犬との暮らし

「犬用の車いす」はペット保険の補償対象になる?

先天性の障害や病気、ケガ、ヘルニア、加齢などで歩けなくなってしまう犬がいます。犬は四足歩行の動物ですが、最近では、何らかの事情により前足や後ろ足、またはあしが一本しかないような犬でも犬用の車いすを装着し元気に走り回っている犬を見かけるようになりました。愛犬が病気やケガなどで足を失ってしまうようなことがあった時に、犬用の車いすを製作しこれまでと変わらないような生活をさせてあげたいと思った時に犬用の車いすの製作や購入をペット保険で補償してもらうことは可能なのでしょうか。

「犬用車いす」の補償を受けられるペット保険がある

ペット保険の補償は、ペットの医療費を補償するものです。ペット保険で補償を受けられる医療費は基本的に「通院費用の補償」「入院費用の補償」「手術費用の補償」の3つになります。しかし、保険会社によっては、特約で「車いすの補償」(補助器具の購入費用)が追加されている保険会社があります。

犬の車いすは四足歩行で何らかの理由で四足での走行が困難になったときに人工の器具を体に装着することで車いすの役割を果たす補助器具です。車いす等の補助器具の製作費用が自動付帯でセットされている保険会社であれば保険料の追加がなく愛犬の車いすをペット保険で製作する事ができます。ただし、車いすの製作費用に補償の上限金や車いすが必要になった原因の制限が設けられています。該当する場合のみ費用の補償がうけられるため注意しましょう。

また、基本補償に車いす(補助器具)の製作費用の特約がセットされていなくても、「車いすの補償」特約に追加で加入できる保険会社もあります。追加での加入はその分の保険料を追加で支払うことになりますが、犬の車いすの製作はさまざまな体格の異なる犬それぞれに合わせて作るためオーダーメイドの製作となり、費用がかさんでしまう心配があります。そういった費用をペット保険で補償してもらえるのは飼い主の負担軽減となり、愛犬の今後のQOL向上を考えても助かる特約です。

車いすの製作費用は「事故」が原因に限られる

ペット保険で車いす(補助器具)の製作費用を補償してもらえる特約は保険会社によって補償の内容や条件が異なります。ペット保険では、基本的にペットの既往症、先天性疾患は補償の対象外となるため、先天的に肢に傷害がある場合、ペット保険に加入する前に肢に傷害が発症した場合などは車いす(補助器具)の製作費用についても補償対象外になります。

車いすの製作費用の補償特約がある保険会社では、「事故」が原因で肢に傷害を被った場合に補償対象となるとされている場合が多いです。病気が原因の場合は補償とならないとされていることに注意しましょう。「事故」が原因であり、事故から90日以内の高度後遺症状態であることという条件が定められています。条件を満たし、保険契約の契約期間内に申請を行えば車いすの製作費用をペット保険から補償を受けられるとされていることが多いので車いすの製作費用の特約が付いているペット保険に加入している人はどのような場合に補償を受けられるのか補償内容をしっかり確認しておくようにしましょう。

「車いす補償」の特約

  • 車いす(補助器具)の製作費用を補償してもらえる特約
  • 補償対象となるのは「事故」が原因の場合に限られる
  • 事故から90日以内に高度後遺状態と診断された場合
  • 保険契約期間内に申請すること

ペット保険のその他の特約

ペット保険には、「車いすの補償」(補助器具の購入費用)以外にも特約が用意されます。主な特約を紹介します。

他人や他人のモノへの賠償に備える

賠償責任特約

ペット賠償責任特約とは、被保険者が飼っているペットが他人にケガをさせたり他人のモノに損害を与えたりして法的な損害賠償責任を負った際に保険金が支払われる特約です。飼い犬の散歩中に他人にかみついてケガをさせてしまったという場合やペット同士がケンカしてケガをさせてしまった場合、ペットを連れて他人の家に遊びに行ったときにペットがその人の物を壊してしまった場合などに、損害賠償費用などを補償してもらえます。保険金額(保険金の上限額)は数百万円~1000万円ということが多いです。保険会社が代わりに示談交渉をしてくれるサービスがついていることもあります。

葬儀や火葬の費用を補償

セレモニー費用特約

ペットが亡くなったときの葬儀や火葬の費用を補償してもらえる特約があります。名称はさまざまで「セレモニー費用特約」「火災保養特約」「葬祭保険金特約」など保険会社によって異なり基本補償の自動セットとなっている保険会社や任意で加入する保険会社があるようです。保険金の上限は3万円前後で設定されていることが多いです。

一言アドバイス

ペット保険の特約は保険会社によって用意がある場合もあればない場合もあります。必要な特約の有無と基本補償にセットされているのか、もしくは基本補償の上乗せで保険料を支払い任意で加入するのかは保険会社によって異なります。保険会社も補償内容やサービスの差別化を図り加入者を集めていますので、さまざまな商品を比較し自分にあった補償内容で選ぶようにしましょう。保険会社の違いは一括比較サイトなどを利用すると便利です。

犬にペット保険は必要?

日本においてはペット保険はまだあまりメジャーな存在とは言えません。さらには、犬の車いすは、犬用の車いすを利用して元気に遊びまわる犬の様子をSNSなどで見かけることも増えてきましたが、日本ではまだまだ普及しているとはいえず、その存在を知らない飼い主も多いです。

近年、ペットを室内飼育で家族同様に飼育しているという人は増えています。しかし、ペットの医療費は病気やケガをして動物病院で治療を受けても全額飼い主が負担をしなければいけません。ペットに人のような公的医療保険制度はないためペット保険に加入するかどうかはペットの治療費で家計が苦しくならないだけの貯蓄があるかというところになるでしょう。

ペットの治療費はペットの種類や病気やケガの内容によっても変わりますが、数万円~数十万円もかかることもあります。この治療費はペット保険がなければ全額自己負担となるので、その負担に耐えられないのであればペット保険に加入して備えておいた方が良いでしょう。

犬の治療費はどのくらい?

日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用は、大型犬の場合平均9,281円、中型犬の場合平均8,183円、小型犬の場合平均8,217円、超小型犬の場合平均7,435円となっています。大型犬は身体が大きいために薬品が多く必要となり、治療費も高くかかる傾向にあるようです。ケガや病気で入院や手術を行うとなれば数十万円の費用が必要となります。ペットが高齢になれば医療費も増える事が予想されますし、急に高額な医療費が必要になっても家計に大きなダメージとなるようなことがないようにペットの医療費への負担軽減のためにもペット保険の必要性について検討しておきましょう。

犬の大きさ別家庭で1か月に動物病院にかけている概算費用の平均額
大型犬中型犬小型犬超小型犬
9,281円8,183円8,217円7,435円

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

また、1つの病気の治療費の最大額については、大型犬の平均が74,893円、中型犬の平均が59,386円、小型犬の平均が66,533円、超小型犬の平均が58,046円です。治療費の最大額の分布は以下のようになっています。

大きさ別犬の1つの病気にかかった時の治療費の最大額
1万円未満1~2万円未満2~3万円未満3~5万円未満5~10万円未満10~20万円未満20~30万円未満30~40万円未満病気にかかったことはない
大型犬11.3%9.4%12.5%17.5%16.3%11.9%5.6%3.1%12.5%
中型犬19.6%16.3%9.9%10.5%11.3%7.7%1.8%4.6%18.3%
小型犬16.5%16.6%11.2%12.2%13.7%8.0%3.3%5.4%13.1%
超小型犬21.2%15.0%10.5%12.7%10.8%9.2%2.0%3.9%14.7%

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」

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まとめ

最近では、肢が不自由な犬のために「犬用の車いす」というものがあります。病気やケガで歩くことが困難となっても犬用の車いすを使って元気に走り周っている犬の動画を見かけることもあり、テレビの動物番組でも紹介されていることがあります。犬用の車いすは何らかの理由により障害を負ってしまい四本足で歩くことが困難となった犬の生活の質を向上させることに寄与し、車いすを付けて楽しそうに走り回る姿は飼い主にも喜びを与えていることでしょう。そのような犬用の車いすの製作費用はペット保険で補償してもらえる可能性があります。加入するペット保険に犬用の車いす費用の補償があれば補償を受けられるため確認しておくとよいでしょう。ただし、犬用の車いす費用の特約は保険金給付の条件がありますので適用範囲についても確認しておきましょう。

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