犬との暮らし

犬の誤飲・誤食と危険な病気

犬は誤飲・誤食をしやすい動物です。犬の誤飲・誤食は食べてしまったものによっては最悪の場合、死に至ってしまう事もあるため飼い主は十分注意しなければいけません。しかし、飼い主が見ていない隙に食べてはいけないものを食べてしまった、とういう事も多いようです。ここでは、誤飲・誤食が多いものとその症状、誤飲・誤食で起こりやすい病気について紹介します。

異物の誤飲・誤食で起こる症状

犬が食べてはいけないものを食べてしまったことで必ずしも異変が現れるというわけではありません。場合によっては誤飲・誤食してしまったものが数日後にウンチと一緒に出てくる、、、なんてことも多いです。しかし、食べてはいけないものを食べてしまい何かしらの症状があり応急処置が必要な場合や時には動物病院で緊急手術が必要になってしまうこともあります。

アニコムホールディングスの調査報告「犬、猫の誤飲:傾向と対策」では、インターネット上で獣医師向けに実施した犬、猫の誤飲診療の実態アンケート(2011年11月14日~12月24日)を行っています。そこでは、おおよそ 1 カ月に 1~2 回は誤飲患者が訪れる動物病院が多いという結果だったとされています。誤飲してしまうものの上位にはひも(紐)や靴下やタオル、雑巾などの布類が多くそれらは誤飲してしまったことによる致死率も高い異物とされています。犬の誤飲・誤食は、場合によって動物病院を受診せずに無症状のままウンチと一緒に排出されて解決したという場合も多いです。そのようなケースも含めると犬を飼っている多くの飼い主が愛犬の誤飲・誤食を経験しているように感じます。しかし、犬の誤飲・誤食は愛犬の命に関わることもありますので十分注意する必要があります。

症状

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 便秘
  • 食欲不振
  • 元気がない
  • お腹を痛そうにしている
  • 震えや痙攣
  • 呼吸困難 など

食べてはいけないものを食べてしまっても自然にウンチとして排出されればいいですが、犬が自分の体で上手く処理できずに吐き出そうと嘔吐を繰り返していたり、下痢をしていたりする場合があります。誤飲・誤食してしまったものをウンチと一緒に出したいのに出すことができず便秘になって苦しそうにしていたり、お腹を痛そうにしていたりすることもあります。また、飲み込んだ異物が詰まり呼吸困難で苦しそうにしているようなケースもあります。飼い主の人が目を離しているうちに誤飲・誤食しており、このような異変がある場合は、動物病院を受診し早めに検査をしてもらうようにしましょう。その時には家の中で何かなくなっているものがないか確認してしておきましょう。

犬が誤飲しやすいものに、子供のおもちゃや小さなボールのようなもの、ボタンやトイレシート、犬用のガムなどがあります。このようなものに限らず家の中にある口にしやすいものを咥え誤って飲み込んでしまうことがあります。誤って誤飲してしまったものが運よくウンチとして出てきたとしても排出される際に、胃や腸、肛門を傷つけてしまっている場合があります。食べてはいけないものを食べてしまうという事は、上手くウンチとして排出されたとしても愛犬の体の負担になっているという事を忘れずに飼い主は愛犬の誤飲・誤食に十分注意してあげましょう。

人間が普段食べているものでも犬が食べると命の危険があるものもあります。人間にとっては栄養価が高くても犬にとっては中毒を引き起こしてしまう食べ物もあるので注意しましょう。

危険度が高い食べ物と異物誤飲で多いもの

好奇心が旺盛な子犬などは特に誤飲・誤食のリスクが高く何でも口に咥えます。犬が食べてはいけない危険な食べ物を食べてしまった場合はすぐに動物病院に連絡し対処の指示を仰ぎましょう。いつ、何を、どれくらい食べたのかを分かる限り正確に獣医さんに伝えるようにしましょう。キッチンやテーブルに置いておいた食べ物を犬が誤って食べてしまったというような経験をした飼い主もいるのではないでしょうか。人が食べても大丈夫なものでも犬にとっては毒となる食材もあります。動物は思いもよらない行動をすることがあります。誤飲・誤食で動物病院を受診した飼い主の中には「自分の愛犬に限って食べるはずがない」と思っていた飼い主もいるようです。動物は人の考えの及ばない行動をすることもありますので犬が口にしてはいけないものの管理はしっかり行う事が大切です。

また、人がおいしそうに食べているのを犬は見ています。欲しそうに近寄ってきたりもします。そんな時、安易に与えたりせずに、ドッグフード以外のものを犬に食べさせる時は、食べさせても大丈夫なものなのかよく調べてから与えるようにしましょう。

危険度が高い食べ物

  • ネギ類(タマネギ、長ネギ、ニンニク、ニラなど)
  • 銀杏
  • アボカド
  • ぶどう、レーズン
  • イチジク
  • マカダミアナッツ
  • チョコレート
  • キシリトール
  • アルコール
  • コーヒー

異物誤飲で多いもの

  • ひも
  • ヒトの医薬品
  • 果物や梅干しの種
  • 石や砂
  • 靴下やタオルなどの布類
  • ボール
  • 竹串(団子や焼き鳥など)
  • 犬用ガム など

アニコムホールディングスの調査報告「犬、猫の誤飲:傾向と対策」によると、犬、猫の誤飲で多かったのはひも(紐)となっています。犬は糸やひも(紐)状のものが大好きです。糸やひも状のものをぺろぺろ舐めたり、引っ張ったりして遊んでいることがあります。飼い主が見ている傍であれば誤飲を防ぐことができますが、誤ってそのまま飲み込んでしまうような事があると糸やひも(紐)状のものはとても危険です。腸管などにからまり裂傷を引き起こしてしまう危険性があり、糸やひも状のものを飲み込んでしまった事故による致死率は高くなっています。速やかな手術が必要となり愛犬の負担も大きく医療費もかかってしまうため糸やひも状のものの誤飲には十分注意してあげましょう。

また、犬は大好きな飼い主が口にしているものや普段の行動をよく見ています。楽しそうなものや興味があるものを観察していいます。飼い主の匂いがついたものも大好きなので、飼い主の靴下やタオルなどの布類を飲み込んでしまうような事故もあるようです。特に注意したいのは人の医薬品です。飼い主がいつも飲んでいる薬に興味を持っている場合があります。飼い主が薬を飲んでいる姿を「おいしそうだな」と思ってちょっと目を離したすきに誤飲してしまったということもあるようです。人の医薬品の誤飲は致死率も高くなり危険です。家庭の中で危険なものはしっかり管理することが重要です。愛犬が万が一飲み込んでしまった場合はすぐに動物病院へ連絡しましょう。

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危険な病気「腸閉塞」に注意!

犬の誤飲・誤食が原因で腸閉塞を引き起こしてしまう場合があります。腸閉塞とは何らかの原因により腸がふさがってしまっていたり、通過障害を起こしている状態です。腸閉塞を引き起こす原因には、犬の誤飲による場合が原因の一つとして挙げられます。腸が塞がってしまうと、腸内細菌の毒素が体内へ侵入し短期間で致死的な状態になることもある病気で、早期の治療が必要です。ですから、腸閉塞は怖い病気になります。犬の誤飲・誤食は犬を飼っている人にはよくあるトラブルのようですが、犬の命に関わる危険性があることを知っておきましょう。

愛犬が飼い主が見ていない隙に食べてはいけないものを誤飲している場合などに腸閉塞の症状が出てから誤飲に気付くことがあります。腸閉塞の症状は下記を見ても分かる通り、既に紹介している誤飲・誤食によって起こる症状とほぼ同じです。腸閉塞になってしまう原因には、犬の誤飲・誤食以外にも腸重積(腸の一部が隣接する腸の中に入り込んでしまう症状)や胃捻転、腸ヘルニアなどがありますが、誤飲・誤食は飼い主の注意で防ぐことができる原因になるので愛犬の健康のためにも誤飲・誤食の事故がないように日々気を付けてあげることが大切です。

腸閉塞の症状

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 便秘
  • 食欲不振
  • 元気がない
  • お腹を痛そうにしている
  • お腹が膨らんでいる など

腸閉塞の検査と治療

  • 腹部触診
  • 血液検査
  • X線造影検査
  • 超音波検査
  • レントゲン検査
  • 点滴
  • 注射
  • 入院
  • 手術

腸閉塞で手術が必要となると20万円程度の治療費が必要になるものと想定しておきましょう。ペットの医療費に備えてペット保険の加入がなければ、通常、全額飼い主が自己負担でこの医療費を負担することになります。犬種や症状などによっても医療費は異なりますが、愛犬が辛い思いをするだけでなく、飼い主にとっても大きな出費となります。愛犬の命を守るためにも誤飲・誤食を予防できるように愛犬の異物誤飲には注意しましょう。

愛犬の誤飲・誤食を防止する方法

愛犬の誤飲・誤食を防ぐ方法は愛犬自身が飼い主から与えられるもの以外は口にしないようになることがベストです。それには飼い主の躾が重要になります。誤飲・誤食をしない犬であれば、散歩中の拾い食いの心配もありません。また、もし犬が食べてはいけないものを咥えてしまっても飼い主の号令がしっかり聞ける犬であれば、「ちょうだい」の一言で咥えてしまったものを飲み込んでしまう前に取り上げることができます。愛犬との遊びの中で信頼関係を築き、「ちょうだい」を覚えさせるようにしつけましょう。

また、そもそも飼い主は犬が食べてはいけないものを犬が取れそうな場所には置いておかない、片付けを徹底する、家の中などで犬がフリーの時には愛犬が何をしているか目を離さないなども大切になります。特に子犬の時期や好奇心が旺盛な犬などは何でも口に咥えてしまいます。そんな時、飼い主が大きな声を出してしまったり大騒ぎすると、犬は「遊んでくれる」「変わったものを口にすると注目してもらえる」と勘違いをすることがあります。今後の誤飲・誤食を防止するための大切な躾にもつながりますので、そのような時は冷静に「ちょうだい」や愛犬な好きなおやつと交換で対処しましょう。

まとめ

犬の誤飲・誤食による動物病院の受診は多いようです。食べてはいけないものを食べてしまっても無症状でウンチと一緒に排泄されるケースも多いようですが、犬の誤飲・誤食は食べたものによっては中毒症状を引き起こしてしまうような危険な食べ物であったり、腸に詰まってしまい腸閉塞などの危険な病気を引き起こしてしまうリスクがあります。犬の誤飲・誤食は犬を飼っている家庭では、よくあるトラブルになりますが、愛犬が死に至ってしまう危険性のあることなので飼い主のしっかりとした管理が大切です。もし、愛犬が食べてはいけないものを誤飲・誤食してしまったら動物病院に連絡し、対処の指示を仰ぐようにしましょう。

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