犬との暮らし

犬のクッシング症候群とはどんな病気?

2022年2月8日

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、人間の病気として聞いたことがある人もいるでしょう。副腎から分泌されるコルチゾールの作用が過剰になることで特徴的な症状を示す病気で、難病指定されています。そして、この病気は犬でも疾患することがあり、高齢の犬がかかりやすいとされている病気です。犬もなってしまう事がある「犬のクッシング症候群」について説明します。

犬のクッシング症候群とは?

犬のクッシング症候群も人間同様に副腎(腎臓の側にあるホルモンを分泌する臓器)から分泌されるコルチゾールの作用が過剰になる事でさまざまな身体的負担を発症する病気です。あまり目立った症状などが見られませんが、合併症を発症してしまうとクッシング症候群も合併症も治療が難しくなってしまう場合があるため注意したい病気です。

コルチゾールとは?

コルチゾールとは、副腎皮質ステロイドホルモン(ACTH)の1つで、肝臓での糖の新生、筋肉でのタンパク質代謝、脂肪組織での脂肪分解などの代謝促進、抗炎症および免疫抑制などの役割を果たしている必要不可欠なホルモンです。コルチゾールの分泌が過剰になると、これらの働きも過剰となり、体に悪影響を及ぼします。

クッシング症候群の症状

犬のクッシング症候群は食欲の低下や下痢、嘔吐などの異変があまり見られず飼い主が気付きにくい病気です。皮膚のトラブルや多飲多尿などで動物病院を受診した際に診断されることが多いようです。

【主な症状】

  • 多飲多尿
  • お腹の垂れ
  • 皮膚のトラブル(毛が薄くなる、感染症、脱毛など)
  • お腹の垂れ(丸みを帯びている)
  • 呼吸の乱れ(パンティング)
  • 歩行障害(歩きたがらない)など

クッシング症候群は高齢の犬が発症する事が多く、いずれの症状も老化現象と同じようにも思えます。体力の衰えによる変化だとして動物病院への受診が遅れてしまう事も考えられます。愛犬の異変を早期発見するためにも定期的な健康診断を行ってあげるとよいでしょう。

クッシング症候群と合併症

クッシング症候群はコルチゾールの作用が過剰になる病気です。コルチゾールはインスリン抵抗性を誘発するため、コンチゾールが過剰になると糖尿病になりやすくなります。また、免疫抑制が高まり抵抗力が弱まる事で感染症にかかりやすくなります。

【主な合併症】

  • 糖尿病
  • 感染症
  • 高血圧
  • 血栓症
  • 膵炎

クッシング症候群の予防法

犬のクッシング症候群の予防法は、現在、見つかっていません。定期的な健康診断で早期発見を心がけることが大切です。犬も年齢を重ねれば病気になるリスクが高くなります。クッシング症候群だけでなく、早期の病気発見のために定期的な健康診断は重要です。

クッシング症候群の原因となりやすい犬種

犬のクッシング症候群の原因のほとんどは「脳下垂体腫瘍」が原因とされています。稀に副腎自体に腫瘍ができている場合もクッシング症候群の症状が見られます。脳下垂体に腫瘍ができている場合で腫瘍が大きくなると徘徊や夜鳴きなどの神経症状が見られたりします。徘徊も夜鳴きも高齢犬にみられる認知症の症状としてクッシング症候群を見逃してしまう飼い主も多いようです。

【クッシング症候群の原因(自然発生)】

  1. 脳下垂体腫瘍によるもの
  2. 副腎自体に腫瘍ができた場合

「自然発生」と「医原性」

クッシング症候群は1.や2.の原因で自然発生した場合の他に、治療のために行っていた医療行為が原因でクッシング症候群と同じような症状が出てしまう場合があります。症状はクッシング症候群と同じですが、医原性の場合は、ステロイド剤の投与により副腎機能が低下している状態と考えられます。そのため、医原性の場合は、治療のために行っていたステロイド剤投与を徐々に休薬していくように対処します。

クッシング症候群になりやすい犬種

クッシング症候群は8歳以上の高齢犬がかかりやすい病気です。また、クッシング症候群にかかりやすいとされている好発犬種もいます。

【かかりやすい犬種】

  • ダックスフンド
  • チャウチャウ
  • ビーグル
  • プードル
  • ボクサー
  • ボストン・テリア
  • ポメラニアン

クッシング症候群の診断方法と治療

クッシング症候群が疑われる症状がある場合は、血液検査でコンチゾールの値を測定します。その他、現在現れている症状から臨床症状を比較したり、超音波検査、ホルモン検査などを行い総合的に判断します。また、脳下垂体に腫瘍の疑いがある場合はMRIで腫瘍の有無を調べることもあります。

クッシング症候群の治療法

自然発生でクッシング症候群を発症した犬は、脳下垂体腫瘍によるものか、副腎自体に腫瘍ができた場合かによって治療方法も異なります。

脳下垂体腫瘍によるもの

脳下垂体に腫瘍ができている場合で腫瘍が大きい時は、放射線治療が中心になります。放射線治療は下垂体腫瘍の縮小を目的に行いますが、放射線治療が行える設備のある動物病院は多くありません。また、外科手術により切除となる場合においても犬の脳外科手術が行える設備や獣医師も大きな専門の動物病院に行かなければ難しいのが現状です。

ただ、犬の脳下垂体腫瘍の多くは早期で発見されることが多いです。その場合は、内服薬の使用がメインとなりますが、生涯、薬を飲み続ける必要があります。

副腎自体に腫瘍ができた場合

副腎自体に腫瘍ができている場合は、腫瘍が良性で外科手術が可能であれば外科手術で切除を行い、予後良好に元気で過ごすことが期待できます。しかし、悪性の場合は手術を行っても予後が悪い場合もあります。副腎の周りには大きな血菅があったりと手術が困難な場合も多いです。外科手術が難しい場合は内服薬の使用で治療を行っていくことになります。

医原性による場合

医原性が原因の場合は既に前項で説明済みですが、ステロイド剤の休薬を行います。ただし、ステロイド薬を長期間使い続けてきた場合に、いきなり休薬すると危険なため、徐々にステロイド使用を少なくしていきリバウンド症状が出ないようにしていきます。クッシング症候群の症状は、原因となっている薬の投与を中止すると自然に改善していきます。

クッシング症候群と治療費

愛犬がクッシング症候群と診断を受けた場合、その原因や進行度によって治療方針は異なってきます。動物病院での治療費は各動物病院ごとの料金設定になりますが、クッシング症候群と診断するための血液検査を含めた総合的な検査を行うと数万円の費用が必要になることが多いようです。また、腫瘍の摘出手術が必要となれば数十万円の手術費用、入院費用が必要になります。内服薬での治療が中心となれば、生涯、内服薬の使用と通院が必要となり、その費用は全額飼い主の自己負担です。

クッシング症候群はペット保険が使える?

ペット保険に加入している場合、基本的にはクッシング症候群と診断を受けた愛犬の治療費は補償対象となります。

ただし、ペット保険は加入する際に補償内容を選択して契約します。基本的にペット保険は「通院費用」「入院費用」「手術費用」から何の医療費を補償してもらうのかを選択し、決められた補償割合でかかった医療費を補償します。そのため、ペット保険に加入していても「手術費用の補償」に加入していなければクッシング症候群で手術を受けても手術費用は補償されません。

ペット保険の加入条件について

ペット保険は、クッシング症候群と診断を受けて加入してもクッシング症候群でかかった治療費は補償対象外となります。加入時に持病を抱えているとそもそもペット保険に加入できない場合も多いです。

また、クッシング症候群は8歳以上の高齢の犬がかかりやすいとされている病気です。ペット保険は加入条件が設けられており、新規加入できる年齢の上限は8歳~12歳で設定されていることが多いです。高齢犬となり病気になってしまうリスクも高く、医療費が心配となる年齢になってからペット保険に加入したいと思っても遅い可能性があります。ペット保険の更新は終身で出来るという会社が多いです。ですから、7歳までの健康状態が良好な若いうちに加入を検討しましょう。

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