気の治療費の最大額については平均54,197円です。1万円未満が21.5%と最も多いですが、10万円以上という回答も合計で12.8%あります。30万円以上40万円未満と回答した人も4.1%います。年齢別でみると、0歳~6歳では平均47,251円、7歳~12歳が52,821円、13歳以上が65,208円と年齢が上がるにつれて平均額も上がっています。13歳以上では10万円以上という回答が合計で17.4%あり、6匹に1匹以上の猫が治療費が10万円以上かかる病気にかかったことがあるということになります。

年齢別猫の1つの病気にかかった時の治療費の最大額
1万円未満1~2万円未満2~3万円未満3~5万円未満5~10万円未満10~20万円未満20~30万円未満30~40万円未満病気にかかったことはない
0歳~6歳23.3%14.2%10.7%10.5%7.7%4.1%0.9%3.7%24.9%
7歳~12歳22.8%17.6%12.0%10.6%7.4%8.8%1.6%3.6%15.6%
13歳以上17.1%13.1%16.2%10.8%14.5%10.0%2.3%5.1%10.8%

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

猫という動物

完全室内飼いで飼育されている猫であれば、外で病気をもらってくるようなことや外で猫同士ケンカをしてケガを負ったり、交通事故にあってしまうようなリスクは少ないです。しかし、日々の食生活や年齢などによって病気になってしまうリスクは避けられません。

猫と魚

猫はもともと中東の砂漠地帯でネズミなどを追って生活していた肉食の動物です。猫は魚が好きなイメージがありますが、それは海に囲まれた国土である日本独自の考え方といえるかもしれません。とはいえ、港付近で魚を食べて生活しているような猫もいますし、魚からできたエサを好む猫もいます。魚の匂いが強いエサやおやつなどもたくさん販売されていることからも猫にとって魚は食べてはいけない食べ物であるということではありません。

しかし、猫に魚を与える時にはいくつか注意しなければいけない点を覚えておきましょう。

不飽和脂肪酸と黄色脂肪腫(イエローファット)

魚にはDHAやEPAを含む栄養素がたくさん含まれています。人間にはとても体に良い栄養素ばかりですが、その中の不飽和脂肪酸を猫が摂取しすぎると黄色脂肪腫(イエローファット)という病気の原因になってしまいます。猫の体内の脂肪に不飽和脂肪酸が多く蓄積するとビタミンEが不足し猫の脂肪を酸化させ脂肪が黄色く変色してしまう黄色脂肪腫という病気を引き起こします。不飽和脂肪酸はサバやイワシなどの青魚に多く含まれている栄養素です。人間にとって青魚は栄養素が豊富で摂取したい食べ物ですよね。「人の感覚で栄養が豊富だから猫にもいいだろう」と与えすぎると病気の原因となってしまうので注意しましょう。

煮干しと病気

「猫は魚が好き」「猫は煮干しが好き」と思っている人も多いように思います。確かに魚を材料にしたエサなどは匂いが強く嗜好性が強いため、魚が好きな猫は魚も煮干しも食いつきがよいでしょう。しかし、煮干しには、マグネシウム、リンなどのミネラルが豊富に含まれており、尿結石の原因となります。

また、煮干しは塩分が多く含まれています。猫はもともと砂漠地帯に住む動物であったため少ない水で生きられるように腎臓での尿の濃縮率が高く、そのために腎臓に負担がかかりやすく、慢性腎臓病になりやすいです。そのような体質である猫が塩分の多い食べ物を食べていると腎臓病のリスクは更に高くなってしまいます。

煮干しも不飽和脂肪酸が含まれているので、黄色脂肪腫(イエローファット)原因になります。ペットショップなどでは、猫用の煮干しのおやつなども多く販売されています。猫に煮干しを与えてはいけないという事ではありませんが、病気のリスクも考え与えすぎには注意しましょう。

魚とアニサキス寄生虫

魚介類にはアニサキス寄生虫が寄生している心配があります。人間でも嘔吐や激しい痛みを伴う中毒症を起してしまう事がありますが、猫の場合も同様です。

アニサキス寄生虫は魚介類の内臓に寄生しており、鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動してきます。また、熱にも弱いです。新鮮な生魚であったり、煮たり焼いたりした魚は問題ありませんが、猫は魚が好きというイメージから数日経過した人が食べ残した生魚を与えていたり、内臓などを与えているような事がある場合は注意しましょう。

猫がかかりやすい病気

猫が最もかかりやすい病気に慢性腎臓病(腎不全)があります。猫は砂漠地帯で生活をしていた動物のため水をあまり飲まない動物で腎臓病になりやすいです。腎臓病のリスクを高めるミネラルが豊富な煮干しは猫が好んでも与える量に注意しましょうという話をしましたが、腎臓は一度壊れてしまうと再生しない臓器です。猫は生態的に腎臓病にかかりやすいという事を知っておきましょう。猫の生態を知る事でエサの選択やおやつにも注意してあげることができます。

水をあまり飲まない習性のため泌尿器科の病気にもかかりやすいです。食事の際には新鮮な水を近くに置いたりといった工夫や水分が多いウェットフードを加えて与えるなど工夫してあげましょう。

猫は病気を隠す

市販されている魚を原材料にしたエサは猫用に栄養面を考え加工された商品になっていると思いますが、猫は元来肉食の動物であるという事を認識し魚の与え方に注意してあげることで猫がかかりやすい病気のリスクも小さくできるでしょう。猫の生態を理解し、食生活に気を使ってあげることで病気になるリスクを避けられるでしょう。

それでも、猫も生き物ですから、ケガや病気をしてしまう事もあります。猫は単独で狩りを行っていた動物です。ライオン以外のネコ科の野生動物(トラ、チーター、ジャガー、ヒョウ等)と同じです。室内で飼われている猫は野生の動物のような本能が薄れていることもありますが、体調が悪くても自分の弱みを見せずに隠す習性は飼い猫でも残っているようです。そのため、傾向として飼い主が犬より病気の発見が遅れる場合が多いです。猫とはどういう動物かを知り、日々の食生活と体調に異常がないかの観察が大切だと言えます。普段と違う様子で体調不良が疑われる場合は早めに動物病院を受診するようにしましょう。

まとめ

一般社団法人ペットフード協会による「2020年(令和2年)全国犬猫飼育実態調査 結果」によると犬猫ともに2019年、2020年と飼育頭数は増加傾向にあるようです。社会全体で自宅で過ごす時間が増える生活となったことがペットを飼育する人が増えた理由の一つと考えられます。ペットを飼育する人が増えたことに伴ってペット保険に加入する人も増えているようです。

同調査で猫の飼育理由に挙げられている最も多い理由は「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」です。人間と同居し一緒に暮らす家族になる訳ですから、人間も猫もお互いに暮らしやすい環境を作りたいものです。猫も生き物ですから可愛いさだけで飼うのではなく飼育に必要な費用、病気やケガのリスク、健康面の管理、猫の生態などトータルで考え最期まで面倒をみる責任をもって飼いましょう。病気やケガのリスクが心配な場合はペット保険に加入するという方法があります。加入するかどうかは飼い主の方にどれだけ生活の余裕があるかという事に関わりますが、猫の病気やケガで急に大きな金額の出費が必要になる場合があるかもしれないことを想定しペット保険の必要性を選択しましょう。

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