猫との暮らし

猫の関節炎ってどんな病気?予防法は?

しなやかな筋肉で身体能力が高く自分の体調の5倍ほどの高さをジャンプして登ったりと柔軟性に優れた猫でも関節の病気になってしまう事があるようです。猫が関節炎になってしまうと、ジャンプができなくなったり痛みであまり動かなくなったり、運動することを嫌がるようになります。猫の身体的な特徴を制限してしまう猫の関節炎とはどのような病気なのでしょうか。また、予防法などはあるのでしょうか。

猫の関節炎とは

猫の関節炎の多くは、関節が変形し痛みが出る変形性関節炎と呼ばれる症状です。

関節は骨と骨のつなぎ目の部分で、関節の周りは靭帯や軟骨で構成された関節包があるため、直接骨と骨が接触する事はありません。しかし、関節やその周りにある組織が変形すると次第に骨と骨が接触するようになってしまいます。関節の周りの組織が変形してしまうと、本来、衝撃を吸収する役目を負っている軟骨がすり減ってしまったり失われてしまうためです。そのような原因から関節が炎症を起こして痛みが生じている状態を変形性関節炎と言います。

猫の関節炎はどのような猫でもかかってしまう恐れがあります。加齢や肥満、外傷などが原因で起こると考えられているのが、一次性の関節炎です。その他に遺伝的な要因で関節炎になりやすいと言われている描種の猫もいます。

関節炎の症状

関節炎による主な症状は、急激な痛みを伴う瞬間もあれば、慢性的な鈍痛があるといったような関節に違和感を覚える疼痛です。いつもと違う感覚があるといった関節の違和感を抱えているため猫の活動に影響するようになります。活動量の低下は飼い主が猫の加齢によるものだと思い込み病気の発見が遅れてしまう事も多くあるようです。また、猫自身も病気やケガなどを患っていることを隠す習性があるため周りが変化に気付きにくいことも病気の発見が遅れる原因でもあります。

関節炎による猫の行動の変化の一例を紹介します。

【猫の行動の変化】

  • 毛づくろい(グルーミング)をしなくなった
  • ジャンプをしなくなった
  • 爪とぎをしなくなった
  • 高い所に飛び乗らない、高い所から降りられない
  • 歩行や階段の上り下りに違和感がある
  • あまり動かない、遊ばなくなった
  • 寝ている時間が長くなった
  • トイレが困難である
  • 食欲の低下
  • 関節が腫れている
  • 関節を舐めたり、噛んだりしている
  • 撫でられるのを嫌がるようになった
  • 最近、関節にケガを負った、手術を受けるなどの事があった

関節炎の原因

通常、軟骨は加齢に伴いすり減り、修復する能力も低下していくものです。加齢に伴って関節への負担が積み重なることで関節炎へと発展していくため防ぎようのない症状のようにも思いますが一次性と呼ばれる関節炎は発症を遅らせたり予防することが可能です。一方、一次性とは考えにくい要因で関節に痛みが出ている場合を二次性関節炎といい、かかりやすい描種の猫も分かってきています。

一次性関節炎(原発性または突発性)主な原因はなく、全ての猫で発症の危険性がある
加齢や肥満、外傷などが原因で軟骨や骨の周りの組織がすり減り、骨と骨が接触してしまう事で痛みが生じるようになる
二次性関節炎軟骨のすり減りや骨の周りの組織に異常が見られないが、関節に問題が生じて痛みが伴うタイプです。変形性関節炎とは別の要因で関節炎を発症している場合を二次性の関節炎と位置付けています。二次性の関節炎は、特定の描種で発症する事が多く遺伝的な要因が大きいとされています。

【遺伝的に関節炎を発症しやすい(二次性関節炎)描種】

  • シャム
  • スコティッシュ・フォールド
  • デポン・レックスなど

関節炎の診断・検査方法

猫の関節炎は症状に現れづらく、飼い主がなかなか気づかないことも多いです。既に紹介している通り、加齢に伴う運動量の低下と思われがちなところもありますが、愛猫の様子をよく観察し、これまでと変わった様子があれば早めに動物病院を受診するようにしましょう。定期的な健康診断を行っていれば、飼い主が異変を見逃していても早期発見できることがあります。特に高齢の猫は定期的な健康診断を大切にしてあげましょう。

動物病院では、歩行のチェックやレントゲン検査、血液検査、超音波検査などで総合的に判断し関節炎を診断します。早期発見が可能になると早期治療が可能となり、早い段階で痛みを取り除くことができれば猫のストレスも軽減され、生活の質も改善されるでしょう。

治療方法

関節炎と診断を受けると、痛み止めの投与などの内科的な治療が基本になります。関節を支える周りの筋肉を強化する運動の指導や肥満の場合は体重管理など猫の状態に合わせたアドバイスが行われるでしょう。骨と骨が接触する事で関節が炎症を起こしている状態であるため、炎症を抑える薬の投与や炎症が治まるまで安静な状態で休ませることが必要だと指導される場合もあります。

変形性関節炎の予防方法

人も加齢に伴い膝の痛みに悩まされているという人もいるように多くの高齢猫が変形性関節炎を患うと考えられています。ジャンプや柔軟な体の動きを得意とする猫ですから関節の痛みにより動けなくなるとストレスを抱えてしまい別の病気になってしまう事も心配です。猫の関節炎は加齢に伴う一般的な病気ですが、猫が高齢になっても活発に元気で過ごしていけるように関節炎にならないように日頃から心がけてあげる事が大切です。

体重管理

猫種ごとに違いはありますが、猫の一般的な平均体重は3.5kg~4.5kg程度とされています。飼い主は、猫のボディコンディションスコアを意識した体重管理で肥満予防に気を付けてあげましょう。

体重の増加は関節に負担をかけます。肥満はさまざまな病気を引き起こす要因と考えられています。身軽な動きで運動能力が高い猫は高い所にジャンプしたりする動きに関節は重要です。猫の健康管理のために体重管理をしっかり行いましょう

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適度な運動

猫は、完全室内で飼育されているようなケースも増えていますが部屋の中でも適度に運動できる環境を整えてあげるなど運動不足に注意してあげましょう。家で飼われる猫も本能的に高いところが好きです。高いところにジャンプして登ったりすることで運動不足の解消にもなります。猫は高いところを移動することも得意なので、部屋にキャットタワーなどを準備し猫が暮らしやすい部屋を作ってあげましょう。

健康的な食事

猫はタンパク質を栄養源とする肉食動物です。健康的な食事でエサやおやつは猫の特性を考えて与えるようにしましょう。

ドライフードは、乾燥しているため腐敗しにくく価格も比較的安価なため経済的です。もう一方のウェットフードは、ドライフードより添加物が少なくドライフードよりウェットフードの方が猫が好むことが多いです。ウェットフードは、食事と一緒に水分が取れるというメリットもあり、もともと水を飲む量が少なく尿結石になりやすい猫にとっては食事と一緒に水分も摂取するため病気の予防にも役立つかもしれません。家庭の経済環境に合わせて猫の趣向に合わせたフード選びをしましょう。

関節サポート用サプリメント

猫の関節をサポートする食事と一緒に与えるサプリメントなども販売されています。関節のトラブルを抱えやすい胴長タイプの猫や高齢猫、大型猫など毎日の食事からでは補いきれない成分や加齢と共に減少する成分を補い、サポートしてくれるサプリメントなども多数販売されています。健康的な食事とサプリメントとの併用で愛猫の健康に気を使ってあげる事で関節炎を予防する事ができるかもしれません。

滑りにくい床材

室内で飼育されている猫で床がフローリングであるといった家庭も多いでしょう。猫は高い所からジャンプしておりたりすることが得意な動物です。また、飼い主との遊びで部屋中を駆け回る事もあります。ペットに優しいグリップの効いた滑りにくい床材にすることもケガの予防となり、関節にも優しいです。

愛猫が暮らす部屋は滑りにくいマットを敷いたり、ペットに優しい床材にするなど工夫してあげましょう。

爪のチェック

爪が伸びすぎていることでもジャンプした際の着地や歩行で滑りやすくなりケガの元となります。爪とぎを猫が爪を研ぎやすい場所に設置し、長くなった際には適度な長さにカットしてあげましょう。

関節炎はペット保険の対象になる?

犬や猫といった動物も人間と同じくケガをしてしまったり、病気になってしまう事があります。動物病院で診察を受ければ通院費や入院費、手術代、薬代(医薬品)などが必要になります。これらの医療費は全額飼い主の負担となるため、高額な医療費がかかってしまうリスクに備えてペット保険に加入しているという人もいるでしょう。

基本的にペット保険に加入があれば、関節炎でかかった動物病院への治療費や診察費はペット保険の補償対象です。ただし、加入するペット保険で補償対象となっているかどうかは確認しておくとよいでしょう。新規でペット保険に加入する場合も何が補償対象となり、どういう場合が補償対象外となるのか理解してから契約することは大切なことです。ペットの高額な医療費に備えてペット保険に加入していても補償が受けられなければ意味がありません。補償となるケース、ならないケースを理解せずに加入していてトラブルとなってしまう事もあるようです。ペット保険の補償内容はしっかり確認しておくようにしましょう。

また、ペット保険に新規で契約する場合、ペット保険には新規加入できる年齢に条件が設けられています。多くのペット保険では新規加入できる年齢の上限を8歳~12歳としています。猫の関節炎は高齢の猫の発症であることが多いです。ペット保険の加入については、愛猫に高額な医療費が発生した場合に家計への負担を考えて加入の有無を決めることが判断基準の一つとしてあります。病気やケガのリスクに備えてペット保険に加入したいと思っても既に加入できない場合があるのです。もちろん、関節炎に限らず、既に発病している病気(既往症)がある場合は、ペット保険に加入できてもその病気は補償対象外です。関節炎になってから医療費の補助のためにペット保険の加入を考えてもペット保険に加入できなかったり、ペット保険では補償してもらう事は難しいです。医療費に備えたペット保険の加入は愛猫が若い時に検討しておきましょう。

まとめ

自分の何倍もの高さから飛び降りたり、細い穴をくぐったりと柔軟性の高い猫ですが、高齢猫の多くが変形性関節炎を患うと考えられています。飼い主は加齢による活動量の低下だと思いがちですが、愛猫は関節に違和感を感じ痛みや異常でストレスを抱えているかもしれません。愛猫の変化を見逃さず、いつもと違う様子であれば早めに動物病院で検査してもらいましょう。また、定期的な健康診断を行うことで気が付かなかったケガや病気の早期発見が可能です。言葉でコミュニケーションをとる事が難しく病気を隠そうとする習性がある猫ですから小さな変化も見逃さず体調管理に気を使ってあげましょう。

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