人間より聴覚が優れている犬にとっては、大きな音のする雷や花火は苦手です。雷が鳴ると愛犬が怖がって吠えたり隠れたりしてしまった経験もあるのではないでしょうか。雷や花火に怖がる理由や対処法について解説します。
目次
犬が雷や花火を怖がる理由は?
なぜ犬は雷や花火を怖がるのでしょうか。犬によって怖がる理由は様々ですが、以下のような理由があると考えられています
大きな音
雷が鳴ると低くて大きい音が発生します。特に近くに落ちるとビリビリとした振動も伝わってきて、人によっては怖いと感じることもあるでしょう。突然大きな音が鳴ると犬にとってもストレスになります。
人間より耳が良い犬にとっては聞き慣れない雷の音は怖いものです。花火も同様の理由で怖がってしまうようです。
雷へのトラウマ
過去に雷に関する嫌な思い出があることで怯える犬もいるようです。落雷で停電になり暗闇で過ごしたり、花火の煙や火薬のニオイが不快で強いストレスを引き起こしたりする経験が雷や花火へのトラウマとなることもあります。
飼い主の反応
犬は飼い主の様子を敏感に感じ取ります。飼い主が雷を怖がって動揺すると、犬にもその気持ちは伝わるものです。雷が鳴っても落ち着いて声をかけることで、犬も不安を感じずに過ごせるかもしれません。
怖がる時の反応は?
犬が雷や花火を怖がる時には以下のような反応がみられることがあります。愛犬の様子をよく観察し、怖がっている時には落ち着かせてあげましょう。
- 吠える
- 咬む
- 震える
- 逃げようとする
- 隠れる
雷への恐怖がストレスとなると、排泄や嘔吐をしたり、痙攣や失神を起こすこともあります。犬がパニックを起こすと心拍数や血圧が上がり、心疾患や呼吸器疾患のある犬は負担がかかる場合があります。嘔吐や痙攣などの症状が出ている時は動物病院に相談しましょう。
雷を過剰に怖がり、恐怖反応や不安行動を起こす場合は雷恐怖症になっている可能性があります。犬の様子をよく観察して、上記のようなサインが出ていれば犬を安心させるように対応しましょう。人を咬んで攻撃する、あまりにも怖がるなど犬の様子によっては行動診療科のある動物病院に相談しましょう。適切なカウンセリングやトレーニングを受けたうえで、抗不安サプリメントを飲ませることもあります。
脱走に注意!
普段は落ち着いている犬でも、雷の音に驚きパニックになって逃げ出してしまうケースも少なからずあります。
外飼いの犬でも、雷が鳴りそうな時や花火大会がある時は家の中や玄関に入れてあげましょう。雷の音にパニックになり家から逃げ出してしまうと、交通事故に巻き込まれる可能性があるからです。
散歩をしている時に雷が鳴った時は、まず安全な場所に避難しましょう。リードをしっかりと持ち、手から外れないようにします。首が太い柴犬やフレンチブルドッグ、ラブラドールレトリバーなどは首輪が抜けてしまうこともありますので、首輪とハーネスの両方を装着することで脱走への対策をしましょう。万が一逃げ出した時に備えて迷子札を付けておくことも大切です。
怖がっている犬への対処法は?
雷を花火に怖がっている愛犬の姿を見ると飼い主も不安になってしまうかもしれませんが、大事なのはまず飼い主自身が落ち着いて行動することです。
普段通りに過ごす
雷が鳴ったらまず飼い主自身が冷静になり、落ち着いて声をかけ普段通りに過ごしましょう。家の中にいる場合は窓やカーテンを閉めて雷の音や光を感じさせないようにします。日常生活でテレビやラジオを流している場合は付け、生活音で外の音に意識がいかないようにしてあげましょう。
ただし、雷を怖がる犬に過剰に撫でたり話しかけたりするのはよくありません。雷が鳴れば飼い主が優しくしてくれると学習してしまい、雷が鳴るたびに怖がるようになってしまうケースもあります。あくまで普段通りに接することが重要です。
安全な場所に行く
犬にとって安全な場所に避難することも効果的です。いつも使っているベッドやタオルケットなどでリラックスできる環境を作ってあげましょう。
安全な場所を作るために日頃からクレートトレーニングをしておくことも対処法の一つです。クレート(ペット用ケース)にいれば安全なんだと犬に感じてもらえる場所になれば、雷などのストレスがあっても落ち着いて過ごすことができます。クレートは災害時の避難や車で移動する時、飛行機やペットホテルに預ける時にも役立ちますので、子犬の頃からトレーニングをしておくとよいでしょう。
雷や花火を避ける
犬が怖がるような状況は事前に避けることも大切です。天気予報や雨雲レーダーなどを見て雷が起きそうな時はあらかじめカーテン等を閉めておき、散歩の時間をずらして外に行かないようにします。大きな花火大会の場合は事前に日程が分かるので、安全な家の中で過ごすようにしましょう。
音に慣れさせる
雷の音をCDなどで流し、かすかに聞こるくらいの小さな音から徐々に慣れてもらうという方法もあります。音が鳴っても落ち着いていたらおやつ等のご褒美を与えます。翌日は少し音を大きくして繰り返し訓練することで、雷の音に対してポジティブな関連付けをしていくのです。犬によっては不安がり怖がることもあるので、しつけ教室のトレーナーなど専門家による指導を受けましょう。
愛犬と一緒に花火大会に行ってもいい?
愛犬と一緒に綺麗な花火を見たい気持ちは分かりますが、花火大会に行くことはあまりおすすめできません。花火の音や光、火薬のニオイにパニックになり、脱走したりケガをしたりしてしまうリスクがあるからです。花火大会には沢山の人が集まり混雑します。大きな音が平気な犬の場合でも、いつもとは違う環境に驚いてしまう可能性があります。人混みの中で逃げ出してしまうと迷子になっても中々見つけられないでしょう。犬に慣れていない人にとってはトラブルに発展してしまうかもしれません。また、ゴミを誤飲する、熱中症になる等の恐れもあります。人にとっては楽しいイベントでも、愛犬にとってはストレスがかかるものかもしれないのです。
まとめ
犬が雷や花火を怖がる理由は大きな音や過去のトラウマから恐怖を感じることが挙げられます。犬を不安にさせないためにも、飼い主が落ち着いて対処していくことが大切になります。
雷へのストレスで攻撃的になったり、嘔吐や痙攣などの症状が出たりすることもあります。気になる様子がある時には動物病院を受診し、必要に応じてカウンセリング等を受けましょう。
犬の医療費は人にあるような健康保険制度がないため全額飼い主の自己負担となってしまいます。医療費の負担を少しでも減らしたい場合はペット保険の加入を検討してみましょう。保険会社にもよりますが、カウンセリングや相談費用は補償対象外となることが多いものの、カウンセリングの結果薬が処方された場合や雷でパニックになり腕の中から飛び降りて骨折した場合等は補償されることもあります。愛犬が病気やケガをしてしまった時に備えてペット保険に加入しておくと安心です。
ペット保険とは
ペット保険は、ペットが病気やケガで治療を受けた場合にかかった費用を限度額や一定割合の範囲で補償する保険です。一定の限度額以内であれば保険対象の治療費の100%を補償するというプランもありますが、多くのペット保険では治療の70%や50%を補償するという形になっています。さらに、ペット保険は基本補償である「通院補償」「入院補償」「手術補償」の組み合わせで選択し加入します。