ペット保険は補償割合が50%や70%などから選択することが多いです。飼っている犬や猫などのペットが動物病院でかかった医療費用を100%補償してもらうために複数のペット保険に加入していた場合、補償はどのようになるのでしょうか。また、ペットを多頭飼いしているような場合において、複数のペットを同時に契約することはできるのでしょうか。
目次
ペット保険の複数加入で100%補償も可能
ペット保険でペットがかかった治療費に対してどのくらいの金額を補償してもらえるのかは、加入しているプランの補償割合によります。ペット保険は1匹につき1契約と決められているわけではないため複数の加入が可能です。支払った医療費は、50%や70%など加入する時に選択したプランの割合によって補償となりますが、複数の保険会社に契約し補償内容の一部または全部が重複している重複契約を行っている場合、どちらの保険契約においても補償対象となります。ただし、補償限度額は実際の損害額(支払った医療費)までとなります。そのため重複契約がある場合、いずれか一方の保険契約からは保険金の一部または全部が支払われない場合があります。
ペット保険の重複契約の例
重複契約パターン①の例
今回の治療費(入院・手術):600,000円
補償割合 | 補償額 | |
---|---|---|
Aプラン | 50% | 300,000円 |
Bプラン | 50% | 300,000円 |
合計支払額 | 600,000円 |
重複契約パターン②の例
今回の治療費(入院・手術):600,000円
補償割合 | 補償額 | |
---|---|---|
Aプラン | 50% | 300,000円 |
Cプラン | 70% | 420,000円 |
合計支払額 | 600,000円 | |
重複分 | 120,000円 |
①は、かかった治療費に対して100%の補償を受けることができますが、②の重複契約では補償の重複部分が発生しA、Cどちらか一方の保険契約からは重複部分の120,000円は支払われません。②の契約でもかかった治療費に対しては100%の補償を受ける事はできますが、補償割合が大きいほど保険料は高くなるため、保険料の無駄払いとなっています。
複数のペット保険に契約する時は保険会社への告知が必要!
既にペット保険の加入がある人が別のペット保険にも重複して加入する時には、必ず別の保険会社の契約がある旨を伝えなければいけません。ペット保険は、他のペット保険の加入に関しての告知義務があります。また、2つめのペット保険に加入した場合は既に契約しているペット保険に連絡をすることも忘れずに行う必要があります。複数の契約がある事を怠ると告知義務違反で補償が受けられない場合や契約が解除されてしまう場合があるため注意しましょう。
また、既にペット保険の契約があり、新たに別のペット保険に加入する際に重複して契約することを断られる場合もあります。ペット保険の補償割合を大きくしたいのであれば、最初から補償割合が大きいペット保険を検討することも一つの方法です。ペット保険の中には、100%補償のペット保険もあります。複数のペット保険に加入し補償割合を高める事も可能ですが、最初から補償割合が高いペット保険を選ぶこともできます。ペット保険に契約する際に、補償割合や補償範囲などを比較して失敗がないように選ぶとよいでしょう。
ペット賠償責任特約の重複に注意!
ペット保険のペット賠償責任特約は、飼っているペットが他人に身体障害や物損損壊の被害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に保険金を受け取れる特約です。ペット賠償責任特約は、主契約となるペット保険の特約として契約します。ペット保険に複数契約しており、ペット賠償責任特約の契約も重複しているような状況の場合、ペット賠償責任特約は、実際に損害賠償責任を負った金額までしか補償を受けらません。そのため、保険金額の大きい方を選択して契約するとよいでしょう。
また、自動車保険や火災保険などの特約で既に個人賠償責任保険に契約がある場合は、ペットが他人に身体障害や物損損壊の被害を与え、法律上の賠償責任を負った場合に備えられています。新たにペット賠償責任保険に加入する必要がありません。賠償責任保険は、家族で契約している自動車保険や火災保険、傷害保険の特約で個人賠償保険の特約に契約できる場合などは保険金額が大きいものや示談交渉サービスがついているものを優先して選ぶとペットのトラブルが起こった時にも安心です。
ペット保険の複数契約パターン
ペット保険はペットがケガや病気で動物病院で治療を受けた医療費を補償する保険です。基本的に補償範囲は「通院補償」「入院補償」「手術補償」と組み合わせで選択し、決められた補償割合でかかった医療費の補償を受けます。補償を手厚くするためにペット保険を複数加入する事を検討している人は複数加入の組み合わせを参考にしてみましょう。
ペット保険の基本補償
A.補償割合 | B.通院 | C.入院 | D.手術 |
---|---|---|---|
50%~100% | 1日の限度額 | 1日の限度額 | 1回の限度額 |
補償割合50%プランの重複契約
A.の補償割合が50%のペット保険に二重で契約することで補償割合を100%にすることができます。ただし、加入するそれぞれのペット保険の免責金額や補償内容の差異に気をつけましょう。
手術重視のプランと組み合わせる
飼っているペットがケガや病気で手術が必要になった時には、入院や手術費用が高額になってしまう事が考えられます。そのような場合に備えて、手術費用を重視してカバーするペット保険に加入することもできます。通院でかかる治療費は補償対象外とし入院や手術費用を重視して補償するペット保険もあります。1つめの保険契約はB~Dを幅広くカバーする保険料の安いペット保険に契約し、2つめはC.入院とD.手術の費用を補償するペット保険に加入するという方法です。
通院重視のプランと組み合わせる
ペット保険には通院を重視し、入院や手術にかかった費用は補償対象外となっているプランもあります。B~Dを幅広くカバーする保険料の安い保険とB.通院を重視した保険に契約することで通院にかかった費用を軽減したいと考える人には良いかもしれません。ペットによっては、犬や猫がかかりやすい病気でもある外耳炎や皮膚病などの病気により通院による治療が長くなってしまう場合があります。そのようなケースに備えるためにB.通院を重視したプランと組み合わせる事で治療費を軽減する方法です。
多頭飼いのペットはそれぞれ申し込みが必要
ペットの多頭飼いを行ってる人が1つのペット保険に複数のペットを申し込む事はできません。ペット保険は1契約1匹になりますので、それぞれ申し込みが必要です。ただし、ペット賠償責任特約に契約する場合は、1匹に賠償責任特約を付加すれば、飼育しているすべてのペットが起因する事故が対象となるため2匹目は特約を付加する必要はありません。
保険会社によっては、同じ保険会社で多頭飼いをしているペットをそれぞれ申し込むと契約数に応じた「多頭割引」があります。多頭割引の適用になると、保険料が契約数に応じて2%~3%程度割引になるサービスがありますので複数のペットを飼っており、ペット保険を検討している人は確認してみましょう。
まとめ
ペット保険は、ケガや病気でかかった治療費を補償割合に応じて補償してくれます。治療費の補償割合を高めたい人は、複数のペット保険に契約を行うことが可能です。しかし、ペット保険を複数契約し補償割合を100%にして補償を手厚くするという方法もありまが、保険料が高くなってしまったり、重複契約により保険料が無駄になってしまうようなことがあるので注意しましょう。ペット保険の補償限度額は実際の損害額(支払った医療費)までです。保険料の無駄払いにならないよう複数のペット保険に契約する場合は補償内容の差異や保険金額を確認してから契約するようにしましょう。ただし、ペット保険の複数契約はペット保険の告知義務で通知事項となっており、既にペット保険の契約があれば追加で契約することができない保険会社もあります。
ペット保険に複数契約し、補償割合を高める方法もありますが、ペット保険の治療費の補償割合は50%~100%までとさまざまです。最初から補償割合の高いペット保険を選択するという方法もありますので、ペット保険を選ぶ際にはたくさんあるプランを比較して選択するとよいでしょう。
もう1点、気を付けておきたい点は、ペット保険は「1契約1匹」です。多頭飼いしている人は、1つのペット保険に複数のペットを申し込む事はできませんので注意しましょう。ただし、同じ保険会社で多頭飼いをしているペットをそれぞれ申し込むと契約数に応じた「多頭割引」があります。多頭割引もペット保険選びの参考にするとよいでしょう。