犬と猫は人間と一緒に暮らすペットとしてポピュラーな動物ですが、どちらか一方だけというわけではなく、犬も猫も飼育しているという人やどちらも飼いたいと考えている人もいます。犬と猫といった違う種類の動物が仲良くしている姿をみると微笑ましい気分になりますが、犬と猫はそもそも仲良く一緒に暮らせる動物なのでしょうか。犬と猫が仲良く一緒に暮らすために注意すべきポイントなどを紹介します。
目次
犬と猫は相性が合えば仲良く暮らせる
犬は、群れで生活し、テリトリーをしっかり守る縄張り意識の強い動物です。犬はもともと夜行性の動物ですが、人と共に暮らすようになった現代の犬は人のライフスタイルに合わせて日中に活動し夜に寝る習慣に変化した順応性の高い動物です。一方で猫は、単独で行動する動物です。猫も自分のテリトリー意識が高い動物でマイペースに行動するところが見ていて癒しに感じる人も多いです。犬と猫では習性が異なる動物ですが、SNS上などにおいても犬と猫が仲良くしている写真や動画をみかけることは多くあります。習性が異なる動物達が同じ家庭の中で一緒に生活するためには飼い主の工夫とその犬や猫の性格と相性が重要になってきます。
相性が合えば犬と猫は仲良く一緒に暮らすことができます。しかし、野生の中で犬と猫が一緒に暮らすといったことはないため、それぞれの習性を理解し、上手に共同生活をおくることができれば異なるペットと暮らす楽しい毎日が送れるでしょう。ただし、お互いの相性が悪く最後まで上手くいかないケースも存在することは理解しておきましょう。
これから犬と猫の同居を考えている人はペットと人間が楽しく暮らしていけるようにしっかり確認しておきましょう。
犬と猫はどっちを先に飼うのがいい?
犬と猫は習性が異なる動物ですから、どちらかが先に飼育した方が犬の猫の同居に成功しやすいといったことはあるのでしょうか。犬も猫も自分の縄張り意識が強い動物です。犬と猫の同居が仲良くうまくいく迎え方を紹介します。
犬は、群れで生活し、上下関係を大切にする動物です。ペットとして人間社会で生きる犬は人間の家族を自分が属する「群れ」と考え群れの中のリーダーを決めます。犬は信頼ができるリーダーに従う動物であり、リーダーが率いる群れの中でこそ安全に平和に暮らせると認識します。一方、猫はマイペースに単独で行動する動物です。
1.生後3か月ほどの子犬と子猫を同時に迎える
成功率:90%
子犬と子猫を同時に迎え入れるとお互いに受け入れやすく同居がうまくいく可能性が高い
生後3か月ほどの子犬と子猫を同時に迎え入れることが犬と猫の同居でトラブルが少なく成功する可能性が高いと考えられています。犬も猫も社会性を学ぶ成長期から犬にとって猫が、猫にとって犬の存在が当たり前の環境で育てばストレスになることも少なく暮らしていける事が多いです。犬は猫を同じ群れの仲間と認識し、猫は犬を最初から自分のテリトリーに存在する危険のない動物だと認識していきます。子犬と子猫で同時に迎え入れると兄弟のように育つため、違和感なく自然に暮らしていくことが可能になる可能性が高いです。
2.成犬がいる家庭に猫を迎え入れる場合
成功率:80%
犬と猫を別のタイミングで迎え入れる場合は犬がいる家庭に猫を迎える方がトラブルが少ない
犬は自分と一緒に暮らす家族を群れの仲間だと認識しており、家庭の中で自分の位置を順位付けしています。猫が自分より後から家族に入ってくると犬は猫を自分より順位が下のものと認識し、猫は単独でマイペースに行動する動物ですから家庭の中の順位で衝突することなく犬と猫との同居は上手くいく可能性が高いです。犬より後に家族になる猫が子猫だった場合は、犬が猫の面倒をみることもあるなど犬と猫の同居がうまくいくことが多いと言われています。ただし、犬は群れの中の序列を守って生活する動物ですから、飼い主が新しく加入した猫ばかりに世話を焼いていると犬が嫉妬して犬と猫の共同生活がうまくいかなくなってしまうこともあります。飼い主は猫が家族に加わっても先住犬への変わりない愛情を示してあげることに注意しましょう。
3.成猫がいる家庭に犬を迎え入れる場合
成功率:60%
先住猫がいる家庭に犬を迎え入れる場合は、同居が難しいケースも・・・
猫はデリケートで憶病であり、単独で行動する動物です。新しく加入した新入りの犬を自分の群れの仲間だと認識する事はありません。強い縄張り意識でこれまで安全だった我が家に加わる犬は、自分のテリトリーに入ってきた不審者として警戒します。いきなり対面させてしまうと攻撃してしまうようなことがあったり、不審者の参入でストレスを抱えることになったりとお互いにトラウマを抱えてしまうようなことになると同居がうまくいかなくなってしまうことがあります。猫が急激なストレスを抱えるとトイレではない場所で排泄をしたり、攻撃的になったり猫の異常行動につながってしまうこともあります。犬を迎え入れるときは慎重に準備をして迎え入れる必要があります。
成猫がいる家庭に犬を迎え入れる時は、トライアル期間を設けるとよいでしょう。様子をうかがいながら対面へとステップを踏んで進んでいくとうまくいくことが多いです。猫が犬を暖かく迎え入れてくれることができれば同居が成功しお互いにストレスなく暮らしていくことができるでしょう。
ポイント
成猫がいる家庭に犬を迎え入れる場合は、最初のうちは猫と犬の生活する部屋を分けて飼育するようにしましょう。
同じ家の中に犬がいるという状況を猫が認識する期間をしばらく設け、慣れてきたらケージ越しにお互いを出会わせ様子を見ます。大丈夫そうであれば触れ合わせてみるといった風に徐々に慣れさせていくことが大切です。憶病な猫であればあるほど触れ合いには時間がかかるかもしれません。ペットのペースに合わせてゆっくりあせらず慣らすことが重要です。
犬と猫の同時飼育の注意点
犬も猫も1日の多くの時間を寝て過ごします。相性が悪いとよい睡眠がとれずお互いにストレスをためてしまいケンカでケガをしてしまったり、ストレスによる病気になってしまう心配もあります。犬と猫が一緒に暮らすために飼い主が気をつける事を紹介します。
1.平等に接する
犬にも猫にも分け隔てなく平等に愛情を注ぎ接することが同居を成功させるためにも大切です。動物も飼い主の様子をよく見ています。先住犬や先住猫がいる場合に飼い主は後から加わった新メンバーである猫や犬をしばらく中心に構ってしまうことがありますが、先住ペットへのケアを十分大切にすることは今後の同居生活が成功するか失敗するかにも関わる問題となります。動物の特性を理解し平等に愛情を注いであげる事を心掛けましょう。
2.それぞれの専用スペースを設ける
犬も猫も自分のテリトリー意識の強い動物です。問題なく同居が行えていても集団行動をする習性のある犬と単独行動を好む猫では落ち着ける場所にも違いがあります。それぞれに相手が侵入して来ない自分だけの専用スペースを作ってあげましょう。犬は静かで狭く落ち着ける場所を好みます。何か不安なことがあってもこの場所にいれば安心だというクレートやケージなどを用意してあげましょう。猫は高い場所を好みます。キャットタワーなどの上に休めるスペースを作るなどしてそれぞれの明確に分けられるテリトリーを用意してあげましょう。
3.トイレの分離
犬と猫は排泄の習性が異なります。犬は家の中で排泄をする場合は決まった場所のペットシートの上でするように躾をします。猫は猫砂を使用する猫専用のトイレを用意し、犬と猫ではトイレの習性も異なるためそれぞれに合ったものを別々の場所で準備してあげる必要があります。
4.混食は避ける
犬は雑食ですが、猫は肉食の動物です。ですから、犬と猫の食事は分ける必要があります。それぞれにあったドッグフード、キャットフードの用意が必要になります。猫が残したフードを犬が食べてしまうことがあります。犬と猫では必要な栄養素が異なります。犬に猫の餌を食べられないように、また、食いしん坊の猫に犬の餌を食べられないように注意しましょう。与えるお皿やお水なども別々に用意し食事スペースは別々にする方がよいです。
犬と猫の相性が悪い時は・・・
犬も猫もそれぞれ個体ごとに性格がことなります。特に猫は他の猫よりも憶病であったり、過去に外で暮らしていた経験のある保護猫であったりすると警戒心が強かったりとどうしても犬と猫との共同生活が難しい場合も発生してきます。犬と猫の相性を見分けるには時間がかかります。犬と猫の相性があまりよくない雰囲気でも犬と猫は生活場所が異なります。猫は地上にいる犬を嫌がる時には高いところで生活するので犬と猫がくっつきあって仲良くしている様子がなくてもお互いに適度な距離間で生活している場合は問題ないことも多いです。
しかし、お互いに攻撃しあうようにケンカしているようではケガを負ってしまう場合もあります。犬は攻撃する時に噛みますが、猫は爪で引っ掻きます。犬と猫の同居でうまくいかない時、犬が猫を攻撃しようとしても猫は素早く高いところに逃げる事が多く猫が犬に噛まれてケガを負うというより、猫が犬を引っ掻いて犬がケガを負うというケースが多いです。猫は相手を攻撃する時に爪で相手の目を狙うことが多いです。犬と猫がケンカをしてしまうような時には、別々の部屋で生活するしかない場合もあります。猫の部屋と犬の部屋を分けるなどといった工夫が必要になってしまうこともあるでしょう。
まとめ
犬と猫は相性が合えば仲良く一緒に暮らせる動物です。飼い始めは飼い主がしばらくお互いの様子を注視し同じスペースで生活しても問題ないか観察する必要があります。犬や猫はもともと一緒に暮らす動物ではなく、習性もそれぞれ異なります。ペットとして暮らす中でもそれぞれの習性に配慮し快適に送れるように飼い主が工夫してあげる必要があります。異なる動物ですから迎え方でもお互いに引き合わせ方によって仲良く暮らせるかどうかが変わってくることもあります。人とペットが楽しく暮らすためには人が動物の習性を理解し生活環境を整えてあげる事が大切だということを知っておきましょう。