ペット保険は1匹のペットにつき複数の保険に加入できます。ペット保険の補償はさまざまで、掛け持ちすることでそれぞれの保険のいいとこ取りができますがデメリットもあるので注意が必要です。複数加入する際のメリットやデメリットを解説します。
目次
ペット保険は掛け持ちできる
ペット保険は1匹につき1契約と決められているわけではないため複数の加入、つまり掛け持ちが可能です。同じ保険会社のペット保険に2口申し込むこともできれば、別々の保険会社に1口ずつ申し込むこともできます。
ほとんどの保険会社ではペット保険を掛け持ちできますが、一部の会社では対応していない場合があります。加入する前には事前に確認しておきましょう。
ペット保険の掛け持ちにメリットはある?
ペット保険を掛け持ちすることで大きく2つのメリットがあります。
治療費の自己負担額が軽くなる
ペット保険では治療費に対して支払われる保険金の補償割合が50%や70%などと決まっています。この割合が大きくなるほど保険金も多く支払われ、自己負担の金額が少なくなります。
たとえば、A社の補償割合が50%で、B社の補償割合が50%のペット保険に加入した場合、入院や手術で治療費が60万円かかったとしてもA社から30万円、B社から30万円の計60万円の保険金を受け取れます。1社しか加入していない場合は30万円分を自費で支払わなければならないため、ペット保険を掛け持ちすることで自己負担額を抑えることができるのです。
補償割合 | 補償額 | |
---|---|---|
A社 | 50% | 30万円 |
B社 | 50% | 30万円 |
合計支払額 | 60万円 |
補償が手厚くなる
ペット保険では、手術や入院を重視したプランや、通院を重視したプラン、手術・入院・通院が補償されるいわゆるフルカバーのプランがあります。フルカバーのプランでも保険金を受け取れる回数制限や1回の限度額が決まっていることがあります。
特に高額になることが多い手術では、フルカバー型だけでは十分な保険金が受け取れない可能性があるかもしれません。フルカバー型のペット保険と手術重視型のペット保険に加入することで、万が一の手術への補償も手厚くすることができます。
ペット保険の掛け持ちにデメリットはある?
ペット保険の掛け持ちにはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。デメリットも踏まえたうえで掛け持ちを検討しましょう。
保険料が高くなる
複数のペット保険に加入するとその分保険料もかかるため、毎月の保険料負担が大きくなります。補償を手厚くしたいあまりむやみに掛け持ちしてしまうと家計を圧迫することになってしまいます。ペット保険の多くは掛け捨て型のため、支払った保険料は戻ってきません。ペットが健康で何事もなかった時には保険料がもったいないと感じることもあるかもしれません。
実際の治療費以上は補償されない
複数のペット保険を契約すると、補償内容の一部または全部が重複していることがあります。このような重複契約でもどちらの保険契約も補償対象となりますが、補償限度額は実際の医療費分までなので注意しましょう。そのため重複契約がある場合、いずれか一方の保険契約からは保険金の一部または全部が支払われない場合があります。
たとえば、A社の補償割合が50%で、C社の補償割合が70%のペット保険に加入したとします。手術代で60万円かかった場合、A社は30万円、B社は42万円の補償額となりますが実際の医療費以上の保険金は支払われません。保険金として受け取れるのは60万円となり、重複分の12万円は支払われないので注意が必要です。補償割合が大きいほど保険料は高くなるため、保険料の無駄払いとなってしまいます。
補償割合 | 補償額 | |
---|---|---|
A社 | 50% | 30万円 |
C社 | 70% | 42万円 |
合計支払額 | 60万円 | |
重複分 | 12万円 |
保険金請求に手間がかかる
ペット保険の保険金請求をする時には、加入しているペット保険ごとに手続きをおこないます。保険会社によって方法は異なりますが、診療明細書や保険金請求書等の書類をそれぞれ用意しなければなりません。特に診療明細書等の原本が必要な場合は、保険会社から返却してもらったうえでもう一社の保険金請求手続きをするため手間がかかります。さらに保険会社間で支払いの確認をおこなうこともあり、実際に保険金を受け取るまで時間がかかることもあるようです。
補償の重複に注意
ペット保険の「ペット賠償責任特約」では飼っているペットが他人や他のペットにケガをさせたり、物を壊してしまったりした時に補償を受けられます。この特約は実際に損害賠償責任を負った金額までしか補償を受けらません。そのため、ペット保険を掛け持ちする際には、保険金額の大きい方を選択して契約するとよいでしょう。
また、自動車保険や火災保険の「個人賠償責任特約」や「日常賠償責任特約」を契約していれば、補償内容が重複していることがあるためペット賠償責任特約に加入する必要がありません。既に契約している場合は保険金額が大きいものや示談交渉サービスがついているものを優先して選ぶとペットのトラブルが起こった時にも安心です。
ペット保険の掛け持ちは保険会社に告知が必要
既にA社のペット保険へ加入していてB社のペット保険にも掛け持ちをしたい時には、必ずA社とB社に重複して加入する旨を伝えなければいけません。ペット保険は、他のペット保険の加入に関しての告知義務があります。複数の契約がある事を怠ると告知義務違反で補償が受けられない場合や契約が解除されてしまう場合があるため注意しましょう。
また、ペット保険の掛け持ちをしたくても保険会社によっては契約を断られる場合もあります。治療費にかかる自己負担額を抑えたいのであれば、最初から補償割合が大きいペット保険を検討することも一つの方法です。ペット保険の中には、100%補償のペット保険もあります。複数のペット保険に加入し補償割合を高める事も可能ですが、最初から補償割合が高いペット保険を選ぶこともできます。ペット保険に契約する際に、補償割合や補償範囲などを比較して失敗がないように選ぶとよいでしょう。
ペット保険の組み合わせは?
ペット保険では、手術・入院重視のプラン、通院重視のプラン、手術・入院・通院が補償されるフルカバーのプランがあります。掛け持ちをする際にはそれぞれを組み合わせることによって手厚い補償で備えることができます。
フルカバー型+手術重視型
飼っているペットがケガや病気で手術が必要になった時には、入院や手術費用が高額になってしまう事が考えられます。フルカバー型のペット保険では、1回の手術での限度額が10万円程度となっていることが多いです。そこで手術や入院を重視するプランを掛け持ちすることで補償を手厚くできます。
フルカバー型+通院重視型
ペット保険には通院を重視し、入院や手術にかかった費用は補償対象外となっているプランもあります。ペットによっては、犬や猫がかかりやすい病気でもある外耳炎や皮膚病などの病気により通院による治療が長くなってしまう場合があります。フルカバー型では通院補償は日数制限等があることが多く、長期の通院はカバーしきれない可能性があります。フルカバー型と通院重視型を掛け持ちする事で通院にかかった費用を軽減できます。
フルカバー型+フルカバー型
フルカバー型を2つ掛け持ちすることで補償割合を100%にすることもでき、ペットにかかる医療費の自己負担額を抑えられます。多くの保険会社でフルカバー型のペット保険を扱っているので選択肢も多いですが、加入するそれぞれのペット保険の免責金額や補償内容の差異に気をつけましょう。
多頭飼いはそれぞれ申し込みが必要
ペット保険は1契約につき1匹が対象となり、多頭飼いの場合はそれぞれ申し込みが必要になります。保険会社によっては多頭割引が適用され、契約数に応じて保険料が割引になることもあります。複数のペットを飼っている場合は確認してみましょう。
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まとめ
ペット保険は、ケガや病気でかかった治療費を補償割合に応じて補償してくれます。自己負担額を抑えたい人や補償を手厚くしたい人は、複数のペット保険への加入を検討してみましょう。しかし、保険料が高くなる、保険金請求に手間がかかる、重複契約で保険料が無駄になる等のデメリットもあるので注意が必要です。なお、ペット保険の掛け持ちはペット保険の告知義務で通知事項となっており、既にペット保険の契約があれば追加で契約することができない保険会社もあります。
ペットがケガや病気をした時の医療費の負担を軽くするために、ペット保険を掛け持ちして補償割合を高めることもできますが、最初から補償割合の高いペット保険を選択するという方法もあります。ペット保険を選ぶ際にはたくさんあるプランを比較しながら検討するとよいでしょう。