うちの猫が太ってしまった…。人間と同じく猫も食べすぎや運動をしなさすぎると太ってしまいます!特に猫の場合、ただ見ただけではなかなか太ったかどうか分かりません。体重を量ってもそれが太っているのか、そうではないのかもよく分かりません。そこで今回は、猫の肥満の基準や見分け方、また肥満対策や対処法について解説していきます!
目次
猫の肥満の基準は??
毎日一緒に暮らしているとなかなか猫の肥満は気づけません。また猫は猫の種類や身体の大きさで適正体重が異なってきます。そのため体重を量るだけでは猫の状態を知ることが難しいです。
BCS方法!見た目と感触で判断!
猫の肥満を確認する方法の1つとして、BCS(ボディ・コンディション・スコア)と呼ばれるものがあります。猫の見た目や触った時の感触から、猫の状態を知ることができるため、猫の種類や身体の大きさに関係なく、様々な猫で適用できます。
BCS | 状態 | 見分け方 |
---|---|---|
BCS1 | 痩せすぎ | 肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。首が細く、上から見て腰が深くくびれている。横から見て腹部の吊り上がりが顕著。脇腹のひだには脂肪がないか、ひだ自体がない。 |
BCS2 | 痩せている | 背骨と肋骨が容易に触る。上から見て腰のくびれは最小。横から見て腹部の吊り上がりはわずか。 |
BCS3 | 理想的 | 肋骨は触れるが、見ることはできない。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがわずかに見られる。横から見て腹部の吊り上がり、脇腹にひだがある。 |
BCS4 | 太っている | 肋骨の上に脂肪がわずかに沈着するが、肋骨は容易に触れる。横から見て腹部の吊り上がりはやや丸くなり、脇腹は窪んでいる。脇腹のひだは適量の脂肪で垂れ下がり、歩くと揺れるのに気づく。 |
BCS5 | 太りすぎ | 肋骨や背骨は厚い脂肪におおわれて容易に触れない。横から見て腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない。脇腹のひだが目立ち、歩くと盛んに揺れる。 |
出典:環境省『飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~』
種類別の理想体重は??
猫の種類や身体の大きさの違いから、猫の理想体重を一概には言えません。同じ種類でも身体の大きさが異なれば理想体重は変わってきます。また人間と身体の大きさが大きく違うので、人間なら誤差の範囲でも猫にとってはかなり大きな差です。以下に参考として理想体重の表を載せますが、あくまで参考程度に抑えておきましょう。
種類 | オス | メス |
---|---|---|
アメリカンカール | 2.5Kg~4.5Kg | 2.5Kg~3.5Kg |
ペルシャ | 3.0Kg~5.5Kg | 3.0Kg~5.0Kg |
ヒマラヤン | 3.0Kg~5.5Kg | 3.0Kg~5.0Kg |
ラグドール | 4.0Kg~7.0Kg | 4.0Kg~6.0Kg |
スコティッシュフォールド | 3.0Kg~6.0Kg | 3.0Kg~5.0Kg |
メインクイーン | 3.5Kg~6.5Kg | 3.0Kg~6.0Kg |
猫の肥満の原因は??
猫の肥満には何らかの理由があります。愛猫が太ってしまったら、その原因を突き止めることが大切になってきます。
食事
猫は一度にたくさん食べるのではなく、何回かに分けて食事をとります。そうして小腹を満たす習性が猫にはあります。そのため一度の食事ではそこまで量が多くなくても、一日の食事量を合計すると食べ過ぎていることもあるので注意しましょう。
キャットフードのあげすぎ
猫の普段の食事といえばキャットフードです。もし猫が太り始めたらキャットフードのあげ方を見直してみましょう。猫によってキャットフードの適量は変わります。基本パッケージの裏側に猫の種類別のキャットフード適量が書いてあります。これを参考にあげすぎないよう注意しましょう。また、目分量でキャットフードを与えていると、気づかぬうちにあげすぎてしまうことがあります。ちゃんと計測してから与えましょう。
またおやつを与えすぎている場合も考えられます。猫可愛さでついついおやつを与えすぎてしまうと、必要以上の食事量になってしまうかもしれません。
キャットフードの注意点
キャットフードにはいくつか注意点があります。まずドライフードの注意点です。ドライフードは炭水化物を多く含んでいます。一方で、猫は炭水化物を消化する能力が高くありません。そのため炭水化物を上手く消化できず太ってしまうことがあります。ではウェットフードが良いのかというと、そうでもありません。ウェットフードは水分を多く含んでいるため、食事自体が腐りやすく、また猫の歯石の原因になります。
ドライフード、ウェットフードを選ぶ際に大切なことは、どちらであっても総合栄養食のものを選ぶことです。猫に与える食事の栄養が偏っていると、猫の健康に影響が出ます。それを防ぐために、猫の健康に必要な栄養が取れる総合栄養食を与えるよう心掛けましょう。
運動不足
摂取したカロリーよりも消費したカロリーの方が少なければ太ってしまいます。猫は一日の多くを寝て過ごすので、あまり運動量が多い動物とはいえません。そのため、運動不足になりやすい傾向があります。また室内飼いの猫の場合、運動するスペースが限られてしまうので、運動不足になりがちです。
基礎代謝の低下
不妊手術を行った
猫に不妊手術を行った場合、オス・メス共に猫自身のホルモンバランスが変化します。それにより、基礎代謝に変化が起こったり、食欲の増進を招いたりして猫の肥満に繋がるケースがあります。
年齢
猫は高齢になってくると、運動量が落ち、基礎代謝も下がります。そのため消費できるカロリーが下がるので、若いときと同じ食事量であっても太ってしまうかもしれません。年齢が落ちてきたら食事や運動量をより気にしてあげましょう。
体調
病気やケガ
特に思い当たる猫の肥満の原因がない時は病気やケガを疑ってもよいかもしれません。ケガをしていると普段よりも運動量が下がってしまい、太りやすくなります。また甲状腺機能低下症やクッシング症候群を患っていると、食欲の増進や運動量の低下によって太ってしまいます。このような場合はいち早く動物病院へ連れていくことが大切です。
ストレス
ストレスによって食事の量が増加する猫もいます。飼い主の引越しなどの生活環境の大きな変化や、同居している猫と相性が悪い時、ストレスを感じる猫もいます。また室内飼いの猫だと、なかなか満足のいく運動ができないことをストレスに感じてしまうこともあります。
肥満はどんな影響を及ぼす??
猫の肥満はどんな悪影響があるのでしょうか。肥満によって引き起こされる病気やケガ、その他の悪影響について確認しておきましょう。
関節や筋肉への負担
太っている猫は理想体重の猫よりも身体が重いので、身体への負担も大きくなります。特に身体を支えている関節や靭帯、腰椎に負荷がかかり、それらの部位を痛めてしまうリスクが高まります。体重の増量によりケガをしてしまうと、運動量が落ち、更に痩せにくくなってしまうので注意が必要です。
心臓・呼吸器への負担の増加
太っている猫は相対的に身体が大きくなります。そのため猫の心臓は全身に血液を送るため、理想体重の時よりも心臓は一層活動する必要が生まれます。心臓の負担が増えると、心臓の衰えが早くなり、結果猫の老化が進みやすくなってしまいます。
また肥満で猫の呼吸器周りに脂肪がつくと、気管をはじめとした呼吸器が圧迫されてしまいます。これにより呼吸が苦しくなり、猫の負担が増してしまうかもしれません。
糖尿病
猫も人間と同様、肥満時は糖尿病になりやすいです。猫の糖尿病の代表的な症状として、「多飲多尿」があります。水を大量に飲み、同時におしっこの量も増えるというものです。また、糖尿病の症状で、「ご飯を食べているのに瘦せる」という症状がみられる場合もあります。このような症状がみられるときは糖尿病、もしくは他の病気の可能性もあるので動物病院へ連れていってあげましょう。特にご飯を食べているのに痩せていく場合は、症状が深刻化している恐れもあるので、いち早く獣医に相談しましょう。
麻酔のリスクが高まる
手術などで麻酔を行う場合、心臓や肝臓、呼吸器などに異常があると麻酔のリスクは高まります。肥満状態の猫は、通常の猫よりも呼吸がしにくいので、麻酔を行った際喚起不足になる可能性が高まります。
肥満の予防法や対処法は??
太ってしまった猫に対して飼い主はどう対応すれば良いのでしょうか。人間なら自分で食事管理や運動を行いダイエットができます。猫は自分でダイエットを行いません。飼い主の管理が必要です。そこで飼い主がすべきことを確認してみましょう。
餌の種類やあげ方を見直す!
猫の肥満解消のためにはまず食事から見直しましょう。猫は室内で飼われるケースが多いので、十分な運動を確保することが暮らす場所によって難しいです。なので、日々の食事を見直していくことが大切です。
餌を変える
まずは猫の餌を見直してみましょう。炭水化物が多めのキャットフードは猫の肥満の原因になります。ダイエット用のキャットフードなどを選んでみましょう。また不妊手術を行った猫には、それ用の低カロリーキャットフードも販売されています。猫の状態に合わせたキャットフードを選んでみましょう。
ただし、猫によっては食事が変わると受け付けない場合もあります。こうなると十分な栄養が取れないので、猫の健康を悪化させるリスクがあります。またダイエット食品を与えようとしすぎて、栄養が偏る恐れもあります。猫に必要な栄養がちゃんと与えられているかどうか意識しながら食事管理を行いましょう。
置き餌をしない
置き餌を行う時に目分量で行っていると、猫がどれくらい食べているのかを正確に知る事は出来ません。また目分量で多めになっていると、猫によってはその分食べてしまい、肥満の原因になります。
多頭飼いをしている飼い主はさらに注意が必要です。飼っている猫の中に他の猫の分まで食べてしまっている子がいるかもしれません。そうなると、その猫は食べ過ぎてしまい、肥満になります。一方で、満足に食べられていない猫は栄養が不足するかもしれません。
運動をさせる
猫の肥満対策やダイエットの方法の1つとして、適度な運動があります。猫は上下運動を好むので、キャットタワーのような上下運動を促すものがよいでしょう。ただ肥満体型の猫は落下した際に大ケガをするかもしれないので、安全対策は必要です。またキャットタワーのようなものではなくても、猫じゃらしなど使って飼い主が運動を促してあげることも大切です。
健康診断は定期的に!
肥満体型の猫はもしかすると糖尿病やその他の病気になっているかもしれません。定期的な獣医の診察を受けましょう。また肥満の原因がわからない、猫の様子が普段と違う場合はすぐに病院へ連れていきましょう。何かしらの病気かもしれません。
絶食ダイエットは厳禁!
猫を痩せさせるために絶食させるのは大変危険です。猫は絶食状態が続くと脂肪からエネルギーを作り出しますが、分解された脂肪は肝臓に運ばれて脂肪肝の状態になってしまいます(肝リピドーシス)。こうなると肝臓が正常に機能せず、毒素が体に回ったり必要なたんぱく質が作られなくなったりするなど命の危険もあります。極端な食事制限は行わず、無理のない範囲で食事療法を行いましょう。
まとめ
猫の肥満は体重だけでは判別しにくいため、BCSなどの方法を使いましょう。また猫の肥満は食べすぎや運動不足などが原因となります。肥満状態でいると、健康に多くの支障をきたす恐れがあります。猫にとって無理のない範囲で食事や運動を改善して、猫の肥満を防いでいきましょう。