ペットとして家庭で飼育されている動物は、犬が一番多いと思っている人も多いでしょう。しかし、一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」によると近年犬の飼育頭数は減少傾向にあり、猫の飼育頭数が犬を上回っているという調査結果が出ています。猫を飼育する人が増えている理由は、犬よりも猫の方が生涯飼育費用が抑えられる点や共働き世帯が増える中で散歩の必要がなく、清潔で、飼いやすいという点が挙げられるでしょう。何よりも可愛らしく魅力的ですよね。そんな愛らしい猫と暮らす日々を健康ですごせるように飼い主として猫はどんな病気にかかりやすく何に気をつけたらよいのかという事を知り病気にならない食生活、生活環境を整えてあげましょう。
猫がかかりやすい病気
元気がない、食欲がない、いつもと様子が違うなどの異変がある時、愛猫は体のどこかに異常や違和感を感じているからかもしれません。どこかに病気を患っている可能性もありますのでいつもと違う様子があれば早めに動物病院を受診しましょう。
猫に最も多い病気「慢性腎臓病(腎不全)」
慢性腎臓病とは、腎臓の機能が長い年月をかけて徐々に低下していく病気です。腎臓が炎症を起こし徐々に腺維化していってしまいます。腎臓は一度壊れてしまうと再生しない臓器です。それは猫も人間も同じです。高齢の猫の大半が腎臓病になると言われているほど猫にとってはポピュラーな病気なため気を付けてあげなければいけません。症状が進行すると末期の腎不全となり死に至ってしまいます。なぜ、猫が腎臓病を患いやすいのかという事は正確には分かっていません。しかし、猫のルーツをたどると砂漠地帯の水が少ない場所に生息していたと考えられており、少ない水で生きていけるような腎臓の機能が強い生き物と考えられています。しかし、腎臓が働きすぎるあまり、平均寿命も長くなっている現代の猫は年を取ると腎臓機能が低下していくため腎臓病になりやすいのかもしれません。
腎臓病(腎不全)の症状
慢性腎臓病はどのような症状がみられるようになるのでしょうか。今までよりおしっこに行く回数が増えた、水を飲む回数が増えたと思ったら動物病院で診察を受けるようにしましょう。腎不全は猫の死因として多い病気です。早期に治療を受け病気の進行を遅らせる事が重要です。
多飲多尿
一番初めに現れる症状になります。水をたくさん飲むようになり、臭いの少ない薄い尿をたくさんするようになります。それは、腎臓での水分の再吸収が不十分になるためですが、食欲も元気もあるため異変を見逃しがちになります。しかし、この時点で腎臓機能が衰えているため現れる症状になりますので毎日の猫の様子を注意深く観察することが大切です。
脱水
腎臓機能が低下する腎不全が進行してくると食欲が低下し体重も減少します。毛づやが悪くなるなどの症状も出てきます。尿量はさらに増えてきますが自分の力では水が飲みづらくなるため体内の水分が補えなくなり、脱水状態となります。
尿毒症
脱水状態が続くと尿毒症となります。腎臓で分解できない老廃物が蓄積することでおこります。食欲がまったくなかったり、嘔吐をする回数が増えます。脱水症状もあるため症状は徐々に悪化していきます。
貧血・高血圧
腎臓で作られる造血ホルモンが欠乏するため貧血状態になります。腎機能の低下で老廃物を体外に排出することができない状態のため、老廃物を体外に排出しようと血流の流れが活発になることにより高血圧になります。
腎臓病の治療
慢性腎臓病は完治させることはできず、症状があれば進行を遅らせて少しでも余命を伸ばすという治療になります。治療法としては、食習慣や生活環境を見直し悪影響を与えそうな要素を取り除くことからスタートになります。タンパク尿や貧血の改善などに内服療法や注射などを行う事もあります。しかし、医師のアドバイスに従った療養食で改善を図る事が第一になります。飼い主のケアが大切になりますが、動物は毎日の食事が療養食に変わる事を理解することは難しいです。慣れない食事を食べさせるの困難なことも多いので慢性腎臓病にならないような食事を普段から心がけてあげる事が大切だと言えるでしょう。
腎臓病にならないために
猫は、砂漠地帯で生息していたという歴史から少ない水で生き延びられるように腎臓の機能が強く働きすぎることで腎臓病になりやすいという体質的な特徴がありますが、毎日の食事が腎臓機能の悪化を速めている場合も多くあります。人間も同じように塩分の多い食生活では腎臓に負担がかかります。普段から塩分の多いおやつなどばかりあげてるようでは猫が更年期を迎えてたり、食習慣の改善を動物病院から勧められたタイミングで塩分の少ない食事に変更しようと思っても猫はなかなか食事の変更を受け入れてくれません。幼少期からきちんとした食事管理、質の良いフードと水を与える事で腎臓病になるリスクを軽減する食事を習慣づけてあげましょう。また、猫の健康診断などで定期的な検査を行い異常を早期に発見することで早期治療が可能になります。早期の異常発見が愛猫の寿命にもつながるため腎臓機能のチェックは定期的に行ってあげましょう。
尿路疾患(下部尿路感染症・尿路結石・膀胱炎)
猫は、泌尿器系の病気にかかりやすい動物です。その中で尿路疾患も気をつけたい病気です。排尿の回数が多くなったり薄い尿が多く出ている状態であれば泌尿器系の病気を患っている可能性があります。早めの動物病院受診で早期治療を行いましょう。
尿路疾患
下部尿路感染症は、膀胱や尿道に細菌感染が起こった状態になります。猫が下部尿路感染症になってしまうことはあまりないようですが、免疫が低下していたり、細菌が感染しやすい状況でなってしまう事があるようです。
尿路結石は、尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に結石ができる事です。細菌感染が原因で起こる場合や肥満や運動不足などにより水をあまり飲まずに排尿する回数が少ないと尿路結石になってしまう事があります。オスの猫の方が尿道が細いため尿路閉塞を起こしやすく尿管結石になりやすいようです。
膀胱炎は、膀胱の粘膜に炎症が起こる病気で細菌感染や尿路結石などが原因で起こります。猫の場合、原因が特定できない膀胱炎も多くみられるようです。膀胱の腫瘍や外傷などから膀胱炎を引き起こしている場合もあるため病院で検査してもらいましょう。
尿路疾患の症状
愛猫に下記のような症状がある場合は、動物病院への受診することをお勧めします。
- 排尿の回数が増える
- トイレに行くが尿の量が少ない、排尿しない
- 血尿している
- 尿が濁っている
- トイレで落ち着きがない
尿路疾患になったら
病気の原因によって治療法は異なりますが、細菌感染による症状であれば抗生剤などの投薬療法での治療になったり、尿路の閉塞や療法食では効果がみられない結石の場合は手術が必要な場合もあります。細菌感染による尿路疾患は予防が難しかったり原因が分からないことも多くありますが、普段から水を多く飲ませて排尿させる、トイレを我慢させない、肥満を防ぐなどの食事コントロールで病気を防ぐことが可能です。
愛猫の病気を防ぐ食事コントロール
愛猫が長く健康に暮らしていけるように飼い主として食事のコントロールが大切です。猫の体質を理解し毎日の食生活から病気を予防しましょう。塩分の多い人間の食事は与えない、欲しがるからと言っておやつばかりを与えないといったことを心がけ腎臓に負担がかかる食生活にならないように気をつけましょう。猫用の総合栄養食となっているキャットフードを主食として与え原材料に注意してあげるとよいでしょう。また、猫は喉の渇きに鈍感であまり水を飲みません。そのような体質が腎臓病や泌尿器系の病気が多い理由にもなっています。食事と一緒に水を与えるなど工夫しましょう。主食となるキャットフードがドライフードの場合は、水分が多く含まれるウェットフードを混ぜたり、毎日の食事で水分を補ってあげるようにしましょう。
注意したい原材料
原材料はキャットフードの裏面などに記載があるのでチェックしてみるとよいでしょう。下記量が多く記載されているフードは避けて選ぶとよいでしょう。
- 副産物
- 穀物
- 香料、着色料
- 動物性油脂
- 保存料
- 化学調味料、化学薬品
- エキス系(チキンエキスなど)
ペット保険で愛猫の病気に備えよう!
万が一、可愛がっている猫が腎臓病になってしまったら、腎臓病は完治することがない病気なため定期的な動物病院への通院が欠かせなくなるなるでしょう。尿路疾患の病気を患ってしまった場合も完治のための通院代や薬代が心配になります。場合によっては手術費用や入院費用が必要になるかもしれません。猫には人間のような公的医療保険はないため、医療費は全額飼い主負担となってしまいます。急に大きな出費となってしまえば家計への負担も心配です。そんな時のためにペット保険の加入があれば愛猫が病気になってしまった時の医療費を軽減することができます。愛猫が病気になり急に大きな金額の出費が必要になった時に十分な収入・貯蓄があるので問題なく支払えるという場合はよいですが、そうでないのであればペット保険の加入を検討しましょう。
猫も人間と同じくケガをしてしまったり、病気になってしまう事があります。家の中で遊んでいる時にケガをしてしまい病院での治療が必要になったり、病気になってしまい病院で通院や手術が必要になれば治療費がかかります。猫も家族の一員ですが、人間と違いペットにかかる医療費は全額飼い主が負担しなければいけません。手術が必要なケガや長期にわたって通院が必要となる病気になってしまう可能性もあります。高額な医療費を負担しなければいけなくなるリスクに備えるためにはペット保険で備えるという方法があります。猫も家族の一員としてケガや病気になってしまったらどのように対応するかという事を考えておきましょう。ただし、ペット保険には加入条件が設けられていることが多いです。高齢のペット、傷病歴があるペットは加入が難しくなってしまう事もあります。愛猫の病気に備えたペット保険の加入検討は猫が若く健康なうちに行いましょう。